男前で何が悪い!

エウラ

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35 ツテやらコネやら権力やら(sideロルフ達)

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セッカとコハクが辺境伯邸から忽然と消え騒然としたものの、アルカードの情報提供を受けてからのロルフ達の行動は早かった。

オーウェンはフォルセオの冒険者ギルドのギルドマスター・・・フィストに連絡を取る。
そこから冒険者ギルドの規約違反をした者を炙りだし、その冒険者ギルドのギルマスの首をすげ替えた。

実はフィストは王都の冒険者ギルド本部から辺境地のフォルセオに派遣された、ギルド内部調査の為の諜報員だった。

他の冒険者ギルドにも定期的に密かに送り出されている諜報員は、冒険者ギルドに不干渉のはずの貴族階級の不正や内部での賄賂や情報改ざん、機密漏洩などを調査して本部に報告する役目を持つ。

そのツテであっと言う間に情報漏洩した犯人を特定したのだ。

もちろん内部調査諜報員ということは辺境伯にも内緒で。

そしてやはりアルカードの情報通り、セッカの情報を得るために動いていた大元がウェイバー侯爵家である事を確認。

ただ、犯人は上手く誤魔化しているようで、ウェイバー家の誰が主犯なのかはまだ確認が取れていない。

『一人なのか複数なのか、それとも邸中の者がグルなのかの特定にはまだ・・・・・・』
「───ふむ。仕方があるまい。短期間でコレだけ分かれば凄いことだ。スマンが引き続き頼む」
『畏まりました』

そう言って通信を切るオーウェン。


───ちなみに貴族は不干渉なんじゃ?と思っているだろうが、ギルド内部の調査という名目で動いているので規約には触れていない。
情報提供先がたまたま辺境伯貴族で、その調査結果の単なる報告なのだから。

───そこ、屁理屈と言うな。


そして行商人に扮した侯爵家の影もロルフとダートが突き止めて捕らえて尋問した結果、影でも末端の捨て駒だったらしく有用な情報は得られなかった。

ただ、やはり主犯は侯爵家の家族の中のであることは間違いなく。

『悪魔の吐息』の入手は侯爵家で行ったものらしいとの情報は得られた。
コレだけでも上々。

元々、この毒はえげつない威力の劇薬だから、調合出来る許可を持った錬金術師は片手で数えられるほど。
そして出来た薬を取り扱える薬師も限られる。

この国では王宮専属の錬金術師と薬師だけ。
そこに申請があると、内容を吟味し精査して通ったモノにだけ必要数販売をする。

だから書類は管理されて魔法で保持された書庫に保存されている。

通常ならば見ることも敵わないソレを、ロルフは己が持つコネと権力を最大限に使った。

つまり、辺境伯からの紹介状とエーデルシュタイン国第三王子の肩書きを使ったのだ。

付き従う護衛はもちろん、本国からロルフに付いているロンダート・ウルヴァル・エーデルガルドと辺境伯家四男のアルスレッド・シルヴァン・ノゥザンフォレットである。

ちなみにロンダートとはダートの本名である。
彼は本国では現王の王弟が臣籍降下した大公家の三男でロルフの従兄にあたる。

ロルフはここぞと言うときに自分の持ち得る権力を総動員したのである。

「───ロルフ、えげつな・・・」
「何を言う。こんな大層な権力、今使わずして何時使うんだ」
「だよなあ・・・」
「使いどころに困るよな」
「お前が常識ある王族で良かったわ」

周りに人気が無いことを確認してからの気の置けないやり取りに苦笑する。

「・・・セッカがこの場にいたら『お前ら何やってんだよ!』ってツッコまれそうだな」
「全くだ」
「───早く解決して迎えに行きたい・・・」

独りごちたロルフに二人は苦笑いしたのだった。


───そんな三人は閲覧許可が下りると書庫に籠もりきりになり、お茶休憩もなく一心不乱に資料を漁って欲しい情報が得られると、若干疲れてはいたが晴々しい表情で書庫をあとにした。

「───やはり記録に残ってるな」
「さすがに『悪魔の吐息コレ』は王家管理のモノだからな。如何ともしがたいだろうよ」
「おかげで良い証拠になった」

出て来た記録は半年ほど前のモノ。
『ウェイバー侯爵領地内に発生したマンティコアの討伐のため』となっていた。
確かに申請許可は下りるだろう。

失敗したときのために若干多めに渡されるその毒薬は、残ったら破棄する決まりだ。

だが『悪魔の吐息』は使い切ったとされている。

『上手くマンティコアに致命傷を与えられず、使い切った』

故に手元には残っていない───。

そう追記で記載されていた。
だがソレを確認することは出来ない。
余ったかもしれない毒の行方は闇の中。

───ソレが今回セッカ殺害未遂に使われたモノと同じだったら?

今回の毒薬は鑑定でしっかり製作者の情報も見る事が出来た。
鑑定結果には王宮専属の錬金術師の名前が出た。

そしてこの後、本人にも確認を取った。

「・・・間違いなく、半年ほど前に申請されて自分が調合、錬成したモノです」

そう証言が取れた。
コレだけでも虚偽報告で立件出来る。


「───真犯人は絶対に捕まえてやるからな、セッカ。待っていろよ」

不敵に笑うロルフだった。







※書けたので連投します。
明日はたぶん無理そうなので。









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