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第四章 エルフの里編
森の賢者 その4
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アルカスが精霊達と世界樹で騒いでいた頃、ウィステリアの邸ではアルカスの気配が消えた事にいち早く気付いたクラビスが焦っていた。
「急にアルカスの気配が消えた!」
がばっと立ち上がったクラビスにフェイもウィステリアも驚いた。
「何だって?!」
「・・・ふむ。確かにおらんの。気配がない」
「いったい何故! 探しに行かないと」
「---待て、クラビス。・・・む、そうか」
「ウィステリア様、いったい・・・」
クラビスとフェイが様子をうかがうと、ウィステリアが安心させるように言った。
「精霊達が世界樹に連れて行ったそうじゃ」
「---は?」
「フェイはともかく、アルカスの番のクラビスなら視えるのではないかの? ほれ、ここじゃ。目を凝らしてみよ」
「・・・・・・え?」
「何だ、どうした?」
「・・・・・・小さい、羽の付いた小人?が視える。もしかして、精霊?」
さすがのクラビスも困惑している。
フェイはビックリしていた。
ウィステリアはほのほのしている。
「彼が言うには、アルカスに遊んで欲しくて世界樹に転移させたと。それで心配するといけないから伝言役として残ったそうじゃ」
「---はー。よかった。まさかウィステリア様の家で誘拐事件を起こす者がいるとは思わず・・・。でも、それじゃあ心配ないんですね?」
「ああ、今ごろは世界樹を遊び場に翔び回っているのではないか?」
それはそれで心配な気がするが。
このままという訳にもいかないので、世界樹に向かうことになった。
「ところで何故俺に精霊が視えたのでしょう」
「おそらく、アルカスがエストレラ神の加護を持っていて、番のクラビスと共有しているからじゃの」
「エルフは皆、視えるのですか?」
「そうさの。エルフは精霊魔法も使うのでな」
なるほどと納得していると、世界樹の方から何やら賑やかな声が・・・。
イヤな予感的中。
大勢のエルフがほのぼのと見ている中、アルカスが背中に精霊のような羽を生やして翔び回っていた。
「期待に応えるヤツだの」
「なあ、アルカスって精霊だったっけ?」
「そんなわけあるか。おおかた魔法で羽を作って真似たんだろう」
「まあ、少し大きな精霊と言えなくもないの」
暫く下から眺めていると、追いかけっこが終わったのか、今度は目を瞑って『いーち、にー、さーん』と数を数えだした。
それを合図に光る玉がちりぢりに世界樹の枝に隠れだした。
「・・・・・・かくれんぼ?」
「だな」
「楽しそうだの」
「しかし思考が精霊達と一緒だな。全力で遊んでるぜ、ぶふっ」
フェイが思わず噴き出したが、アルカスは今まで余りこういう事をしてこなかったんだろう。
孤児院でも浮いていたようだし。
その反動で子供っぽく甘えているのだろう。
「なあクラビス、終わるまでここで見てるのか?」
「俺はそのつもりだが」
「じゃあアルカスは任せるわ。俺は少し辺りを散策してくる。・・・いいですか? ウィステリア様」
「構わんよ。ただ、結界の向こうには行くなよ? 戻れなくなるのでな」
「分かりました。そこまで遠くには行きませんけど」
「気を付けてな」
「りょーかい」
さて、アルカスが遊び疲れるのが先か、精霊が飽きるのが先か・・・・・・。
暫く待つとしよう。
「急にアルカスの気配が消えた!」
がばっと立ち上がったクラビスにフェイもウィステリアも驚いた。
「何だって?!」
「・・・ふむ。確かにおらんの。気配がない」
「いったい何故! 探しに行かないと」
「---待て、クラビス。・・・む、そうか」
「ウィステリア様、いったい・・・」
クラビスとフェイが様子をうかがうと、ウィステリアが安心させるように言った。
「精霊達が世界樹に連れて行ったそうじゃ」
「---は?」
「フェイはともかく、アルカスの番のクラビスなら視えるのではないかの? ほれ、ここじゃ。目を凝らしてみよ」
「・・・・・・え?」
「何だ、どうした?」
「・・・・・・小さい、羽の付いた小人?が視える。もしかして、精霊?」
さすがのクラビスも困惑している。
フェイはビックリしていた。
ウィステリアはほのほのしている。
「彼が言うには、アルカスに遊んで欲しくて世界樹に転移させたと。それで心配するといけないから伝言役として残ったそうじゃ」
「---はー。よかった。まさかウィステリア様の家で誘拐事件を起こす者がいるとは思わず・・・。でも、それじゃあ心配ないんですね?」
「ああ、今ごろは世界樹を遊び場に翔び回っているのではないか?」
それはそれで心配な気がするが。
このままという訳にもいかないので、世界樹に向かうことになった。
「ところで何故俺に精霊が視えたのでしょう」
「おそらく、アルカスがエストレラ神の加護を持っていて、番のクラビスと共有しているからじゃの」
「エルフは皆、視えるのですか?」
「そうさの。エルフは精霊魔法も使うのでな」
なるほどと納得していると、世界樹の方から何やら賑やかな声が・・・。
イヤな予感的中。
大勢のエルフがほのぼのと見ている中、アルカスが背中に精霊のような羽を生やして翔び回っていた。
「期待に応えるヤツだの」
「なあ、アルカスって精霊だったっけ?」
「そんなわけあるか。おおかた魔法で羽を作って真似たんだろう」
「まあ、少し大きな精霊と言えなくもないの」
暫く下から眺めていると、追いかけっこが終わったのか、今度は目を瞑って『いーち、にー、さーん』と数を数えだした。
それを合図に光る玉がちりぢりに世界樹の枝に隠れだした。
「・・・・・・かくれんぼ?」
「だな」
「楽しそうだの」
「しかし思考が精霊達と一緒だな。全力で遊んでるぜ、ぶふっ」
フェイが思わず噴き出したが、アルカスは今まで余りこういう事をしてこなかったんだろう。
孤児院でも浮いていたようだし。
その反動で子供っぽく甘えているのだろう。
「なあクラビス、終わるまでここで見てるのか?」
「俺はそのつもりだが」
「じゃあアルカスは任せるわ。俺は少し辺りを散策してくる。・・・いいですか? ウィステリア様」
「構わんよ。ただ、結界の向こうには行くなよ? 戻れなくなるのでな」
「分かりました。そこまで遠くには行きませんけど」
「気を付けてな」
「りょーかい」
さて、アルカスが遊び疲れるのが先か、精霊が飽きるのが先か・・・・・・。
暫く待つとしよう。
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