15 / 30
箱庭の外の世界 2
しおりを挟む
───というわけで街に近付くまでは馬車の中で窓のカーテンも閉めたまま移動になった。
万が一見られて大騒ぎになっても困るからね。
護衛騎士達は少し離れた前後を護るように騎馬で進むそうだ。
「そういえばサイファって転移魔法でひとっ飛びじゃなかったっけ? ソレなら早いんじゃないの?」
だから俺のいた小島にも好きなときに転移で行けるって言ってたよね?
「ああ・・・・・・王城内は転移や攻撃系の魔法は基本的に緊急時以外は使用禁止で、そもそも王城内は発動できないように魔導具が設置されてるんだ」
「へー、そうなんだ。じゃあ仕方ないね」
「(ラトナを連れて転移してきたことは俺にとっては緊急事態だった)」
「ん? 何か言った?」
「イヤ?」
詳しく聞くと、掃除や料理に使う生活魔法という一般的な小さな魔法はオッケーなんだって。
魔導具が是否を判定しているらしい。
ついでにそのお城や街のことも聞いてみた。
サイファが言うには、お城は高台にあって城の裏側は主に城勤めの騎士や兵士、使用人達の宿舎があるそうだ。
もちろん通いの人達もいるが、基本的には宿舎で寝泊まりしているそうだ。
「城への出入りも厳しくチェックされるから、大概の者は敷地内に住み込みだ。外出や外泊は手続きすれば可能だからそこまで不便はない」
「確かに出入りのチェックの方が防犯の面でも面倒そうだもんね。ソレに夜間勤務とかあったらいちいち出入りするの大変だろうし」
そして城の正面側に広がるのが城下街、王都というわけだ。
城をぐるっと囲って高い塀があり、そこを抜けると王都の街並みが広がる。
城に一番近い区域は貴族街で、多数の貴族家の邸があり、その次に貴族街で主に商売をする高級な店が建ち並び、更にその先が一般的な住人の生活区域となるそうだ。
更にその街並みごとぐるっと高い塀で囲ってあって、魔物や敵が入り込めないようになっている。
「区域ごとに分かりやすい姿で警備の騎士達や自警団などが見廻っているから、揉め事があればそちらの騎士達に声をかけるといい」
着いたらまず顔合わせをしておこう、とサイファが真面目な顔でそう言った。
そうだね。顔を知っておいて貰うの大切だね!
「うん。ないとは思うけど万が一逸れたりしたら助けを求めるよ。あっじゃあ、もし迷子になったときのルールも決めておかない?」
「ルール? まぁ護衛騎士も影の者もいるし、ラトナが一人になることはないと思うが」
「その護衛騎士達にも逸れた場合は○○に行って待つとかそういうのあった方がいいと思って。俺、自慢じゃないけど逸れたら絶対にサイファを探せない自信があるし」
聴力解放したら最悪頭が割れそうになって気絶するだろうし、嗅覚もたぶん鼻がおかしくなると思う。
それでパニックになってカーバンクルの姿になっちゃったら速攻で誘拐監禁、下手したら危害を加えられて殺されるかも・・・・・・。
「だから確実に『ココなら安全』っていう場所を決めて欲しいな」
「───そうか、そうだな。用心するに越したことはないな。顔合わせをする予定の建物を待ち合わせ場所にしよう」
「俺でも分かりやすい場所?」
全く知らない街だから目立つ建物だといいな。
「ああ。俺が最初に冒険者登録した場所で拠点にしている冒険者ギルドだ」
「───っ! 冒険者ギルド!!」
異世界で定番中の定番! サイファがやってる冒険者達の元締め(言い方がヘンかもしれないが)!
「なんか嬉しそうだな? そんなに凄い場所ではないと思うが・・・・・・」
俺の食いつきに若干引き気味のサイファ。でも構わずグイグイいかせて貰うぜ!
「いやもう、冒険者とか冒険者ギルドとかって響きがいい! ね、俺も冒険者になれる!?」
「・・・・・・え? いや・・・・・・うーん、どうだろう? そもそも幻獣って冒険者の規定に当てはまるのか?」
サイファがブツブツと何やら考え込んでしまったが、俺はウキウキしまくって妄想をしだしたので気にならなかった。
───まぁたぶん無理だろうけどね。でも中を見学するくらいはいいよね?
「・・・・・・おい、馬車の中で暴れるな! 危ないぞ!」
着いたら一番最初に見廻るところが決まったとはしゃぐ俺を宥めながら抱きしめるサイファ。
あとで聞いたら護衛騎士達は不自然に揺れる馬車を見てちょっとあらぬコトを想像したらしいですよ。
・・・・・・すっごい恥ずかしい!
あらぬコトってピーなことやピーなことですよね!?
蜜月だから? 当たり前? マジっすか!
教訓。
馬車では大人しくしてましょう。
俺、学んだよ。
すぐ忘れると思うけどね!
万が一見られて大騒ぎになっても困るからね。
護衛騎士達は少し離れた前後を護るように騎馬で進むそうだ。
「そういえばサイファって転移魔法でひとっ飛びじゃなかったっけ? ソレなら早いんじゃないの?」
だから俺のいた小島にも好きなときに転移で行けるって言ってたよね?
「ああ・・・・・・王城内は転移や攻撃系の魔法は基本的に緊急時以外は使用禁止で、そもそも王城内は発動できないように魔導具が設置されてるんだ」
「へー、そうなんだ。じゃあ仕方ないね」
「(ラトナを連れて転移してきたことは俺にとっては緊急事態だった)」
「ん? 何か言った?」
「イヤ?」
詳しく聞くと、掃除や料理に使う生活魔法という一般的な小さな魔法はオッケーなんだって。
魔導具が是否を判定しているらしい。
ついでにそのお城や街のことも聞いてみた。
サイファが言うには、お城は高台にあって城の裏側は主に城勤めの騎士や兵士、使用人達の宿舎があるそうだ。
もちろん通いの人達もいるが、基本的には宿舎で寝泊まりしているそうだ。
「城への出入りも厳しくチェックされるから、大概の者は敷地内に住み込みだ。外出や外泊は手続きすれば可能だからそこまで不便はない」
「確かに出入りのチェックの方が防犯の面でも面倒そうだもんね。ソレに夜間勤務とかあったらいちいち出入りするの大変だろうし」
そして城の正面側に広がるのが城下街、王都というわけだ。
城をぐるっと囲って高い塀があり、そこを抜けると王都の街並みが広がる。
城に一番近い区域は貴族街で、多数の貴族家の邸があり、その次に貴族街で主に商売をする高級な店が建ち並び、更にその先が一般的な住人の生活区域となるそうだ。
更にその街並みごとぐるっと高い塀で囲ってあって、魔物や敵が入り込めないようになっている。
「区域ごとに分かりやすい姿で警備の騎士達や自警団などが見廻っているから、揉め事があればそちらの騎士達に声をかけるといい」
着いたらまず顔合わせをしておこう、とサイファが真面目な顔でそう言った。
そうだね。顔を知っておいて貰うの大切だね!
「うん。ないとは思うけど万が一逸れたりしたら助けを求めるよ。あっじゃあ、もし迷子になったときのルールも決めておかない?」
「ルール? まぁ護衛騎士も影の者もいるし、ラトナが一人になることはないと思うが」
「その護衛騎士達にも逸れた場合は○○に行って待つとかそういうのあった方がいいと思って。俺、自慢じゃないけど逸れたら絶対にサイファを探せない自信があるし」
聴力解放したら最悪頭が割れそうになって気絶するだろうし、嗅覚もたぶん鼻がおかしくなると思う。
それでパニックになってカーバンクルの姿になっちゃったら速攻で誘拐監禁、下手したら危害を加えられて殺されるかも・・・・・・。
「だから確実に『ココなら安全』っていう場所を決めて欲しいな」
「───そうか、そうだな。用心するに越したことはないな。顔合わせをする予定の建物を待ち合わせ場所にしよう」
「俺でも分かりやすい場所?」
全く知らない街だから目立つ建物だといいな。
「ああ。俺が最初に冒険者登録した場所で拠点にしている冒険者ギルドだ」
「───っ! 冒険者ギルド!!」
異世界で定番中の定番! サイファがやってる冒険者達の元締め(言い方がヘンかもしれないが)!
「なんか嬉しそうだな? そんなに凄い場所ではないと思うが・・・・・・」
俺の食いつきに若干引き気味のサイファ。でも構わずグイグイいかせて貰うぜ!
「いやもう、冒険者とか冒険者ギルドとかって響きがいい! ね、俺も冒険者になれる!?」
「・・・・・・え? いや・・・・・・うーん、どうだろう? そもそも幻獣って冒険者の規定に当てはまるのか?」
サイファがブツブツと何やら考え込んでしまったが、俺はウキウキしまくって妄想をしだしたので気にならなかった。
───まぁたぶん無理だろうけどね。でも中を見学するくらいはいいよね?
「・・・・・・おい、馬車の中で暴れるな! 危ないぞ!」
着いたら一番最初に見廻るところが決まったとはしゃぐ俺を宥めながら抱きしめるサイファ。
あとで聞いたら護衛騎士達は不自然に揺れる馬車を見てちょっとあらぬコトを想像したらしいですよ。
・・・・・・すっごい恥ずかしい!
あらぬコトってピーなことやピーなことですよね!?
蜜月だから? 当たり前? マジっすか!
教訓。
馬車では大人しくしてましょう。
俺、学んだよ。
すぐ忘れると思うけどね!
501
お気に入りに追加
631
あなたにおすすめの小説
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
────────────
※感想、いいね大歓迎です!!
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
攻略対象者やメインキャラクター達がモブの僕に構うせいでゲーム主人公(ユーザー)達から目の敵にされています。
慎
BL
───…ログインしました。
無機質な音声と共に目を開けると、未知なる世界… 否、何度も見たことがある乙女ゲームの世界にいた。
そもそも何故こうなったのか…。経緯は人工頭脳とそのテクノロジー技術を使った仮想現実アトラクション体感型MMORPGのV Rゲームを開発し、ユーザーに提供していたのだけど、ある日バグが起きる───。それも、ウィルスに侵されバグが起きた人工頭脳により、ゲームのユーザーが現実世界に戻れなくなった。否、人質となってしまい、会社の命運と彼らの解放を掛けてゲームを作りストーリーと設定、筋書きを熟知している僕が中からバグを見つけ対応することになったけど…
ゲームさながら主人公を楽しんでもらってるユーザーたちに変に見つかって騒がれるのも面倒だからと、ゲーム案内人を使って、モブの配役に着いたはずが・・・
『これはなかなか… 面白い方ですね。正直、悪魔が勇者とか神子とか聖女とかを狙うだなんてベタすぎてつまらないと思っていましたが、案外、貴方のほうが楽しめそうですね』
「は…!?いや、待って待って!!僕、モブだからッッそれ、主人公とかヒロインの役目!!」
本来、主人公や聖女、ヒロインを襲撃するはずの上級悪魔が… なぜに、モブの僕に構う!?そこは絡まないでくださいっっ!!
『……また、お一人なんですか?』
なぜ、人間族を毛嫌いしているエルフ族の先代魔王様と会うんですかね…!?
『ハァ、子供が… 無茶をしないでください』
なぜ、隠しキャラのあなたが目の前にいるんですか!!!っていうか、こう見えて既に成人してるんですがッ!
「…ちょっと待って!!なんか、おかしい!主人公たちはあっっち!!!僕、モブなんで…!!」
ただでさえ、コミュ症で人と関わりたくないのに、バグを見つけてサクッと直す否、倒したら終わりだと思ってたのに… 自分でも気づかないうちにメインキャラクターたちに囲われ、ユーザー否、主人公たちからは睨まれ…
「僕、モブなんだけど」
ん゙ん゙ッ!?……あれ?もしかして、バレてる!?待って待って!!!ちょっ、と…待ってッ!?僕、モブ!!主人公あっち!!!
───だけど、これはまだ… ほんの序の口に過ぎなかった。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
彼の至宝
まめ
BL
十五歳の誕生日を迎えた主人公が、突如として思い出した前世の記憶を、本当にこれって前世なの、どうなのとあれこれ悩みながら、自分の中で色々と折り合いをつけ、それぞれの幸せを見つける話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる