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第四章 エルフの里編
一方その頃(sideエルバート)
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俺はここエルフの里では名の知れた魔導具屋の店主で魔導具師のエルバートだ。
先日里帰りしたウィステリア様より、お連れの一人のフェイという方が本日、朝イチで俺の店にうかがうのでよろしくの、と連絡が入った。
ウィステリア様が連れて来た時点で信用に値するが、わざわざ俺に知らせる理由はないはず。
まぁ、来たら考えよう。
そんな感じで気楽に待っていたが、なかなか来ないので、仕方なく試作品の性能テストをやってしまおうかと戸締まりをして外に出た。
隠蔽の魔導具だ。
魔力を流す代わりに組み込んだ魔石を触ると、魔石の魔力でかなりの時間、隠蔽効果がある。
使用者の匂いも気配もほぼ消せる代物で、俺としてはほぼ完成品のようなモノだったが・・・。
察知された。
例のお客人に。
驚いた。
めちゃくちゃ口が悪い癖に、振り返った容姿は俺達エルフに引けを取らない美人で。
儚い、華奢な見た目なのに、襲ってくるヤツを物理でボコボコにするって・・・。
気に入った。
さっぱりして物怖じしない性格。
Aランク冒険者だという。
魔導具の話も弾んで、今夜、一緒に食事をする約束を取り付けた。
そうして美味い料理と酒を飲んで、やや酔いの回ったらしいフェイを自宅に連れ込み。
処女を貰った。
フェイはその容姿にコンプレックスがあったようで、今まで男女関係なく付き合った事がないそうだ。
俺も拒絶されることを覚悟したが・・・・・・。
可愛らしく恥じらいながら、受け入れてくれた。
嬉しくて、そのまま求婚して、フェイは半ば朦朧としながらも求婚を受け入れてくれた。
次の朝、2人でエルフの里の役場に婚姻届を出してめでたく夫夫となり、俺の作った魔導具のピアスをお互いの左耳に付けた。
ウィステリア様の邸にご挨拶にうかがうと、こうなることが分かっていたのか、ほのほの笑うウィステリア様と、あまりのスピード婚にビックリしつつも、時間は関係ないよねえ、と理解を示すアルカス夫夫。
「さすがに俺もこんなに早く婚姻することになるなんて思いもしなかったぜ・・・」
文句を言いつつも満更ではないフェイの様子に皆も大笑い。
入籍が先になってしまったが、今後の事をどうするかと話をする事になり、そのままウィステリア様の邸で話し合いをした結果。
「旦那はここにこのまま住んでてさ、フェイが転移魔法で通えば良いじゃん」
「・・・ああ、その手があったか。じゃあ、用事があるとき以外はエルバートといられるな」
「---転移魔法ってそんなに簡単なモノじゃないだろう?」
『簡単だよ!』
皆して言った。
「絶対秘密だけど。俺達には簡単なの」
「大丈夫だよ、エルバート。これで一緒にいられるな。ああでも、里の結界に弾かれちゃうか?」
「あー、大丈夫。精霊王呼ぶから」
「・・・は??」
「精霊王さーん! 出ておいで---!」
『はーい! 通行手形ね! 私の加護付きよ! お幸せにね!』
「ありがとうね---!!」
ぱっと現れて、言うだけ言うとぶんぶん手を振って消えていった精霊王。
・・・フランクだな。
2人の手元にはピアスが一組。
呆然としながらおそるおそる右耳につける。
「よっしゃ! じゃあ改めて!!」
『おめでとう---!!』
この日、フェイとエルバートは親しい友人達と精霊達に囲まれて幸せな夫夫となった。
先日里帰りしたウィステリア様より、お連れの一人のフェイという方が本日、朝イチで俺の店にうかがうのでよろしくの、と連絡が入った。
ウィステリア様が連れて来た時点で信用に値するが、わざわざ俺に知らせる理由はないはず。
まぁ、来たら考えよう。
そんな感じで気楽に待っていたが、なかなか来ないので、仕方なく試作品の性能テストをやってしまおうかと戸締まりをして外に出た。
隠蔽の魔導具だ。
魔力を流す代わりに組み込んだ魔石を触ると、魔石の魔力でかなりの時間、隠蔽効果がある。
使用者の匂いも気配もほぼ消せる代物で、俺としてはほぼ完成品のようなモノだったが・・・。
察知された。
例のお客人に。
驚いた。
めちゃくちゃ口が悪い癖に、振り返った容姿は俺達エルフに引けを取らない美人で。
儚い、華奢な見た目なのに、襲ってくるヤツを物理でボコボコにするって・・・。
気に入った。
さっぱりして物怖じしない性格。
Aランク冒険者だという。
魔導具の話も弾んで、今夜、一緒に食事をする約束を取り付けた。
そうして美味い料理と酒を飲んで、やや酔いの回ったらしいフェイを自宅に連れ込み。
処女を貰った。
フェイはその容姿にコンプレックスがあったようで、今まで男女関係なく付き合った事がないそうだ。
俺も拒絶されることを覚悟したが・・・・・・。
可愛らしく恥じらいながら、受け入れてくれた。
嬉しくて、そのまま求婚して、フェイは半ば朦朧としながらも求婚を受け入れてくれた。
次の朝、2人でエルフの里の役場に婚姻届を出してめでたく夫夫となり、俺の作った魔導具のピアスをお互いの左耳に付けた。
ウィステリア様の邸にご挨拶にうかがうと、こうなることが分かっていたのか、ほのほの笑うウィステリア様と、あまりのスピード婚にビックリしつつも、時間は関係ないよねえ、と理解を示すアルカス夫夫。
「さすがに俺もこんなに早く婚姻することになるなんて思いもしなかったぜ・・・」
文句を言いつつも満更ではないフェイの様子に皆も大笑い。
入籍が先になってしまったが、今後の事をどうするかと話をする事になり、そのままウィステリア様の邸で話し合いをした結果。
「旦那はここにこのまま住んでてさ、フェイが転移魔法で通えば良いじゃん」
「・・・ああ、その手があったか。じゃあ、用事があるとき以外はエルバートといられるな」
「---転移魔法ってそんなに簡単なモノじゃないだろう?」
『簡単だよ!』
皆して言った。
「絶対秘密だけど。俺達には簡単なの」
「大丈夫だよ、エルバート。これで一緒にいられるな。ああでも、里の結界に弾かれちゃうか?」
「あー、大丈夫。精霊王呼ぶから」
「・・・は??」
「精霊王さーん! 出ておいで---!」
『はーい! 通行手形ね! 私の加護付きよ! お幸せにね!』
「ありがとうね---!!」
ぱっと現れて、言うだけ言うとぶんぶん手を振って消えていった精霊王。
・・・フランクだな。
2人の手元にはピアスが一組。
呆然としながらおそるおそる右耳につける。
「よっしゃ! じゃあ改めて!!」
『おめでとう---!!』
この日、フェイとエルバートは親しい友人達と精霊達に囲まれて幸せな夫夫となった。
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