男前で何が悪い!

エウラ

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47 一時帰国 1

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「───おめでとう・・・・・・で、いいんだよな?」
「やっとかって感じだけどね」

アレから再び盛りそうになったロルフを宥めて身支度を整えた俺達は、若干気不味げに食堂に入った。

辺境伯家に来たのがお昼過ぎ。そのあと肉体言語という話し合いで漸く番いになってロルフの部屋から出てきたのがもう夕飯時。

出て来るのを待っていたように執事のマーカスがやって来て、食堂に案内してくれたんだ。

他所様の家でヤることヤった後なのでなんともいえない空気だったが、正直、空腹だったからありがたいと中に入ってみれば、何時用意したのか御祝いパーティーの準備が整っていた。

「あー、うん・・・・・・。無事に番いました」
「さすがに無理矢理では・・・・・・」
「「ないない!!」」

俺が恥ずかしくて躊躇いがちに言ったせいでオーウェンがピリッとした声音になったため、二人して速攻否定した。

「ならいいが・・・・・・ともかくめでたい! 今夜は皆、好きなだけ飲んで騒ごう!」
「おめでとう!」
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
『食うぞー!』

どこにいたのか、いつの間にかコハクも加わった。食いしん坊め。
辺境伯家の皆や使用人達までも御祝いの言葉を発してにぎやかなパーティーが始まり、辺境伯家はその夜、遅くまで灯りが灯って楽しそうな笑い声が響いていた。

───翌日の昼前に目が覚めた俺は、隣で眠っているロルフの唇に触れるだけの口吻をすると身支度を整えた。
ロルフはだいぶ飲んで・・・・・・いや飲まされていたからまだ寝かせておこう。

『コハク、隣のエーデルシュタインってどんな国? 知ってる?』

俺はコハクに念話で聞いてみた。
コハクは首を傾げて考え込む。

『うーむ、我が見聞きしたのはかなり前だからなあ・・・・・・』
『そういえばずっと寝てたんだっけ。じゃあ期待できないな』
『うっ・・・・・・スマン。そうだ、今からひとっ飛びして───』
『しなくていい! これからどうせ行くんだから!』

今にも翔んで行きそうなコハクを慌てて掴んで止めると溜息を吐いた。

『まあ、ルゥルゥを見る限り心配はないと思うし。事前情報なしの方が新鮮でいいかもな』
『そうだな・・・・・・あ、いや、一つ懸念事項があった』
『・・・・・・え?』
『前に一度、あの国に現れて騒がれたことがあった・・・・・・。もしかしたら未だにその話が伝わってるかも』

気不味そうにそう言うコハクに顔を引き攣らせた俺は悪くないと思う。

───一体、何やらかしたんだよ!

俺はそれを聞いて、ベッドで呑気にすよすよ寝ているロルフを叩き起こしたい衝動に駆られたが、グッと堪えた。いや、寝かせたままにしてるの俺だし!

でもなんかいやーな予感がする。聞いてしまったら、おそらくロルフの国に行きたくなくなると思う。

「・・・・・・はー、行きたくない」
『・・・・・・スマン』

思わず念話でなく普通に声に出してしまい、ソコだけロルフに聞かれて・・・・・・。

「何で行きたくないんだよ! 昨日の今日でもうイヤになっちゃったのか!?」

寝起きのロルフに涙目でそう叫ばれて、肩を掴んでぐわんぐわんと揺さぶられた俺は気持ち悪くなって嘔吐いてしまい、まさかもうデキたのか!? 悪阻か!? って更に揺さぶられて意識を失った。いや、デキてないからな!

───そもそもデキてたとしたらこんなに揺さぶっちゃアウトだろーが!

そう心の中で叫んで・・・・・・。

少しして大騒ぎしているロルフに気付いたダート達が駆け付けて、未だに揺さぶっているロルフを殴り飛ばして俺を救出してくれたそうだ。

「───この駄犬がっ!!!」
「・・・・・・すみません」

意識を取り戻した俺は、自分の言葉が原因にもかかわらず、正座をするロルフに理不尽にもそう罵って溜飲を下げたのだった。

「尻に敷かれてる」
「ウチの親みたい」
「ソレは言っちゃいけないだろ」
「いや、これが夫夫円満のコツだって」

そんなことを辺境伯四兄弟が言ったとか言わなかったとか。

そんな一悶着のあと。
その翌日、セッカとコハクとロルフはダートとスレッドと一緒にエーデルシュタイン国に向かうのだった。




※とりあえずもう少し続く予定です。このあとはエーデルシュタイン国。





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