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51 御対面 1
しおりを挟む暫く待っていると、王城から迎えの馬車が来たと連絡があった。
「殿下、セッカ殿方も馬車にどうぞ」
「ああ」
「あ、リンリン! あとで商会に例のブツ届けに行くから。何時がいい?」
「おい、物騒な物言いだな。素材と言え素材と!」
「いてっ! ごめん!」
衛兵の声にロルフが応えて、俺も移動しようとして気付いた。サラマンダーやらの素材の取引だ。
するとダートにぺしっと叩かれた。
ああうん、ヤバい取引に聞こえるか。スマン。
「あ、えっと、当分は商会におりますので大丈夫ですが、事前に連絡を頂けると助かります」
戸惑いつつそう言うリンリンに分かったと告げて俺達は詰め所をあとにした。
だから残されたリンリン達の会話には気付かなかった。
「・・・・・・まさか王子殿下だったなんて。それならセッカ殿は王子妃・・・・・・」
「大公家とか辺境伯家とか・・・・・・」
「俺ら、セッカに飯炊き依頼してたんだぜ?」
「大丈夫なのか!?」
「いやいや、ロルフ──ロルファング第三王子殿下も言ってたろう。不敬じゃないって!」
セッカ達が消えたあとの部屋で今更ながら焦るエインス達に衛兵が笑って言った。
「彼の御方はあの通り、王族ですが番い様以外はどうでもいいような方ですから、心配ないですよ」
「・・・・・・確かに、偉ぶったところもなかったですし。まあ、せっかくの商機ですから知り合えたことを喜びましょう。それにそんなこと関係なく一個人として親しくなりたい方ですよ、セッカ殿は」
「それな。あんな男前で美人なオメガ、初めてだしな」
そう気を取り直して自分達も商会に向かうべく荷馬車に乗るのだった。
一方、迎えの馬車に乗った四人と一羽、いや一頭は広い馬車内で寛いでいた。
「いやあ、ゴテゴテ煌びやかな馬車じゃなくてよかった」
そう言って椅子にだらける俺にダートが笑う。
「さすがにそんなので送迎されれば街中の注目を浴びるわ。そんなのイヤだろ?」
「一応、城に向かっても違和感のない程度の装飾にして貰ってる」
なるほど。ロルフが頼んでそうして貰ったのかも知れない。行く度に注目されちゃ堪らないし。
「うんうん。いかにもな馬車だったら絶拒してるね」
「だよね。これで来て貰ってよかったね、ロルフ。この面子じゃ歩いても目立つし」
スレッドが言うことももっともだと頷く。
ただ、ロルフはそういう意味じゃなかったらしい。
「セッカを街のヤツにも見せたくない」
「いやいや、冒険者なんだから普通に街中を歩かせてくれ」
「・・・・・・えー」
ちょっと、獣人ってそんなに嫉妬深いの?
外歩けないじゃん。
「・・・・・・ロルフ、多少は妥協しないと。番ってても窮屈だって逃げられるぞ」
ダートがロルフの耳元でそうこっそり囁くとピクッと反応したロルフ。
「・・・・・・俺と一緒にいるなら・・・・・・」
「え、もちろん! じゃああとでリンリンの店に行って、冒険者ギルドにも行って、あと市場とかお店見て──」
「はいはい、謁見が終わったらな」
「───ぅげっ・・・・・・するんだ? ていうか着る服ないけど?」
「大丈夫、俺がオーダーして作らせてある」
「・・・・・・サイズは・・・・・・いやいや聞かない。応えなくていいぞ!」
謁見用の正装なんてないじゃんと思ったらそうロルフに言われて思わず聞いたらニヤリと笑われた。
アレは絶対、えっちのときに散々見て触ってるから分かるだろうって笑みだ! 藪蛇だった!
思わず顔が赤くなってしまい、ロルフだけでなくそこにいる全員にニヤニヤされた。
クソ恥ずかしい。
※もうすぐロルフの家族に会えるかな?
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