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36 急転直下
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※ちょっと説明文が多くて読みにくいかもです。
───結果的に言うと、ウェイバー侯爵家は没落した。
セッカが逃げたあの後・・・。
ロルフ達の手に入れた証拠がきっかけとなり、ウェイバー侯爵家に王宮から調査が入ったらしい。
最初の罪状はもちろん『悪魔の吐息』の隠蔽・虚偽報告。
コレだけでも十分に王家反逆罪に問われる。
王宮で管理される劇薬を偽って所持していたのだから。
そして調査の結果、マンティコアの討伐に全て使われたと思われていたその劇薬を所持していたのは、次期当主予定の養子の次男リアムの婚約者でウェイバー侯爵の実子である三男ルカだった事が判明。
そこから詳しく調べて、辺境伯家でのセッカ殺害未遂の容疑から、更には9年前のアシェルの馬車転落事故死にまで遡って、ルカの所業が芋づる式にはっきりしたのだった。
コレにはロルフ達も驚いた。
9年前の証拠などほとんど残っていなかったのだから。
だがヤケになったのか単に浅い思考の持ち主だったのか、こちらが何も聞かずともベラベラと語ってくれたそうだ。
───その全貌はこうだ。
リアムが養子になってウェイバー侯爵家に来たときから、ルカはリアムに一目惚れをした。
だがリアムはルカに義弟以上の情は持たずに、反対にアシェルを慕っていった。
それこそルカがリアムに寄せた好意のように・・・。
それに嫉妬したルカは、自分の可愛さを武器に、あること無いこと・・・ほとんどが冤罪だが、邸中の使用人達や両親に言いふらして、さもリアムに嫉妬したアシェルが元孤児の養子だということを理由に虐めているという流れを作った。
それを信じた皆がアシェルを邪険に扱いだし、リアムと接触できないように別邸に押し込めた。
リアムには表向き、アシェルは流行病に罹って隔離されて療養中と話してあり、リアムは素直に信じて快復を願った。
そうするウチに王都で国王陛下の生誕祭が行われることになり、嫡子として一応出席させねばならず、病気療養中を理由にアシェルだけ別行動で王都のタウンハウスの一つに連れて行った。
ここでも家族との接触を拒まれたアシェルは、絶望に打ちひしがれて一人寂しく生誕祭も従者一人だけ連れて壁の花になっていた。
そこに辺境伯とロルフが偶然接触して、後はロルフの言うとおり。
アシェルはロルフとの短い時間の逢瀬を楽しんだ後、事故に見せかけて殺された。
・・・・・・実際には生きていたのだが。
───しかし何故、当時6歳の子供の言うことを皆が真に受けたのか・・・。
どうやらルカは『魅了』の特殊スキルを持っていたらしい。
ソレは強弱はあれど主に吸血鬼族が持つ能力の一つ。
吸血鬼族はこの力で相手を魅了し、血を飲むのだ。
それをルカが何故か持っており、これで周りの者を良いように操っていたらしい。
ただコレは自分より格上の相手には通用しないため、何処からか聞きつけた吸血鬼族の真祖・アルカードがヒョイと現れて解除しまくった上にルカの魅了の能力を封じていったため、今は問題ないが・・・。
さて、アシェルの事故死の後、ウェイバー侯爵家ではリアムを次期当主に据えてルカが婚約者に収まり、めでたしめでたし・・・と思ったら、最近、リアムの持つ魔石に気付いたルカが、魔石からアシェルの魔力を感じ取り、まだ生きているのでは・・・と不安になった。
そこでこっそりその魔石を使い、冒険者ギルドに魔石の魔力と同じ冒険者がいないか金を握らせて問い合わせ、情報を得る。
───『セッカ』という冒険者が9年前に冒険者登録をしている、と。
ピンときたルカは影を使って情報を集め、アシェルだという確証を持って殺害計画を練り、そして影や吸血鬼、横恋慕する使用人を使い実行した。
───リアムはといえば、アシェルは闘病の末、生誕祭での無理が祟って寿命が残り少なくなったとヤケになり、無謀に森に向かって死のうとした、などと嘘を吹き込まれてずっとそれを信じていた。
ソレもやはりルカが魅了で思い込ませていたのだが・・・。
魅了が解けた後、リアムは茫然自失でくずおれていたが。
───その後はあっと言う間に爵位剥奪、領地没収、平民落ち。
『悪魔の吐息』の件だけでも王家反逆罪で本来ならば一族郎党、処刑されただろうが、魅了で操られていたということと、直接殺害計画に関わってはいなかったことで刑は緩和された。
ただ、ルカだけは一生出ることの叶わない修道院で、監視されながら生涯を過ごすことになった。
「───なんで僕が───!! アシェルが、アイツが全部悪いんだっ!!」
そんなことを喚きながら、修道院に連れて行かれたそうだ。
リアムは力無く項垂れているだけ。
現実を受け止めきれないのだろう。
無理もない。
自分が慕っていた、淡い恋心を抱いていた義兄が知らないうちに貶められ、実弟に命を狙われて絶望のウチに命を散らしかけたのだ。
その事実を知らされて、自分の不甲斐なさに打ちひしがれているのか、それとも・・・。
───どちらにせよ、もうここにアシェルが戻ることは無い。
ロルフはその場に同席していたが、コトの終わりを静かに見つめた後、無表情でその場を去った。
※御無沙汰してました。体調はぼちぼち。
所用は今月いっぱいあって忙しく・・・。
駆け足で事件が解決しました。
詳しく書きません。書けません(笑)。
苦情は受け付けません。悪しからず。
後日、リアムとルカの視点を書く予定です。
───結果的に言うと、ウェイバー侯爵家は没落した。
セッカが逃げたあの後・・・。
ロルフ達の手に入れた証拠がきっかけとなり、ウェイバー侯爵家に王宮から調査が入ったらしい。
最初の罪状はもちろん『悪魔の吐息』の隠蔽・虚偽報告。
コレだけでも十分に王家反逆罪に問われる。
王宮で管理される劇薬を偽って所持していたのだから。
そして調査の結果、マンティコアの討伐に全て使われたと思われていたその劇薬を所持していたのは、次期当主予定の養子の次男リアムの婚約者でウェイバー侯爵の実子である三男ルカだった事が判明。
そこから詳しく調べて、辺境伯家でのセッカ殺害未遂の容疑から、更には9年前のアシェルの馬車転落事故死にまで遡って、ルカの所業が芋づる式にはっきりしたのだった。
コレにはロルフ達も驚いた。
9年前の証拠などほとんど残っていなかったのだから。
だがヤケになったのか単に浅い思考の持ち主だったのか、こちらが何も聞かずともベラベラと語ってくれたそうだ。
───その全貌はこうだ。
リアムが養子になってウェイバー侯爵家に来たときから、ルカはリアムに一目惚れをした。
だがリアムはルカに義弟以上の情は持たずに、反対にアシェルを慕っていった。
それこそルカがリアムに寄せた好意のように・・・。
それに嫉妬したルカは、自分の可愛さを武器に、あること無いこと・・・ほとんどが冤罪だが、邸中の使用人達や両親に言いふらして、さもリアムに嫉妬したアシェルが元孤児の養子だということを理由に虐めているという流れを作った。
それを信じた皆がアシェルを邪険に扱いだし、リアムと接触できないように別邸に押し込めた。
リアムには表向き、アシェルは流行病に罹って隔離されて療養中と話してあり、リアムは素直に信じて快復を願った。
そうするウチに王都で国王陛下の生誕祭が行われることになり、嫡子として一応出席させねばならず、病気療養中を理由にアシェルだけ別行動で王都のタウンハウスの一つに連れて行った。
ここでも家族との接触を拒まれたアシェルは、絶望に打ちひしがれて一人寂しく生誕祭も従者一人だけ連れて壁の花になっていた。
そこに辺境伯とロルフが偶然接触して、後はロルフの言うとおり。
アシェルはロルフとの短い時間の逢瀬を楽しんだ後、事故に見せかけて殺された。
・・・・・・実際には生きていたのだが。
───しかし何故、当時6歳の子供の言うことを皆が真に受けたのか・・・。
どうやらルカは『魅了』の特殊スキルを持っていたらしい。
ソレは強弱はあれど主に吸血鬼族が持つ能力の一つ。
吸血鬼族はこの力で相手を魅了し、血を飲むのだ。
それをルカが何故か持っており、これで周りの者を良いように操っていたらしい。
ただコレは自分より格上の相手には通用しないため、何処からか聞きつけた吸血鬼族の真祖・アルカードがヒョイと現れて解除しまくった上にルカの魅了の能力を封じていったため、今は問題ないが・・・。
さて、アシェルの事故死の後、ウェイバー侯爵家ではリアムを次期当主に据えてルカが婚約者に収まり、めでたしめでたし・・・と思ったら、最近、リアムの持つ魔石に気付いたルカが、魔石からアシェルの魔力を感じ取り、まだ生きているのでは・・・と不安になった。
そこでこっそりその魔石を使い、冒険者ギルドに魔石の魔力と同じ冒険者がいないか金を握らせて問い合わせ、情報を得る。
───『セッカ』という冒険者が9年前に冒険者登録をしている、と。
ピンときたルカは影を使って情報を集め、アシェルだという確証を持って殺害計画を練り、そして影や吸血鬼、横恋慕する使用人を使い実行した。
───リアムはといえば、アシェルは闘病の末、生誕祭での無理が祟って寿命が残り少なくなったとヤケになり、無謀に森に向かって死のうとした、などと嘘を吹き込まれてずっとそれを信じていた。
ソレもやはりルカが魅了で思い込ませていたのだが・・・。
魅了が解けた後、リアムは茫然自失でくずおれていたが。
───その後はあっと言う間に爵位剥奪、領地没収、平民落ち。
『悪魔の吐息』の件だけでも王家反逆罪で本来ならば一族郎党、処刑されただろうが、魅了で操られていたということと、直接殺害計画に関わってはいなかったことで刑は緩和された。
ただ、ルカだけは一生出ることの叶わない修道院で、監視されながら生涯を過ごすことになった。
「───なんで僕が───!! アシェルが、アイツが全部悪いんだっ!!」
そんなことを喚きながら、修道院に連れて行かれたそうだ。
リアムは力無く項垂れているだけ。
現実を受け止めきれないのだろう。
無理もない。
自分が慕っていた、淡い恋心を抱いていた義兄が知らないうちに貶められ、実弟に命を狙われて絶望のウチに命を散らしかけたのだ。
その事実を知らされて、自分の不甲斐なさに打ちひしがれているのか、それとも・・・。
───どちらにせよ、もうここにアシェルが戻ることは無い。
ロルフはその場に同席していたが、コトの終わりを静かに見つめた後、無表情でその場を去った。
※御無沙汰してました。体調はぼちぼち。
所用は今月いっぱいあって忙しく・・・。
駆け足で事件が解決しました。
詳しく書きません。書けません(笑)。
苦情は受け付けません。悪しからず。
後日、リアムとルカの視点を書く予定です。
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