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早速のフラグ回収 1(sideアレックス)
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私はファフニール国の王都で主に貴族街を巡回警備する騎士団の団長である。
警備する区画が貴族街ということで、所属する騎士達もほとんどが貴族出身だ。私もカーフィル公爵家の三男で、家のスペアからも外れているため騎士で身を立てている。
次男も稀にいるが、大抵が三男以下の貴族の子息だ。
まぁ竜人は実力主義でもあるため、平民だろうと騎士にもなれる。その最たる者がここにいる副団長だな。
彼はピアーズ。孤児出身で親が不明のため姓はないが、実力で騎士の試験を受け、成果をあげて今の要職に就いている。
ここは最強と謳われる竜人の国なので、住んでいる者は大抵が竜人の番いやその子供たち、他種族でも竜人の威圧に耐えられる強い者ばかりで、か弱き者はあまりいない。
そのせいか、王都内での犯罪は喧嘩や窃盗などは小さなモノに分類される。大きな犯罪となると殺生沙汰や非合法の人身売買などがそれにあたる。
それ故、さほど大きな犯罪もなく、巡回する騎士達も普段は穏やかだ。
そんないつもと変わらない日常に少しの物足りなさを感じつつも過ごす今日の午前中に、急に冒険者ギルドから呼び出しがあった。
呼び出し主はサブギルマスだ。
「───至急冒険者ギルドのギルマスの執務室にお越し頂きたい、というものなんだが。何かあったのかな?」
私はちょうど執務室にいたピアーズに声をかけた。
ピアーズも首を捻る。
「こちらには魔物系のトラブルなどの報告はありませんが・・・・・・」
「だよね。何だろう。まぁどうせ暇だし、コレからすぐに行ってこよう」
「・・・・・・暇ではないでしょう?」
不機嫌丸出しで机を見るピアーズに苦笑した。
うん。書類仕事はたくさんあるね。でも出かけるからあとは任せた!
「私の決済が必要なモノ以外はピアーズでも出来るだろう?」
「そうやって逃げるんですからズルいなあ。ま、呼び出しですからね。今回は貸し一つですよ」
「えー・・・・・・分かったよ。じゃあ転移の魔導具でちょっと行ってくる」
「はいはい───っ、ちょっ・・・・・・!」
副団長で恋人でもあるピアーズにチュッと口吻をすると顔がほんのり赤くなった。
可愛いなぁ。
ニコッと笑って、ピアーズが何かを言おうとして口を開く前にササッと転移してしまおう。
───そうして冒険者ギルドの入り口付近に転移すると、すぐ傍らには庶民街の自警団の団長リックスが同じように立っていた。
彼は庶民街の自警団だが自身は子爵家の次男のため私とも貴族同士の面識があり、拒否反応もないので騎士団とも普通に仲がいい。爵位なんかも気にせずただの友人感覚だ。
「おや? もしかしてそちらも?」
「ということはお前さんもか? 急に召集されたんだよ。一体何なんだろうな?」
「行ってみないことには分かりませんね」
そうして執務室に向かえば、聞かされた内容に内心ではツッコみまくり。
おそらくリックスも同様だったろうがそこはお互い長としての矜持か、平静を保っていたが。
「・・・・・・はぁ・・・・・・」
再び転移の魔導具で転移して己の執務室に戻ると、一区切りついたのかちょうどお茶を淹れていたピアーズが私の分も追加で淹れてくれた。
それを一口飲んで、溜め息を吐く。
「ギルドの呼び出しは何だったんです?」
疲れた顔だったんだろうか、ピアーズが躊躇いながら聞いてきたので、簡潔に教えてあげると唖然としたあと叫んだ。
「はぁ!? ソレ本当なんですか!?」
「気持ちは分かるよ。でも少なくとも額の宝玉は取って付けたようなモノには見えなかったし、あのサイファ殿下の番い様だ。間違いないだろうね」
マジか、と頭を抱えるピアーズに、こっそり魔導具のピアスで録画していたさっきのやり取りの映像からラトナ様の顔を映し出して見せた。
「・・・・・・お子様ですか!? めちゃくちゃ可愛いんですけど! うわあ、抱っこしたい!」
ピアーズは家族がいない上に狼獣人だということで周りからちょっと恐れられていて、孤児院でも同い年や年下の子との触れ合いが少なかったらしい。
そのせいか小さいモノ、可愛いモノに触れたい欲求が凄い。まぁほとんど避けられ逃げられるんだが。
その点では私達竜人も似たようなものだから痛いほど気持ちは分かる。
「この方がラトナ様だ。ちゃんと成人済みだそうだ。万が一迷子にでもなっていたら保護してくれ。その場合のサイファ殿下との待ち合わせ場所は冒険者ギルドになっているからそちらに移動すること」
「まぁ、さすがにお一人で散策はしないですよね」
「護衛騎士もいるが、何があるか分からないからな」
「分かりました。騎士達に通達しておきます」
手をワキワキさせながら真面目な声で言うピアーズに笑いながら、こんな会話が実はフラグだったと知ったのはそれから数時間後のことだった。
警備する区画が貴族街ということで、所属する騎士達もほとんどが貴族出身だ。私もカーフィル公爵家の三男で、家のスペアからも外れているため騎士で身を立てている。
次男も稀にいるが、大抵が三男以下の貴族の子息だ。
まぁ竜人は実力主義でもあるため、平民だろうと騎士にもなれる。その最たる者がここにいる副団長だな。
彼はピアーズ。孤児出身で親が不明のため姓はないが、実力で騎士の試験を受け、成果をあげて今の要職に就いている。
ここは最強と謳われる竜人の国なので、住んでいる者は大抵が竜人の番いやその子供たち、他種族でも竜人の威圧に耐えられる強い者ばかりで、か弱き者はあまりいない。
そのせいか、王都内での犯罪は喧嘩や窃盗などは小さなモノに分類される。大きな犯罪となると殺生沙汰や非合法の人身売買などがそれにあたる。
それ故、さほど大きな犯罪もなく、巡回する騎士達も普段は穏やかだ。
そんないつもと変わらない日常に少しの物足りなさを感じつつも過ごす今日の午前中に、急に冒険者ギルドから呼び出しがあった。
呼び出し主はサブギルマスだ。
「───至急冒険者ギルドのギルマスの執務室にお越し頂きたい、というものなんだが。何かあったのかな?」
私はちょうど執務室にいたピアーズに声をかけた。
ピアーズも首を捻る。
「こちらには魔物系のトラブルなどの報告はありませんが・・・・・・」
「だよね。何だろう。まぁどうせ暇だし、コレからすぐに行ってこよう」
「・・・・・・暇ではないでしょう?」
不機嫌丸出しで机を見るピアーズに苦笑した。
うん。書類仕事はたくさんあるね。でも出かけるからあとは任せた!
「私の決済が必要なモノ以外はピアーズでも出来るだろう?」
「そうやって逃げるんですからズルいなあ。ま、呼び出しですからね。今回は貸し一つですよ」
「えー・・・・・・分かったよ。じゃあ転移の魔導具でちょっと行ってくる」
「はいはい───っ、ちょっ・・・・・・!」
副団長で恋人でもあるピアーズにチュッと口吻をすると顔がほんのり赤くなった。
可愛いなぁ。
ニコッと笑って、ピアーズが何かを言おうとして口を開く前にササッと転移してしまおう。
───そうして冒険者ギルドの入り口付近に転移すると、すぐ傍らには庶民街の自警団の団長リックスが同じように立っていた。
彼は庶民街の自警団だが自身は子爵家の次男のため私とも貴族同士の面識があり、拒否反応もないので騎士団とも普通に仲がいい。爵位なんかも気にせずただの友人感覚だ。
「おや? もしかしてそちらも?」
「ということはお前さんもか? 急に召集されたんだよ。一体何なんだろうな?」
「行ってみないことには分かりませんね」
そうして執務室に向かえば、聞かされた内容に内心ではツッコみまくり。
おそらくリックスも同様だったろうがそこはお互い長としての矜持か、平静を保っていたが。
「・・・・・・はぁ・・・・・・」
再び転移の魔導具で転移して己の執務室に戻ると、一区切りついたのかちょうどお茶を淹れていたピアーズが私の分も追加で淹れてくれた。
それを一口飲んで、溜め息を吐く。
「ギルドの呼び出しは何だったんです?」
疲れた顔だったんだろうか、ピアーズが躊躇いながら聞いてきたので、簡潔に教えてあげると唖然としたあと叫んだ。
「はぁ!? ソレ本当なんですか!?」
「気持ちは分かるよ。でも少なくとも額の宝玉は取って付けたようなモノには見えなかったし、あのサイファ殿下の番い様だ。間違いないだろうね」
マジか、と頭を抱えるピアーズに、こっそり魔導具のピアスで録画していたさっきのやり取りの映像からラトナ様の顔を映し出して見せた。
「・・・・・・お子様ですか!? めちゃくちゃ可愛いんですけど! うわあ、抱っこしたい!」
ピアーズは家族がいない上に狼獣人だということで周りからちょっと恐れられていて、孤児院でも同い年や年下の子との触れ合いが少なかったらしい。
そのせいか小さいモノ、可愛いモノに触れたい欲求が凄い。まぁほとんど避けられ逃げられるんだが。
その点では私達竜人も似たようなものだから痛いほど気持ちは分かる。
「この方がラトナ様だ。ちゃんと成人済みだそうだ。万が一迷子にでもなっていたら保護してくれ。その場合のサイファ殿下との待ち合わせ場所は冒険者ギルドになっているからそちらに移動すること」
「まぁ、さすがにお一人で散策はしないですよね」
「護衛騎士もいるが、何があるか分からないからな」
「分かりました。騎士達に通達しておきます」
手をワキワキさせながら真面目な声で言うピアーズに笑いながら、こんな会話が実はフラグだったと知ったのはそれから数時間後のことだった。
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