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44 ただいま
しおりを挟む帰るとなってからのセッカ達の行動は早かった。
元々セッカは何時までもグジグジ悩むタイプではない。今回は立て続いた命の危機と9年前からの逃亡で疲弊していたからこんなことになっただけで。
アシェルはともかく、前世は本来サバサバした男前の性格なのだ。
なので辺境伯家の全員、使用人までもが玄関先で出迎えていても、居たたまれないとか気まずいとかの感情はさっぱりなかった。
「お久しぶりです。すみませんでした!」
「何の! こちらこそ申し訳無かった! 無事でよかった」
「お帰りなさい」
「───ただいま」
辺境伯家の皆に迎え入れられて、セッカは嬉しくて笑った。
「前に紹介が出来なかった家族を紹介するよ。ひとまず中へ入ろう」
辺境伯オーウェンがそう言って、皆もいそいそと動き出す。
そしてサロンについてお茶を出されると、オーウェンが話し出した。
「妻のシルヴィオだ。それと長男のレオパルド、次男のネージュ、三男のシュネーだ。前回の騒ぎはこのシュネーの独断による暴走だったんだ。本当にすまなかった」
そう言って頭を下げたからセッカは慌てて言った。
「もうすんだことで、ロルファングにも聞きましたし、謝罪は受け取りますから頭を上げて下さい!」
「辺境伯、セッカは怒ってないですよ。それよりも楽しい話をしましょうよ」
「・・・・・・む、そうか、そうだな」
ロルフの言葉に漸く顔を上げて笑ったオーウェン達にセッカも笑みを浮かべる。
もうこの話は終わりという感じで、楽しいお茶会が始まった。
「それで、セッカも見つかったし、俺はセッカを連れて一度国に戻ろうと思う」
「───は? 聞いてないんだけど?」
ポカンとして思わずそう言うセッカに、そういえば言ってなかったなと苦笑したロルフ。
「スマン、あの騒ぎで伝え忘れてた。俺が隣国エーデルシュタインの第三王子って話はしたろう? 実は子供の頃に向こうの王宮専属の預言者に俺の運命の番いがこの国にいるって言われたから、それからずっと辺境伯家に住んで探してたんだよ」
「へー、そんな予言が・・・・・・」
「で、その運命の番い、つまりセッカをみつけたから、一度顔見せに帰ろうかと・・・・・・」
「・・・・・・ん? 俺が? 運命の番い?」
そういえば何時だったかヤってるときに聞いたような? なんてセッカが思考を逸らしていると。
「・・・・・・今更? またセフレみたいな勘違いを・・・・・・?」
ロルフの言葉に不穏な空気が漂った。
「え、だって預言者とか今初めての情報だよ? 大体、俺、獣人の性質とか全く知らないんだけど。言ったよね? 記憶ないって。そこらへんの常識も怪しいのに獣人のことなんか知らないに決まってんじゃん」
セッカがジト目でロルフを見つめる。
確かに記憶喪失を前提に考えないと、齟齬が生じる。
「あー、スマン。そうだった。卿、悪いけどセッカとちょっと話し合いします」
「ああ、うん。お前の部屋で気の済むまで語り合ってくるといい」
「失礼します」
「あ、はい。じゃあ俺もすみません」
「しっかり話し合えよ」
苦笑しながら見送るオーウェン達を背に、セッカとロルフは部屋へと移動していくのだった。
「・・・・・・セッカ、大丈夫かな?」
「そっかー、何にも分からないんだね」
「ていうか、セフレ?」
「この前、ずっとそう思ってたってセッカに言われてた。ロルフの落ち込みようったら・・・ぷぷっ!」
「アレはヤバかったね。自業自得だったけど」
「ヘタレだもんなあ、アイツ」
シルヴィオ達が心配する中、ダート達が思い出し笑いでそんなことを言って、オーウェン達も笑っていた。
※うわー御無沙汰😅
ちょっとここらで完結かもう少し続けるか悩み中なんです。きりよく終わりそう?
一応もう少し続く。その先はちょっと不明。
応援ありがとうございます!
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