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25 どう見ても図書館です
しおりを挟む一段落ついたようで、一旦解散になった。
どうやらお父さんと副団長、上の兄二人は今日のために午前休だったようで、テキパキと着替えて出ていった。
まだお昼前だけど、忙しいから出勤するんだって。
ごめんね、俺のせいで忙しくしちゃって。
アルトは特別任務だったので、報告書作成ついでに今日と明日は休みなんだって。
良かった。
そして一人部屋を用意してくれたんだが、何故かアルトの隣。
しかも壁に扉があって、アルトの部屋と繋がってる。
いや良いんだけどね。
アルトが隣で安心するし。
まあ、コレが普通なのか全く分からないんで、気にしない。
荷物はマジックバッグという名のインベントリにあるので、特になにも必要ない。
・・・と思ってたら、何故かすでに着替えと寝衣が用意されててビックリ。
「自分のがあるから気にしなくて良いのに」
って言ったら、アルトの子供の頃の服だから気にしないでくれと言われた。
---それって何歳のヤツ?
ジト目で見てたら、ぽそっと15歳くらい?って言われた!
「・・・・・・俺、10歳以上小さく見られてた・・・」
ショック!!
もう、どんなに頑張っても成長しないもんね。
仕方ない。
その後、お昼ご飯をお母さんとアルトと一緒に食べて、午後に図書室に連れて行って貰った。
「---凄い・・・」
もうね、家にある書庫とかのレベルじゃ無かった。
蔵書の数が学校の図書館並みに凄い。
「好きなだけ読んでいいよ」
俺が相当きらきらしい目で見てたんだろう。
苦笑してアルトがそう言ってくれたので、遠慮なく読ませて貰おう!
アルトにザッとジャンルを言って出して貰った本を片っ端から読む、読む、読む。
実は俺、速読出来るのだ。
そこにこの体の身体能力が加わってもの凄い速度で読破していく。
アルトはしまいに間に合わなくなり、俺が自分で棚の下から上へ読んではしまい読んではまたしまって、と端からジャンル関係なく読み漁っていった。
もちろん立ち読みである。
この世界の事をほとんど知らない俺にしたら宝の山だった。
どれくらいそうしてたのか、アルトに抱き締められてハッとした。
「・・・アルト?」
後ろを振り返るとアルトが呆れた顔をしていた。
「---そろそろ夕御飯だよ?」
「え、あっ、ごめんね。集中するとつい・・・」
「うん。あっちでもそうだったからちょっと心配だった。案の定だね」
「うっそれは、スミマセン・・・」
促されて本棚を離れれば、背の高い本棚一つ分読み終わっていた。
「・・・・・・もしかしてこの棚丸々読んだの?」
「・・・そうみたい」
「まさか全部覚えて・・・?」
「もちろん。じゃないと知識にならないじゃん」
「・・・・・・すご・・・」
アルトが呆然としているが、凄くないよ?
「アルトはアルトの得意なことあるじゃん。俺は出来ないもん。ワイバーン乗れないし、お酒も弱かった」
「ああ、まあ・・・・・・うん。そうだな、人それぞれだな」
そんな雑談をしながら食堂に着くと、お父さん達もいつの間にか帰ってきていた。
「・・・お帰りなさい。遅くなりました?」
「いや、早めに仕事に戻った分、早く終わったのでな、夕餉に間に合って良かったよ。さあ、食べようか」
そういってお父さん達が食べ始めたので俺も食事を始める。
お昼ご飯の時も思ったけど、皆、凄く食べるよね。
俺には無理なのでかなり減らして貰った。
それでも多かったのでせっせとアルトの皿に先に載せて減らしていたけど。
アルトは知ってるから良いけど、他の皆、そんな憐れみのような目で見ないで!
コレが俺の普通なの!
お父さん達は今日持ってきたシャンパンを飲んでる。
シュワシュワがお気に入りらしい。
まだまだあります、というか減らないので出し放題。
俺もグラスに一杯だけ飲んだ。
あの二日酔いにはなりたくないので!
あのマズい解毒薬はまだ全然改良して無いんで飲みたくないです!
「ご馳走様でした。美味しかった」
心なしかぽやぽやするなあ。
やっぱりこの体はアルコールに弱い気がする。
状態異常無効化が仕事してくれない。
「・・・本当に大丈夫か?」
「父さん、俺の隣だから一緒にいるよ」
「頼むわよ。ジェイド君、お休みなさい」
「お休みなさい」
「「「お休み」」」
「父さん達もお休みなさい」
アルトに腰を支えられながら部屋へ歩いて行ったカムイを見送る4人。
「・・・・・・あんなに食が細くて・・・」
「幾ら少食と言っても少なすぎだよ」
「満足に食べさせて貰えなかったのか、食べられる精神状態じゃ無かったのか・・・」
やや重苦しい空気が立ち込めるが、考えても答えは出ない。
私たちも早めに休もう。
それぞれ自分の部屋に行って入浴し、早々にベッドに潜った。
良い夢を・・・・・・。
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