【完結】水と夢の中の太陽

エウラ

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第四章 エルフの里編

森の賢者 その1

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無事にフォレスター領に帰ってきたアルカス達は、ギルドで報酬を貰った後、一旦全員でフォレスター家に戻った。

報酬の配分もあるし。
でも普通に5等分でいいんじゃね?

「いやいや、俺なんか何もやってないぜ?」

とリリーが言えば、ウィステリアとフェイも頷く。

「主にアルカスが解決してるんだから、半分はアルカスで残りを4等分にしよう」
「賛成!」
「えー?! だって元々クラビスの指名じゃん、俺はただの付き添いよ?」
「いや、今回は絶対にアルカスのおかげだからいいんだよ」
「・・・・・・んー、まあそう言うなら。何時までも駄々を捏ねててもしょーがないし。うん、じゃあそれで!」

にぱっと笑えば皆も笑った。

「そうそう、それでこそアルカスだ」

だって、ぐだぐだしても結局変わらないと思うし。すっぱり割り切ろう!



「あ、ステータス」

すっかり忘れてた。
皆が報酬を分けている今のうちに確認しておこう。

『ステータス』

【アルカス・F・フォレスター
年齢:20才
性別:男
レベル:580
以下略(見たい所を念じれば見られます)】

・・・・・・何、最後の以下略()って。
エストレラ神だな?
まあ、レベル以外は変化無しって事かな。

で、肝心のレベルは・・・・・・ほうほう・・・・・・。

「はあああああっ---?!」

「うおっ?! どうしたアルカス!」
「びっくりしたなあ! 何だ!」
「ほほ、急に叫ぶでない」
「大丈夫か? アルカス、何かあった?」

皆も驚いてるけど、びっくりし過ぎてフォロー出来ない。

「ちょっとこれみて!!」

ステータスオープンで皆に見せると・・・。

「・・・・・・うん、いきなり上がったね」
「仕方ないのではないか? 低レベルであの魔物では経験値がとてつもないだろうし」
「加護で経験値100倍が仕事をした結果、有り得ないほどのレベルアップだったわけだ」
「そりゃあ、10日も寝込むはずだ。さすがはアルカス」

いや最後のはどういう意味で?!

それにしても、ビックリっていうより実感が湧かないわ。見た目って変わらないし。

「レベルアップしたからって背が伸びるわけじゃないんだなあ・・・」

しみじみと呟いたら皆が噴いた。
何で?!

「そんなに気にしてたのか、身長」
「それは無理だよ。普通に伸びるもんだから」
「アルカスはどう頑張ってももうのびないぞ」
「成長期はとっくに終わったのう」
「・・・・・・皆して酷くない?!」
「現実を見ろ!」

フェイがトドメを刺してきた。

しくしく。
もういいもん。クラビスがこんな俺でいいって言うなら構わない!

でも、せめて成人に見られるくらいの体格が欲しかったなあ・・・。



一人でスンスン拗ねていると、ウィステリアがついでのようにサラッと告げた。

「そうそう、唐突で悪いがの、少し里帰りをするかもしれん。その時は前もって連絡をするがの」
「うえっ? ウィステリアお爺ちゃんの里って事はエルフさんがいっぱい?」
「いっぱいだの。ハイエルフはそんなに居らんが、そこそこ居るのお」
「里帰りの理由って、聞いても・・・?」

聞いてから思ったが、聞いちゃいけない理由だったらスミマセン。

「全く構わんよ。何、里の者が一人赤子を産んだそうでの、祝福をしてくれと頼まれた」
「へえ、頼まれるほど凄いエルフなんだ。凄いねえ!」
「その時はアルカスも来るかの?」
「--え、良いの? なんか隠れ里みたいな、余所者はダメみたいなのはないの?」

俺ってただの人間よ?

「まあ、多少はあるが、アルカスは我の孫扱いだしの。それにフォレスターの者は良い奴らばかりよ。構わぬ。もちろんクラビスもフェイも良いぞ。リリーはどうする?」
「・・・・・・あー、行きたいのはやまやまだが、ギルドの依頼もあるからちょっと無理だな。その代わり、行ったら土産話を聞かせてくれ」
「うん、らじゃ!」

そんな事を話して解散した。
と言ってもリリーだけ帰って、他は皆、うちに泊まってるけどね!



それから一週間ほどして、ウィステリアとエルフの里に行くことになった。

準備はもちろんクラビスがしました。
俺、分かんねえもん。

エルフの里は街の西門の例の黒歴史の先にある森の中を、何やら上手いこと進むと出くわす結界のようなものを通り抜けて、更に決まったルート?鍵?の所を進むと入れるらしい。

説明されたけどちんぷんかんぷん。
頭の中のマッピング頼り。

でも、ちょこちょこ変わるらしい。防犯の為。
だから、それを感じ取れるエルフが同行しないと辿り着けないって。

こわっ!

「迷ったら死ぬか運良く出られるか、て所だの」

ほのほの笑ってるけど、それ九分九厘死ぬ方ですよね!

こわっ!!



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