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第二章 王都編
王都の門衛は見た!(side門衛隊長)
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その日、俺達は奇妙な3人組を見た。
昼前だった。
冒険者2人に子供1人。しかもその冒険者はSランクとAランク。
子供を連れて森の方へ行くと言う。
子供を見れば、フードを被っていて顔はよく分からないが、身につけているものは相当な代物だった。
イイトコロのお坊ちゃんか。
しかしいくら高ランクが2人いようと、装備がよかろうと、危険なものは危険だ。
そう言って引き留めていたのだが・・・。
何故か爆笑している2人を苦虫をかみつぶしたような顔をしてフードを取った子供が、首からさげたギルドカードを・・・ギルドカード?!
え?!
成人してたの?!
は?
20歳?!
嫁?!
フォレスター?!
・・・・・・情報過多で処理しきれなかった。
外壁を潜って外へ出た3人をポカンと見送っていたが、ハッと我に返った。
「・・・・・・」
「何だったんスかね?」
「・・・俺に聞くな」
「おおい! 今しがたの騒ぎは何だったんだ?」
「SとAランク二人に将軍閣下の三男様のトリオで、三男様はSランクの嫁だそうだ。ちなみに20歳だった・・・」
「はあ?!」
皆もそうなるよな?
気疲れが過ぎる。
それからさほど時間を置かずにこちらへ戻ってきた3人に、冷静を装って声をかければ、アルカス様が具合を悪くしたから休ませて欲しいと。
それはいいが、将軍閣下に連絡をしなくていいのか聞いたところ、しょっちゅう倒れてるが意識があるだけマシって。
それは大丈夫とは言わないと思うぞ?
心なしか、アルカス様がうんうん頷いた気がする・・・。
お茶に誘われたのでこれ幸いと早めに交代に入ってもらい、Aランクのフェイと雑談をする。
「フォレスターの街のイースでも同じやり取りをしてなあ。やっぱり門衛に止められて、さっきみたいにギルドカードを見せて叫んだんだ。『アルカス・フォレスター、19歳。クラビスの嫁でっす!』って。その時はまだ19歳だったんだけど」
ヤケクソ気味に叫んでて大笑いしたっけなあ、って思い出し笑いをしていた。
「で、出た先で今度は冒険者になりたてのガキに絡まれて。未成年のくせに俺達を金で護衛にしたんだろうって。クラビスの威圧にチビって腰抜かしたそのガキにもういっぺんギルドカードを見せて追い討ちかけて」
「・・・ああ、なるほど」
さっきの女冒険者共も似たような事をしでかしたわけだ。
思わず遠い目をした。
「まぁ、その後倒れるまでがセットなんだけどな? 見事に前回の事をコッチでも踏襲してて、もう笑いが止まらねえ・・・!」
だから門でのやり取りを笑っていたのか。納得だ。
「ただ、前回は意識をなくして丸一日目覚めなかったから、クラビスの動揺が激しくて、みていられなかった。さすがにあの時はフォレスター家に連絡を入れて貰って、邸に戻ったけどな」
だから今回は大丈夫。
そう言って締めくくった。
その後すぐに、元気になったらしいアルカス様達がお礼を言いつつ去って行ったのを見送った。
「なんか、門衛になってそこそこ経ちますけど、今日みたいな濃いぃ日は初めてッス」
「・・・そうだな」
それにしても、クラビス殿はアルカス様が愛おしいという感じを全く隠さないし、フェイ殿は見た目とのギャップが激しかった。
フェイ殿は確実に受けの容姿なのに、口が悪くて、細マッチョだった。
「隊長・・・?」
「良いな、フェイ殿」
思わずぽそっと零れた言葉にバースがギョッとした。
それに苦笑交じりで誤魔化すが、実際のところ一目ぼれに近いかもな。
彼になら抱かれてもいい、なんて思ってることはナイショだ。
昼前だった。
冒険者2人に子供1人。しかもその冒険者はSランクとAランク。
子供を連れて森の方へ行くと言う。
子供を見れば、フードを被っていて顔はよく分からないが、身につけているものは相当な代物だった。
イイトコロのお坊ちゃんか。
しかしいくら高ランクが2人いようと、装備がよかろうと、危険なものは危険だ。
そう言って引き留めていたのだが・・・。
何故か爆笑している2人を苦虫をかみつぶしたような顔をしてフードを取った子供が、首からさげたギルドカードを・・・ギルドカード?!
え?!
成人してたの?!
は?
20歳?!
嫁?!
フォレスター?!
・・・・・・情報過多で処理しきれなかった。
外壁を潜って外へ出た3人をポカンと見送っていたが、ハッと我に返った。
「・・・・・・」
「何だったんスかね?」
「・・・俺に聞くな」
「おおい! 今しがたの騒ぎは何だったんだ?」
「SとAランク二人に将軍閣下の三男様のトリオで、三男様はSランクの嫁だそうだ。ちなみに20歳だった・・・」
「はあ?!」
皆もそうなるよな?
気疲れが過ぎる。
それからさほど時間を置かずにこちらへ戻ってきた3人に、冷静を装って声をかければ、アルカス様が具合を悪くしたから休ませて欲しいと。
それはいいが、将軍閣下に連絡をしなくていいのか聞いたところ、しょっちゅう倒れてるが意識があるだけマシって。
それは大丈夫とは言わないと思うぞ?
心なしか、アルカス様がうんうん頷いた気がする・・・。
お茶に誘われたのでこれ幸いと早めに交代に入ってもらい、Aランクのフェイと雑談をする。
「フォレスターの街のイースでも同じやり取りをしてなあ。やっぱり門衛に止められて、さっきみたいにギルドカードを見せて叫んだんだ。『アルカス・フォレスター、19歳。クラビスの嫁でっす!』って。その時はまだ19歳だったんだけど」
ヤケクソ気味に叫んでて大笑いしたっけなあ、って思い出し笑いをしていた。
「で、出た先で今度は冒険者になりたてのガキに絡まれて。未成年のくせに俺達を金で護衛にしたんだろうって。クラビスの威圧にチビって腰抜かしたそのガキにもういっぺんギルドカードを見せて追い討ちかけて」
「・・・ああ、なるほど」
さっきの女冒険者共も似たような事をしでかしたわけだ。
思わず遠い目をした。
「まぁ、その後倒れるまでがセットなんだけどな? 見事に前回の事をコッチでも踏襲してて、もう笑いが止まらねえ・・・!」
だから門でのやり取りを笑っていたのか。納得だ。
「ただ、前回は意識をなくして丸一日目覚めなかったから、クラビスの動揺が激しくて、みていられなかった。さすがにあの時はフォレスター家に連絡を入れて貰って、邸に戻ったけどな」
だから今回は大丈夫。
そう言って締めくくった。
その後すぐに、元気になったらしいアルカス様達がお礼を言いつつ去って行ったのを見送った。
「なんか、門衛になってそこそこ経ちますけど、今日みたいな濃いぃ日は初めてッス」
「・・・そうだな」
それにしても、クラビス殿はアルカス様が愛おしいという感じを全く隠さないし、フェイ殿は見た目とのギャップが激しかった。
フェイ殿は確実に受けの容姿なのに、口が悪くて、細マッチョだった。
「隊長・・・?」
「良いな、フェイ殿」
思わずぽそっと零れた言葉にバースがギョッとした。
それに苦笑交じりで誤魔化すが、実際のところ一目ぼれに近いかもな。
彼になら抱かれてもいい、なんて思ってることはナイショだ。
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