癒しが欲しい魔導師さん

エウラ

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14 *魔導師は人並みを目指す

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*R18あります。ぬるいですが。よって、更新はお昼になりました(それはそれでどうなんだ)。背後注意*




セイリュウが目覚めた日、体を上手く動かせないでいるセイリュウを御世話していたロザリンドは、その夜再びセイリュウを抱いた。

「まだまだ魔力が足りてないよね?」
「・・・・・・うん、全然足りない、けど。寝てればその内・・・」
「無理だよ。何日かかると思ってんの? 貴方、自分の魔力総量分かってるでしょ? 今はぎりぎり安全圏内なだけで、気を抜けばすぐに枯渇状態になってしまう。言ったでしょ、魔力回路がボロボロだったって。いくらウチの侍医が優秀だろうと一回の治癒魔法で良くなるわけじゃない」

自然回復なんて当分望めないよ。

そういってニッコリ優しい笑顔を見せるが、ロズの目は笑ってなかった。

「二度も目の前で死にそうになったセイリュウを見た俺の気持ち分かる? ねえ?」

切なそうな声音でお構いなしに顔を近づけてくるロズ。

---ひえっ・・・。

怖い怖い怖い---!
イケメンの至近距離怖い!
レグルス父様で免疫ついてると思ったけど、そういうのとは違った顔面偏差値!!

好きだって自覚したからか、もう無理! 堪えられない!!

セイリュウの顔は湯気がでそうなほど真っ赤で熱くなっていた。


結局、セイリュウは流されるままに魔力譲渡という名のセックスをしている。

でも今はコレが愛故の行為って分かってるから、恐くは無い・・・かな?

どのみち動けないから、俺はマグロ状態なんだけど。
手足はろくに動かせなくて、でも嬌声は飛び出す。
恥ずかしいのに腕が上がらないから口も塞げない。
・・・どうせ指を絡めた恋人繋ぎでもってシーツに縫い止められているから無理なんだけど!

「・・・セイリュウ、セイ、何を考えてる?」
「---っあんたのっ、事だよ! 他に何を考えるって・・・ちょっ、何?! な、何でおっきくなって?! ・・・・・・苦しっ」
「---セイがっ悪い!」
「んな---っん、でぇ?! ロズッ、ぅああっ」

本当の事を言っただけなのに、何でぇ?!

ロザリンドは容赦なく腰を突き上げてセイリュウの奥をガツガツと犯す。

その度にセイリュウは嬌声と共に動かないはずの体をビクビクと跳ねさせた。
お互い荒い息づかいのまま、セイリュウがイってすぐにロザリンドも魔力を奥に放つと、ロザリンドの魔力が胎の中から体中に染みていく。

魔力枯渇の状態のセイリュウが無意識に待ち望んでいた精液魔力だった。
だからついそれを、感じたまま、ぽーっとした頭のまま呟いたのは仕方がないと思う。

「・・・・・・ロズの魔力、暖かくて、お腹ん中、気持ちい・・・」

普段無表情のセイリュウが蕩けるような笑みを浮かべながら。

だから、それを至近距離で聞いて、見てしまったロザリンドが暴走したのも仕方がないと思う。

すぐに復活したロザリンドは、セイリュウが『も、無理! お腹いっぱい! おかわり要らないぃ』と泣いて縋っても止まらず、結局この夜もセイリュウが気絶するまで攻め続けた。

翌日、セイリュウは昨日と同じく正座するロズを見て『デジャヴだ』と溜息を吐いた。

---でもまあ、セイリュウの自業自得だ。
仕方がないと諦めた。


昨夜、散々魔力譲渡さ抱かれたおかげで結構魔力が回復したようで、ヤリ過ぎで怠い以外は体も少し動くようになった。

それでもふらふらするので基本的に寝室にいるのだが、ふと思い至った。

---この部屋、ロズの自室って言ってたよな?
俺、部屋の主からベッド奪ってんじゃん。
迷惑かけっぱなしじゃん?!

マズいよマズいよ!

前世庶民で社畜だった記憶があるせいで、自分が隠してるとはいえ貴族のしかも王弟殿下の息子とか、魔導師副師団長という偉い役職だとかまるっと忘れて、さーっと青くなった。

「---違う部屋、客室なんてイイトコロじゃなくて良いから、使用人部屋でも、何なら屋根裏でも構わないから、代えて貰おう・・・!」

そうと決まれば、善は急げ、思い立ったが吉日とばかりにふらつく体に鞭打ってロズの部屋から這い出す。

・・・ウン、文字通り這って出た。

寝室から続きの部屋に出るだけで体力を使い果たした。
部屋から廊下に出るのに扉のノブに手をかけるために踏ん張った。
扉が開いて、その勢いのまま倒れて。
起き上がれずに匍匐前進・・・。

力尽きて、そのままちょっと意識を飛ばしていたらしい。

次に気付いたらさっきまで寝てたロズのベッドで。
めちゃくちゃ心配そうな顔で覗き込んでいるロズと目が合って、ぼんやりしていた頭が急速回転した。

「・・・ロズ」
「セイ! 心配したぞ! 何故廊下で行き倒れていたんだ?!」
「屋根裏部屋で良いから」
「・・・何が?!」
「僕の部屋、屋根裏部屋にして。ここはロズの部屋だから。ごめん、ずっと借りてて」
「何言ってるの?! ずっとここ使ってて良いんだよ!!」
「だって、ロズが寝れない」
「寝てるよ! セイにくっついて眠ってるよ!! イヤだよ、セイがいないと眠れないよ?!」

---えー・・・。

何か必死に言い募ってる姿がもうワンコにしか見えなくて思わずクスッと笑っちゃう。

「・・・まあ、ロズが良いなら良いんだけど。何もしないで御世話になってるのが心苦しいというか・・・ジッとしてられないっていうか・・・」
「セイは働き過ぎなの! 今は体を癒して健康になることに集中して、ね?」
「---ん・・・まあ、そうだね。せめて人並みに動けるようにならないと・・・」

よもや行き倒れるとは・・・。

詳しく聞いたところ、たまたま、本当に滅多にないタイミングで使用人も護衛騎士も一斉に席を外していたらしい。

その隙を狙ったかのような俺の行動&行き倒れに邸中の人間が真っ青になって大騒ぎだったようだ。
いや全く気付かなかったよ。

「『二度あることは三度ある』っていうもんねぇ。ごめんね?」
「その、二度あること・・・ってのは初めて聞くが、何となく意味は分かるよ。頼むから一人で何かしないでくれ。もう、ホント死ぬかと思った」
「---はぁい・・・」

確約は出来ないが、善処します。

ロズの胡乱げな視線にそっと目を逸らして・・・。








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