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6 ルゥルゥとの出会い 1
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※回想ですが、やっと攻めがでました。前半セッカ、後半ロルフ達の視点。
「おーい、その子があの従魔のご主人様か」
焚き火を囲んでいた冒険者達の一人が片手を上げて声をかけてきた。
「ああ。川岸で倒れていた。どうやら流されてきたようだ」
「ソレは・・・心配ですね。体調はどうですか?」
ルゥルゥが返事をすると、小綺麗な身形の30代後半の商会長らしき人が駆け寄ってきた。
商隊の幌馬車の方にも数人見える。
商会の従業員だろうか。
「・・・ありがとうございます。今のところは大丈夫です。ご迷惑をおかけして・・・」
「とんでもない! まあ最初に貴方の従魔が来たときは驚いて警戒をしましたが・・・」
「ああ。デカかったもんな! さすがにすわ魔物の襲撃かと剣を抜いちまって・・・悪かったな」
『我も慌てていて、小さくなるのを忘れていた。スマン』
「あの、コハクもスミマセンって。慌てていたからあのサイズで翔んできたらしくて・・・。普段はこのサイズなので・・・」
そう言うと、小型化してセッカのお腹に座った。
「それでソマリ殿。彼を一晩ココに泊めても良いですか? 雇い主の貴方の返答次第では俺が離れて介抱するので」
「え、いや、コハクがいるので、隅に場所をお借りできれば別に・・・」
「そんな事!! 気にしないので一緒に泊まって下さい! 護衛の皆さんもよろしいですよね?」
「もちろん」
「ソマリ殿とロルフが良いなら構わねえぜ」
「そういう訳だから、気にするな」
「・・・・・・ありがとうございます。御世話になります。俺はセッカといいます。冒険者です。ルゥルゥ、これ俺のギルドカード・・・」
そう言ってマジックバッグと見せかけてインベントリからギルドカードを取り出して皆に見えるように掲げた。
何故かポカンとする冒険者達と頬を染めるソマリ殿に首を傾げるセッカ。
「ああ、Aランクなんだ。凄いな。俺達と同じだな」
ニコッと笑ってそう言うルゥルゥに更に目を剥く冒険者二人とニコニコ顔のソマリに訳が分からないセッカ。
「───あの、俺、本当にお邪魔じゃ・・・?」
「・・・・・・いや、スマン。何でもない。ウン、大丈夫。俺はダートだ」
「・・・おう、よろしくな。俺はスレッドだ」
「私は商会長のソマリです。仕入れの帰りで、フォルセオに戻る途中だったんです。彼等は三人ともAランク冒険者で護衛を依頼してます。もう何度も御世話になっているので安心ですよ」
そう優しく教えてくれるソマリにホッとするセッカ。
「そうなんですね。あの、じゃあルゥルゥ、降ろして貰っても? ていうか皆さん、今更ですがこんな格好でスミマセン」
若干赤くなった顔を隠すように俯いてもじもじするセッカをぎゅっと抱き直して、ロルフは自分の席だったらしい焚き火の場所に移動すると、丸太の上にセッカを降ろした。
夕飯はすでに済んでいるというルゥルゥ達に断って、マジックバッグという名のインベントリからストックしておいたスープを出して飲む。
コハクには肉をたくさん出してやった。
どうも疲れからか、食欲がない。
何とか一杯飲むと、ルゥルゥに断って横になろうとした。
それを制して、ルゥルゥが自分のテントに連れて行って寝かせると、やはり疲労していたようで、ストンと眠りに落ちた。
その後のルゥルゥ達の会話は知る由もない。
いや、コハクは聞いていたがセッカ以外に関心がないのでうとうとしながら聞き流していたのだが。
「───で? 一体どうしたんだよ?」
ロルフがテントから出ると、開口一番、ダートがそう言った。
それを無表情で受け止めるロルフ。
セッカとの態度の落差が有り過ぎた。
「どうって?」
「・・・・・・あのなあ、お前とどんだけ長くつるんでると思ってんだよ。何だよ、あのあからさまな態度。キモッ!」
「ダート、言い過ぎ。でもまあ、キモいまではいかないが俺も思った。なんせ誰にも呼ばせない愛称で呼ばせてるんだもんな。・・・・・・初対面なんだよな?」
スレッドの応えにロルフは是とも否とも応えない。
───ソレが答えだ。
「・・・・・・まあ、あの子は完全に初対面な感じだったけどな。・・・普段のお前からは想像もつかんくらいの笑顔で怖かったぜ」
「失礼な」
「だってお前が笑うのって自分より強そうなヤツと対峙する時か魔物討伐の時くらいじゃん。魔王の微笑みって二つ名で言われてるヤツ。俺、天変地異の前触れかと思ったわ」
「ホント、何あの満面の笑み! ウケる!」
半分面白がって揶揄う二人にソマリがまあまあ、と間に入る。
「良いじゃないですか。やっとロルフさんにも春が来たって事でしょ? 見守ってあげましょう」
「いやいや、ロルフのアレはちょっと異常だって」
「ヤバいヤツだよな。あの子、大丈夫かな?」
「お前ら煩い」
ロルフが相変わらずの無表情でボソッと言うと三人はセッカを起こさないように静かに笑った。
そしてほのぼのと呑気に笑うソマリを他の従業員がいる馬車に寝かせて、ダート達も不寝番に入る。
「ロルフは今夜は彼に付いててやれよ。明日には街に着くし、俺ら二人は多少長く不寝番しても問題ないぜ」
そう言うダートに少し考えてから一つ頷くとテントに向かった。
「───貸しひとつなー」
ロルフはソレに片手を上げて応えて、テントに消えた。
※商隊といいつつ、馬車は二台で付いてきている従業員は4人だけという・・・どこが商隊なん?とツッコまないで下さい。
荷物はマジックバッグに入ってます。
「おーい、その子があの従魔のご主人様か」
焚き火を囲んでいた冒険者達の一人が片手を上げて声をかけてきた。
「ああ。川岸で倒れていた。どうやら流されてきたようだ」
「ソレは・・・心配ですね。体調はどうですか?」
ルゥルゥが返事をすると、小綺麗な身形の30代後半の商会長らしき人が駆け寄ってきた。
商隊の幌馬車の方にも数人見える。
商会の従業員だろうか。
「・・・ありがとうございます。今のところは大丈夫です。ご迷惑をおかけして・・・」
「とんでもない! まあ最初に貴方の従魔が来たときは驚いて警戒をしましたが・・・」
「ああ。デカかったもんな! さすがにすわ魔物の襲撃かと剣を抜いちまって・・・悪かったな」
『我も慌てていて、小さくなるのを忘れていた。スマン』
「あの、コハクもスミマセンって。慌てていたからあのサイズで翔んできたらしくて・・・。普段はこのサイズなので・・・」
そう言うと、小型化してセッカのお腹に座った。
「それでソマリ殿。彼を一晩ココに泊めても良いですか? 雇い主の貴方の返答次第では俺が離れて介抱するので」
「え、いや、コハクがいるので、隅に場所をお借りできれば別に・・・」
「そんな事!! 気にしないので一緒に泊まって下さい! 護衛の皆さんもよろしいですよね?」
「もちろん」
「ソマリ殿とロルフが良いなら構わねえぜ」
「そういう訳だから、気にするな」
「・・・・・・ありがとうございます。御世話になります。俺はセッカといいます。冒険者です。ルゥルゥ、これ俺のギルドカード・・・」
そう言ってマジックバッグと見せかけてインベントリからギルドカードを取り出して皆に見えるように掲げた。
何故かポカンとする冒険者達と頬を染めるソマリ殿に首を傾げるセッカ。
「ああ、Aランクなんだ。凄いな。俺達と同じだな」
ニコッと笑ってそう言うルゥルゥに更に目を剥く冒険者二人とニコニコ顔のソマリに訳が分からないセッカ。
「───あの、俺、本当にお邪魔じゃ・・・?」
「・・・・・・いや、スマン。何でもない。ウン、大丈夫。俺はダートだ」
「・・・おう、よろしくな。俺はスレッドだ」
「私は商会長のソマリです。仕入れの帰りで、フォルセオに戻る途中だったんです。彼等は三人ともAランク冒険者で護衛を依頼してます。もう何度も御世話になっているので安心ですよ」
そう優しく教えてくれるソマリにホッとするセッカ。
「そうなんですね。あの、じゃあルゥルゥ、降ろして貰っても? ていうか皆さん、今更ですがこんな格好でスミマセン」
若干赤くなった顔を隠すように俯いてもじもじするセッカをぎゅっと抱き直して、ロルフは自分の席だったらしい焚き火の場所に移動すると、丸太の上にセッカを降ろした。
夕飯はすでに済んでいるというルゥルゥ達に断って、マジックバッグという名のインベントリからストックしておいたスープを出して飲む。
コハクには肉をたくさん出してやった。
どうも疲れからか、食欲がない。
何とか一杯飲むと、ルゥルゥに断って横になろうとした。
それを制して、ルゥルゥが自分のテントに連れて行って寝かせると、やはり疲労していたようで、ストンと眠りに落ちた。
その後のルゥルゥ達の会話は知る由もない。
いや、コハクは聞いていたがセッカ以外に関心がないのでうとうとしながら聞き流していたのだが。
「───で? 一体どうしたんだよ?」
ロルフがテントから出ると、開口一番、ダートがそう言った。
それを無表情で受け止めるロルフ。
セッカとの態度の落差が有り過ぎた。
「どうって?」
「・・・・・・あのなあ、お前とどんだけ長くつるんでると思ってんだよ。何だよ、あのあからさまな態度。キモッ!」
「ダート、言い過ぎ。でもまあ、キモいまではいかないが俺も思った。なんせ誰にも呼ばせない愛称で呼ばせてるんだもんな。・・・・・・初対面なんだよな?」
スレッドの応えにロルフは是とも否とも応えない。
───ソレが答えだ。
「・・・・・・まあ、あの子は完全に初対面な感じだったけどな。・・・普段のお前からは想像もつかんくらいの笑顔で怖かったぜ」
「失礼な」
「だってお前が笑うのって自分より強そうなヤツと対峙する時か魔物討伐の時くらいじゃん。魔王の微笑みって二つ名で言われてるヤツ。俺、天変地異の前触れかと思ったわ」
「ホント、何あの満面の笑み! ウケる!」
半分面白がって揶揄う二人にソマリがまあまあ、と間に入る。
「良いじゃないですか。やっとロルフさんにも春が来たって事でしょ? 見守ってあげましょう」
「いやいや、ロルフのアレはちょっと異常だって」
「ヤバいヤツだよな。あの子、大丈夫かな?」
「お前ら煩い」
ロルフが相変わらずの無表情でボソッと言うと三人はセッカを起こさないように静かに笑った。
そしてほのぼのと呑気に笑うソマリを他の従業員がいる馬車に寝かせて、ダート達も不寝番に入る。
「ロルフは今夜は彼に付いててやれよ。明日には街に着くし、俺ら二人は多少長く不寝番しても問題ないぜ」
そう言うダートに少し考えてから一つ頷くとテントに向かった。
「───貸しひとつなー」
ロルフはソレに片手を上げて応えて、テントに消えた。
※商隊といいつつ、馬車は二台で付いてきている従業員は4人だけという・・・どこが商隊なん?とツッコまないで下さい。
荷物はマジックバッグに入ってます。
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