男前で何が悪い!

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10 魔力譲渡という名のセフレ 1

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※本番はたぶん次の話で。
書き上がったので更新しました。


「ココが俺が定宿にしている宿だ。一階は食堂兼酒場で、宿泊者は朝晩の食事を含めた料金を払っていれば、鍵を見せることで営業時間中なら好きなときに日替わりメニューの食事が出来る。飲み物や他の料理は別料金を追加で払えば良い」

ロルフはセッカを抱き上げたまま扉を潜るとそう説明した。

「・・・へえ。綺麗なところだね」
「経営者が綺麗好きだからな。───宿主、何時もの俺の部屋、空いてるか?」

受付で声をかけると、奥からバタバタと足音がした。

「───おお、ロルフさんじゃないか。ダートさん達に聞いてるよ。部屋はそのまま残してあるから。あっ、簡易ベッドをいれて置いたけど、狭かったらツインの部屋に変えるから言ってくれ」

そう言った宿の主人は、筋骨隆々でロルフよりも大きかった。

───熊?

「ありがとう、助かる。取りあえず今の部屋に泊まるよ。追加料金は後で良いか?」
「気にしなさんな。ロルフさんとウチの仲じゃないか。後で纏めて請求するよ。ええと・・・」
「・・・あ、失礼しました。セッカと言います。御世話になります」
「うんうん、セッカさんね。何でも遠慮しないで言ってね。話は聞いてるからゆっくり養生するんだよ」
「・・・・・・ありがとう、ございます」

宿主と別れて二階の部屋に入ると、ロルフはセッカをベッドに下ろす。

「朝、食べてないから、軽く食べて薬飲んで」
「ありがとう、何から何まで・・・」

セッカはベッドの上で行儀悪いと思いつつも、バレないようにインベントリからスープを出して、何とか飲む。

「・・・はぁ・・・」

やはり身体が重い。
熱だけのせいじゃないんだろう。
魔力枯渇に近いから重いんだろうな。
なったこと無かったから分からなかったが、自覚したらかなりしんどい。

正直、支え無しで上半身起こしてるだけで、もう辛い。

思わずベッドに倒れ込んだ。

「───セッカ、辛いか?」

ロルフが近付いてきて問いかけたから、口を開くのも億劫で軽く頷く。

「・・・薬を・・・」
「───ん・・・」

そう言って後頭部を持ち上げられ、昨日のように水薬を口移しで飲まされた。

───甘い。

口が離れたタイミングで思わず濡れた唇をペロリと舐める───甘い。

何となく怠さが減った気がする。

「・・・・・・セッカ、その。セッカは魔力枯渇に近いそうだ」
「・・・・・・ああ、コハクに、聞いた」
「それで、手っ取り早く回復させる方法があるんだが・・・・・・」
「───ああ・・・・・・アレか。・・・・・・ふふっ。ルゥルゥ、律儀に守ってくれたんだ? ・・・・・・良いぜ、ヤっても」
「───良いのか? でも・・・」

戸惑うような声にセッカはおかしくなって更に笑った。

「良いもなにも、あんた、さっきも俺に魔力流したろ? 前の薬の時も・・・え? なにか? もしかして無自覚だった?」
「───っ!!」

セッカが指摘すると、予想外の反応が返ってきて驚いた。
本人も驚いたのか顔が赤くなったルゥルゥ。

「・・・・・・マジか。でもさあ、今更じゃん? 昨日着替えさせられたって事は、俺がオメガなの、バレてるって事でしょ?」

そう指摘したら罰が悪そうな顔をしたロルフ。

「・・・・・・すまない。隠してるようだったんで、黙ってた」
「いーよ。俺も死ぬまで隠すつもりはないし。バレたらバレたで別に良い。大っぴらに言わないだけ。それにギルドカード確認して性交しないでくれたんだろ? 無理矢理じゃないなら、良い。・・・・・・念のため言っておくが、咬むなよ? ・・・・・・あんた、アルファだよな?」

───もっとも、魔法付与してあるから他人には外せないし上から咬むことも出来ないだろうけど。

「───もちろん。すまない、同じアルファだと思い込んでいたから、配慮が足りなかったな」
「もう良いって。俺が上手く隠してたってだけ。・・・・・・うんうん。上手く誤魔化せてたんだよな。ここで確認できて良かった」
「・・・・・・そうか」

微妙な感じでそう言うロルフは、静かに上着を脱いだ。

それを寝転んだベッドから見てセッカは覚悟を決める。

「───なあルゥルゥ・・・」
「・・・何だ?」

カーテンを閉めても薄明るい室内で、これから魔力譲渡の行為を行う。
その前に絶対、言っておかないといけない事があった。

「───俺さあ、初めてなんだよね」
「・・・・・・他人と魔力譲渡する事が?」
「違くて・・・セックスが」
「・・・・・・は?」
「・・・・・・つまり! ヒートも来てないし、誰かとセックスする事自体、初めてなの!! だから優しくし・・・て、欲しい・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

意を決して自己申告したが、最後は尻すぼみになってしまった。

───恥ずかしい!!

だって、前世でもシた事なかったんだもん。
未知の世界だったから、ちょっと怖い。
痛いのももちろん嫌だが、快楽に溺れたら、俺は俺じゃなくなってしまいそうで・・・。

「・・・・・・俺が・・・・・・初めて・・・・・・」
「・・・そーだよ」
「・・・俺で、良いのか?」
「え? うん。嫌悪感ないし、ルゥルゥの魔力? 何か甘くて美味しいし・・・むしろ他のヤツはイヤだな・・・何でだろ?」

セッカがそう言うのを黙って聞いていたロルフは、内心で歓喜していた。

───初めてを俺が貰えるなんて・・・!!
しかも俺じゃなきゃダメなんて・・・!!

まずは身体からでも良い。
うんと優しく、ドロドロに蕩かして甘えさせて、俺じゃなきゃダメな身体にしてから・・・。

ロルフはそんな不穏な事を心の中で思っていた。


───一方コハクは空気を読んで、宿の屋根に翔んでいって丸まり、惰眠を貪り始めた。

『・・・・・・早く終わると良いがな・・・。セッカのヤツ、魔力量半端ないからなあ・・・今日一日ヤったくらいじゃ全然だろうな・・・』

果たしてコハクの予感は当たる事になる・・・。











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