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箱庭の外は思った以上にコワイトコロ 3
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───枷を外して抜け出したあと、出口を探してうろうろしていたら逃げたことに気付かれて、咄嗟に近くの部屋の空いてる木箱に潜り込んだんだ。
木箱はカーバンクル姿の俺ならぎりぎり入れるサイズだった。
さすがにこのサイズの木箱に獣人型の俺は入れないから誤魔化されてくれるかなと思って、ジッと息を潜めている。
今ココね!
現実逃避に回想してたけど終わっちゃったよ!
大した内容じゃないもんね。当然だよね!
いまだにここがドコなのか分からない。
あのカフェから近いのか遠いのかも全然見当がつかないから、上手く外に逃げられたとしてもどっちの方向に行けばいいのかも分からない。
もう、八方ふさがりだった。
誰でもいいからたーすーけーてー!
心の中で叫んでいると、俺を探してるヤツらが見つからねえと俺の潜んでいる木箱辺りを八つ当たりのように蹴飛ばしていった。
俺は必死に声を抑えてガマンしていたが、どうやら他の木箱の下敷きになってしまったみたいで、ヘンな体勢で身動きが取れなくなってしまった。
まぁ獣姿で柔軟だから何とか堪えてるけど、正直辛い。
それから更に三〇分くらいは経っただろうか。
不意にあの男達以外の声や足音が増えてきた。俺はアイツらの増援の悪いヤツらが来たのかと思って更に縮こまるように丸まった。
そこに冒険者ギルドで聞いた声が聞こえてきてハッとする。
「───トナさ───ラトナ様ー!」
この声、アレックスさんだ! 見廻り騎士団長!
助けに来てくれたー!
俺は嬉しくなって、周りにアイツらの気配がないことを確認すると叫んだ。
「アレックスさーん! たしけてー!」
あ、噛んだ。でもアレックスさんは気付いてくれたらしく、着実に俺のいる場所まで近付いて来てくれた。
「ラトナ様!? ここにいらっしゃいますか!?」
「ここー! たしゅけてー!」
・・・・・・また噛んだ。
「ドコです!?」
「木箱の中ーたぶん下敷きにー埋もれてうー」
いい加減疲れてきて舌が回らなくなってきたし、酸欠なのか頭がボーッとしてきた。ヤバい。
「アレ・・・・・・スしゃ・・・・・・」
「───ッラトナ様!? しっかり!」
ガコンゴトンと周りの木箱を退かす音が聞こえる。
その音に混じって遠くでもの凄い破壊音が聞こえた気がするけど、俺はだいぶ意識が遠のいていてよく分からなかった。
「───ッラトナ様! え、木箱小っさ・・・・・・ラトナ様?」
あー、俺、今カーバンクルだったわ。驚いたよね、ごめんね。
ぐったりした大型の猫型幻獣を両脇を掴んで引っ張り出すアレックスさんの顔が驚愕していたけど、フォローする気力もないんだ。スマン。
「けほっ・・・・・・は~い・・・・・・ラトナだよぉ」
「───本当にカーバンクルなんですね」
「ん・・・・・・」
とりあえず抱っこして。ココから連れ出して。
そういう思いでアレックスさんの胸に額をぐりぐり。
・・・・・・あ、ぐりぐりしたら宝玉で痛いかも、ごめんね。
アレックスさんはぐうっと呻ったあと俺をそおっとマントで包み、優しく抱き上げて運んでくれた。
「助けに来ましたからね。もう大丈夫ですよ」
「・・・・・・ん」
その言葉に安心して、緊張と恐怖で限界だった俺は意識を手放した。
そのとき周りがどうなっていたかなんて全く気にもせずに───。
木箱はカーバンクル姿の俺ならぎりぎり入れるサイズだった。
さすがにこのサイズの木箱に獣人型の俺は入れないから誤魔化されてくれるかなと思って、ジッと息を潜めている。
今ココね!
現実逃避に回想してたけど終わっちゃったよ!
大した内容じゃないもんね。当然だよね!
いまだにここがドコなのか分からない。
あのカフェから近いのか遠いのかも全然見当がつかないから、上手く外に逃げられたとしてもどっちの方向に行けばいいのかも分からない。
もう、八方ふさがりだった。
誰でもいいからたーすーけーてー!
心の中で叫んでいると、俺を探してるヤツらが見つからねえと俺の潜んでいる木箱辺りを八つ当たりのように蹴飛ばしていった。
俺は必死に声を抑えてガマンしていたが、どうやら他の木箱の下敷きになってしまったみたいで、ヘンな体勢で身動きが取れなくなってしまった。
まぁ獣姿で柔軟だから何とか堪えてるけど、正直辛い。
それから更に三〇分くらいは経っただろうか。
不意にあの男達以外の声や足音が増えてきた。俺はアイツらの増援の悪いヤツらが来たのかと思って更に縮こまるように丸まった。
そこに冒険者ギルドで聞いた声が聞こえてきてハッとする。
「───トナさ───ラトナ様ー!」
この声、アレックスさんだ! 見廻り騎士団長!
助けに来てくれたー!
俺は嬉しくなって、周りにアイツらの気配がないことを確認すると叫んだ。
「アレックスさーん! たしけてー!」
あ、噛んだ。でもアレックスさんは気付いてくれたらしく、着実に俺のいる場所まで近付いて来てくれた。
「ラトナ様!? ここにいらっしゃいますか!?」
「ここー! たしゅけてー!」
・・・・・・また噛んだ。
「ドコです!?」
「木箱の中ーたぶん下敷きにー埋もれてうー」
いい加減疲れてきて舌が回らなくなってきたし、酸欠なのか頭がボーッとしてきた。ヤバい。
「アレ・・・・・・スしゃ・・・・・・」
「───ッラトナ様!? しっかり!」
ガコンゴトンと周りの木箱を退かす音が聞こえる。
その音に混じって遠くでもの凄い破壊音が聞こえた気がするけど、俺はだいぶ意識が遠のいていてよく分からなかった。
「───ッラトナ様! え、木箱小っさ・・・・・・ラトナ様?」
あー、俺、今カーバンクルだったわ。驚いたよね、ごめんね。
ぐったりした大型の猫型幻獣を両脇を掴んで引っ張り出すアレックスさんの顔が驚愕していたけど、フォローする気力もないんだ。スマン。
「けほっ・・・・・・は~い・・・・・・ラトナだよぉ」
「───本当にカーバンクルなんですね」
「ん・・・・・・」
とりあえず抱っこして。ココから連れ出して。
そういう思いでアレックスさんの胸に額をぐりぐり。
・・・・・・あ、ぐりぐりしたら宝玉で痛いかも、ごめんね。
アレックスさんはぐうっと呻ったあと俺をそおっとマントで包み、優しく抱き上げて運んでくれた。
「助けに来ましたからね。もう大丈夫ですよ」
「・・・・・・ん」
その言葉に安心して、緊張と恐怖で限界だった俺は意識を手放した。
そのとき周りがどうなっていたかなんて全く気にもせずに───。
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