追放聖女の華麗なる転身（ショートから移動しました）

１ プロローグ

「あー、すっきりしたー！」

そう独り言を言いながらサクサク歩いて街道の森に逸れると、腰まである長くて邪魔な髪をまず切る。
さすがにその辺に棄ててはいけないからインベントリにしまって。

「コレでもう女のふりしなくて済む。ああ、楽ちんだ！　長い髪もドレスも重いんだよなー」

そうしてインベントリから冒険者装備と衣服を一式出してササッと着替える。
邸を出たときに着てた黄ばんだシャツやすり切れそうなズボンなんかよりよっぽど身なりのいい姿だ。

そりゃあ俺はこう見えてもＡランク冒険者だからな。

「あとのことは知らん。あんたらで好きにやってくれ」

こうして街道に戻ると追放先の国外、隣国へ向けてまた歩き出す。

すっかり夜の帳がおりた空を見上げながらふっと笑った。

「……やっと……自由だ」

こうして元聖女の俺はずっと憧れていた自由に向かって歩き出したのだった。