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第三章 辺境編
果ての森と辺境伯領 その2
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次の日の朝。
すでに恒例となった?見慣れた?俺の馬モフりを皆が呆れた目で見た後、馬車で出発した。
馬車は簡素ながらフォレスター家の家紋が付いていて、そして当然のようにデカい。
・・・うん、父さん達デカいもんね。
でもさあ・・・。
異世界あるあるで、空間魔法で馬車の中を拡張すればいいんじゃね?
ーーーって言ったら、驚愕の眼差しを向けられた。
ビクッと肩を跳ねさせたらクラビスが「ゴメン」って背中を撫でてくれてほっとしたけど。
「そんなこと出来るのか?!」
フェイが驚いて聞いてくるけど。
「いやいや何言ってんの? 異空間収納バッグってそうやって作ってんじゃないの?! フェイ、バッグ作ってたよね?!」
おんなじ事だろう?
「いやいや、ソッチこそ何言ってんの?! 生き物は入れないだろ?」
「いや、だって、空間魔法やるときに時間停止をしなければいいだけだろ? ただ空間を拡げるだけだもん。・・・え? 出来るよね?」
フェイさん?!
言われて初めて気が付いた!みたいな顔で固まってるんですけど?!
「魔法はイメージって・・・あああ、固定観念って・・・言われてみれば確かにそうだな」
「我も思いつかなんだ・・・そうか。試す価値ありじゃの」
・・・うん、興奮気味だったけどなんか落ちついたっぽい。
良かったあ。
「とりあえず向こうに着いたらね? ここでやって失敗したら困るからね?」
早速・・・みたいな感じだけど、ヤメテね?
俺は転移で構わないけど困るでしょ?
だからといってそこ!
そんなあからさまに残念な顔をするな!
リリーもクラビスもツボっているけど、失敗した場合の事を考えて?!
笑い事じゃないって。
そんな感じで和気あいあいと進んで、辺境伯領の入り口に到着した。
馬車の窓から見た塀は、高さが15mくらいあって、厚さが5mくらい。上は哨戒出来るようになっていた。弓兵とか魔導師が遊撃するんだろうな、と思っていると。
「久しいな、クラビス」
反対側から低い声が響いた。
びっくりして声の方を見ると、イグニス父さん並みのぶ厚い体の銀髪碧眼の男性がこちらを覗き込んでいた。
後ろには騎士団らしい人がたくさん見える。
「久しぶりです。ペンタグラム辺境伯」
「久しいの、アーサー」
「お初にお目にかかります。アレックス・リリーフと申します」
「お久しぶりです。フェイです。覚えてます?」
「覚えてるともフェイ。ウィステリア様お久しゅう。リリーフ殿も噂は兼々。・・・それでその子は?」
びっくりして挨拶をし忘れた。
不味い。
「あの、アルカス・F・フォレスターです。初めまして」
「私の嫁です」
慌ててお辞儀をしたらクラビスが追加で言った。
それを聞いた辺境伯と側にいた門衛、騎士団が一斉に叫んだ。
『どう見たって犯罪だろう!』
「俺はハタチだっ!!」
負けじとアルカスが叫んで更にざわめきが大きくなった。
嘘だろ、とか変態、とか詐欺だ、とか聞こえるけど!
「俺、もうやだ。いつまでこの件やんの?」
他の3人は笑ってるし!
あ!
いいこと思いついた!
幻影魔法で姿を変える。
出来そうじゃない?
でもちょっと大人の自分が想像出来ないので。
「クラビス、俺がもっと大人になった姿を想像してくれる?」
「うん? 今よりも大人っぽいっていうこと?」
「どう? 出来る?」
「うん、はい、想像してみた」
「じゃあ、ちょっとそのまま考えてて。いくよ? 『幻影魔法』」
クラビスの手を握って発動した。
ふわっと魔力に包まれた。
成功かな?
自分じゃ良く分からない。
「クラビス、どう?」
何故か皆、俺を凝視して静まり返った。
「大人っぽくなった?」
「・・・めちゃくちゃ美人」
「・・・はい?」
「アルカスって、育つと傾国の美人になるんだな・・・」
フェイが呆然として言った。
そして全員がうんうんと頷いた。
その中にはもちろん辺境伯と騎士団もいる。
「はあ?」
ナニソレ。
それは女の人に言う言葉では。
「てか、何だそれ、魔法か?!」
「あー、出来るかなって・・・? てへっ?」
「こんの非常識が! あれ程言ったのに!」
「ごめんなさい!」
フェイと掛け合いをしていると、辺境伯から声がかかった。
「と、とりあえず私の邸に来い。先に行って待っているから」
やや赤い顔をしたまま、騎士団を連れて颯爽と馬に乗って去って行った。
こちらもなんか収拾がつかなくなったので魔法を解いて辺境伯の邸に向かった。
「だってさー、どこ行ってもさっきみたいな反応されるんだよ。うんざり」
「それは分かる。俺達も名が知れてるから反応は違えど騒がれるし」
フェイが同意した。皆も苦労しているんだね。
「ワーワーキャーキャーはいいの。いちいち訂正するのが面倒くさい。それに見た目で絡まれるのも嫌」
「しかしなあ、さっきのアレはアレで騒がれるよ」
「傾国の美人? まさかぁ・・・え、まじ?」
冗談じゃなく?
うんうん言ってる皆を見て、ガチなんだと再認識した。
「絶対この先、将軍様みたいにはならない。保証する」
皆に確信を持って言われた。
・・・うん。俺もガチムチは遠慮します。
*別の話の登場人物の側近の名前と被りましたが、意図はありません。設定が適当なのです。このままいきます。スミマセン*
すでに恒例となった?見慣れた?俺の馬モフりを皆が呆れた目で見た後、馬車で出発した。
馬車は簡素ながらフォレスター家の家紋が付いていて、そして当然のようにデカい。
・・・うん、父さん達デカいもんね。
でもさあ・・・。
異世界あるあるで、空間魔法で馬車の中を拡張すればいいんじゃね?
ーーーって言ったら、驚愕の眼差しを向けられた。
ビクッと肩を跳ねさせたらクラビスが「ゴメン」って背中を撫でてくれてほっとしたけど。
「そんなこと出来るのか?!」
フェイが驚いて聞いてくるけど。
「いやいや何言ってんの? 異空間収納バッグってそうやって作ってんじゃないの?! フェイ、バッグ作ってたよね?!」
おんなじ事だろう?
「いやいや、ソッチこそ何言ってんの?! 生き物は入れないだろ?」
「いや、だって、空間魔法やるときに時間停止をしなければいいだけだろ? ただ空間を拡げるだけだもん。・・・え? 出来るよね?」
フェイさん?!
言われて初めて気が付いた!みたいな顔で固まってるんですけど?!
「魔法はイメージって・・・あああ、固定観念って・・・言われてみれば確かにそうだな」
「我も思いつかなんだ・・・そうか。試す価値ありじゃの」
・・・うん、興奮気味だったけどなんか落ちついたっぽい。
良かったあ。
「とりあえず向こうに着いたらね? ここでやって失敗したら困るからね?」
早速・・・みたいな感じだけど、ヤメテね?
俺は転移で構わないけど困るでしょ?
だからといってそこ!
そんなあからさまに残念な顔をするな!
リリーもクラビスもツボっているけど、失敗した場合の事を考えて?!
笑い事じゃないって。
そんな感じで和気あいあいと進んで、辺境伯領の入り口に到着した。
馬車の窓から見た塀は、高さが15mくらいあって、厚さが5mくらい。上は哨戒出来るようになっていた。弓兵とか魔導師が遊撃するんだろうな、と思っていると。
「久しいな、クラビス」
反対側から低い声が響いた。
びっくりして声の方を見ると、イグニス父さん並みのぶ厚い体の銀髪碧眼の男性がこちらを覗き込んでいた。
後ろには騎士団らしい人がたくさん見える。
「久しぶりです。ペンタグラム辺境伯」
「久しいの、アーサー」
「お初にお目にかかります。アレックス・リリーフと申します」
「お久しぶりです。フェイです。覚えてます?」
「覚えてるともフェイ。ウィステリア様お久しゅう。リリーフ殿も噂は兼々。・・・それでその子は?」
びっくりして挨拶をし忘れた。
不味い。
「あの、アルカス・F・フォレスターです。初めまして」
「私の嫁です」
慌ててお辞儀をしたらクラビスが追加で言った。
それを聞いた辺境伯と側にいた門衛、騎士団が一斉に叫んだ。
『どう見たって犯罪だろう!』
「俺はハタチだっ!!」
負けじとアルカスが叫んで更にざわめきが大きくなった。
嘘だろ、とか変態、とか詐欺だ、とか聞こえるけど!
「俺、もうやだ。いつまでこの件やんの?」
他の3人は笑ってるし!
あ!
いいこと思いついた!
幻影魔法で姿を変える。
出来そうじゃない?
でもちょっと大人の自分が想像出来ないので。
「クラビス、俺がもっと大人になった姿を想像してくれる?」
「うん? 今よりも大人っぽいっていうこと?」
「どう? 出来る?」
「うん、はい、想像してみた」
「じゃあ、ちょっとそのまま考えてて。いくよ? 『幻影魔法』」
クラビスの手を握って発動した。
ふわっと魔力に包まれた。
成功かな?
自分じゃ良く分からない。
「クラビス、どう?」
何故か皆、俺を凝視して静まり返った。
「大人っぽくなった?」
「・・・めちゃくちゃ美人」
「・・・はい?」
「アルカスって、育つと傾国の美人になるんだな・・・」
フェイが呆然として言った。
そして全員がうんうんと頷いた。
その中にはもちろん辺境伯と騎士団もいる。
「はあ?」
ナニソレ。
それは女の人に言う言葉では。
「てか、何だそれ、魔法か?!」
「あー、出来るかなって・・・? てへっ?」
「こんの非常識が! あれ程言ったのに!」
「ごめんなさい!」
フェイと掛け合いをしていると、辺境伯から声がかかった。
「と、とりあえず私の邸に来い。先に行って待っているから」
やや赤い顔をしたまま、騎士団を連れて颯爽と馬に乗って去って行った。
こちらもなんか収拾がつかなくなったので魔法を解いて辺境伯の邸に向かった。
「だってさー、どこ行ってもさっきみたいな反応されるんだよ。うんざり」
「それは分かる。俺達も名が知れてるから反応は違えど騒がれるし」
フェイが同意した。皆も苦労しているんだね。
「ワーワーキャーキャーはいいの。いちいち訂正するのが面倒くさい。それに見た目で絡まれるのも嫌」
「しかしなあ、さっきのアレはアレで騒がれるよ」
「傾国の美人? まさかぁ・・・え、まじ?」
冗談じゃなく?
うんうん言ってる皆を見て、ガチなんだと再認識した。
「絶対この先、将軍様みたいにはならない。保証する」
皆に確信を持って言われた。
・・・うん。俺もガチムチは遠慮します。
*別の話の登場人物の側近の名前と被りましたが、意図はありません。設定が適当なのです。このままいきます。スミマセン*
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