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第二章 王都編
タッタラー! レベルアップ!
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森の方へ向かって歩いて行くと、何か気配を感じた。
「? なんか、いる」
「気付いたか。アレはフォレストウルフだな。こんな浅い場所に出るのは珍しい。何かに追い立てられたか、はぐれか」
「何にせよ、アルカスが倒すにはいい相手だ」
「おう、そーなの?」
2人ともランクが高いから余裕だけど、俺はホーンラビット一体が初でまだその1回だけなんだけど?!
「だいじょーぶ。魔法でやっちゃえ」
フェイがいい加減なアドバイスをくれた。
「エアバレットかウォーターボール辺りで頭を狙ってみろ」
「・・・なるほど。やってみる」
「魔力は最小限な!」
「じゃないと素材はなくなるかもしれないな」
・・・・・・確かに。頭バーンとかシャレになんねえわ。
なんて考えてたのがいけなかったんだろう。
「エアバレット」って言ったら、フォレストウルフの頭がバーンでした。
「・・・・・・あれ?」
「・・・・・・やったよこの子は。さっきのは『ふらぐ』ってヤツだね」
「アルカスらしいが・・・・・・」
見事に頭だけなくなったフォレストウルフをバッグにしまったところで、キタ。
「・・・・・・いっった!」
「来たか!」
「アルカス、大丈夫か?!」
「・・・だいじょばないっ! 痛いぃ・・・」
状態異常無効って、コレには効かないって事?
地味につらみ。
「前回よりはいいが、とりあえず詰め所に行って休ませてもらおう」
そう言ってアルカスを抱き上げて足早に戻っていく。
「っ、しばらく、レベル、上がるたんび・・・ひいっ痛い?!」
「そうらしいが、前回は気絶したから、まだマシだろ?」
「そう、だけどぉ、気絶、した方が・・・楽じゃん?!」
「・・・そうかもな。でもドッチでもアルカスが苦しむから、余り見たくはないな」
苦笑してクラビスが言う。
俺もクラビスがこんなだったら同じ事思うな、うん。
しょうもない話で気を紛らわせているうちに詰め所に戻ってきた。
「何だ、どうかしたのか?」
「アルカスを中で少し休ませて欲しいんだが」
門衛が聞いてきたのに簡潔に応える。
クラビスが抱き上げているアルカスを見てギョッとした門衛が慌てた。
「具合が悪そうだな。奥の仮眠室へ案内しよう。・・・大丈夫か?」
「まだ意識があるだけマシだから大丈夫。しょっちゅう倒れてるから」
「ええ? ソレって大丈夫と言わないのでは・・・?」
うん。奇遇だね。俺もそう思うよ!
なんて口に出来ないほど痛い!
「っくらびす、つらいぃ」
「・・・っすまない、落ち着くまでこのまま。何も出来なくてごめんな」
そう言ってクラビスが俺の痛みを自分に移すようにぎゅっと抱きしめてくれた。
その体温が痛みを和らげてくれるようで、俺も必死に縋り付いた。
「・・・なあ、将軍家に連絡を入れなくて大丈夫なのか?」
「あちらさんも承知だ。まあ、気絶してたら問答無用で連れ帰るけど」
大丈夫。クラビスに任せとけば。
そうフェイが言うので、門衛も落ち着いたようだ。
「と言うわけで、悪いけどアルカスが復活するまで少し場所を借りるよ。・・・お茶でもどう?」
フェイが門衛にお茶を勧める。
ソレに少し考えて、詰め所の他のヤツに声をかけた。
「少し早いが、俺とバースは交代するから、次のヤツ、頼む」
「ウッス」
「りょーかいです、隊長」
「えー、酷いっす!」
めいめいに返事をする門衛。
・・・隊長だったのか。
「じゃあ、遠慮なくご相伴にあずかろう」
「いいんだ?」
誘っといてなんだけど、緩いな。
「ここの詰め所は平民の叩き上げがほとんどでな。荒事に慣れてる奴らばかりで、気さくなモンよ。俺なんか、貧乏子爵の四男で食い扶持の為に門衛になったが、ここは堅っ苦しくなくて居心地はいいぜ?」
仮にも貴族だってんで隊長なんてやらされているがな、とおかしそうに笑った。
暫く雑談をしていたが、仮眠室からアルカスを抱えたクラビスが出てきた。
アルカスの顔色も良さそうだ。
「迷惑かけたな。助かった」
「あの、ありがとうございました」
アルカスがクラビスの腕の中でぺこりと頭を下げる。
「元気になってよかったです、アルカス様」
ニカッと笑った門衛に手を振って詰め所から出て行った。
「とりあえず、邸に戻ってからステータスの確認をしようか」
「うん。だけど、体がさっきより軽い気がする。やっぱりレベルアップしてるよね?」
「自分で変化が分かるくらいには上がったって事かな。まあ、上がる分には問題ないし、いいんじゃない?」
そんな感じでタウンハウスに戻っていった。
「? なんか、いる」
「気付いたか。アレはフォレストウルフだな。こんな浅い場所に出るのは珍しい。何かに追い立てられたか、はぐれか」
「何にせよ、アルカスが倒すにはいい相手だ」
「おう、そーなの?」
2人ともランクが高いから余裕だけど、俺はホーンラビット一体が初でまだその1回だけなんだけど?!
「だいじょーぶ。魔法でやっちゃえ」
フェイがいい加減なアドバイスをくれた。
「エアバレットかウォーターボール辺りで頭を狙ってみろ」
「・・・なるほど。やってみる」
「魔力は最小限な!」
「じゃないと素材はなくなるかもしれないな」
・・・・・・確かに。頭バーンとかシャレになんねえわ。
なんて考えてたのがいけなかったんだろう。
「エアバレット」って言ったら、フォレストウルフの頭がバーンでした。
「・・・・・・あれ?」
「・・・・・・やったよこの子は。さっきのは『ふらぐ』ってヤツだね」
「アルカスらしいが・・・・・・」
見事に頭だけなくなったフォレストウルフをバッグにしまったところで、キタ。
「・・・・・・いっった!」
「来たか!」
「アルカス、大丈夫か?!」
「・・・だいじょばないっ! 痛いぃ・・・」
状態異常無効って、コレには効かないって事?
地味につらみ。
「前回よりはいいが、とりあえず詰め所に行って休ませてもらおう」
そう言ってアルカスを抱き上げて足早に戻っていく。
「っ、しばらく、レベル、上がるたんび・・・ひいっ痛い?!」
「そうらしいが、前回は気絶したから、まだマシだろ?」
「そう、だけどぉ、気絶、した方が・・・楽じゃん?!」
「・・・そうかもな。でもドッチでもアルカスが苦しむから、余り見たくはないな」
苦笑してクラビスが言う。
俺もクラビスがこんなだったら同じ事思うな、うん。
しょうもない話で気を紛らわせているうちに詰め所に戻ってきた。
「何だ、どうかしたのか?」
「アルカスを中で少し休ませて欲しいんだが」
門衛が聞いてきたのに簡潔に応える。
クラビスが抱き上げているアルカスを見てギョッとした門衛が慌てた。
「具合が悪そうだな。奥の仮眠室へ案内しよう。・・・大丈夫か?」
「まだ意識があるだけマシだから大丈夫。しょっちゅう倒れてるから」
「ええ? ソレって大丈夫と言わないのでは・・・?」
うん。奇遇だね。俺もそう思うよ!
なんて口に出来ないほど痛い!
「っくらびす、つらいぃ」
「・・・っすまない、落ち着くまでこのまま。何も出来なくてごめんな」
そう言ってクラビスが俺の痛みを自分に移すようにぎゅっと抱きしめてくれた。
その体温が痛みを和らげてくれるようで、俺も必死に縋り付いた。
「・・・なあ、将軍家に連絡を入れなくて大丈夫なのか?」
「あちらさんも承知だ。まあ、気絶してたら問答無用で連れ帰るけど」
大丈夫。クラビスに任せとけば。
そうフェイが言うので、門衛も落ち着いたようだ。
「と言うわけで、悪いけどアルカスが復活するまで少し場所を借りるよ。・・・お茶でもどう?」
フェイが門衛にお茶を勧める。
ソレに少し考えて、詰め所の他のヤツに声をかけた。
「少し早いが、俺とバースは交代するから、次のヤツ、頼む」
「ウッス」
「りょーかいです、隊長」
「えー、酷いっす!」
めいめいに返事をする門衛。
・・・隊長だったのか。
「じゃあ、遠慮なくご相伴にあずかろう」
「いいんだ?」
誘っといてなんだけど、緩いな。
「ここの詰め所は平民の叩き上げがほとんどでな。荒事に慣れてる奴らばかりで、気さくなモンよ。俺なんか、貧乏子爵の四男で食い扶持の為に門衛になったが、ここは堅っ苦しくなくて居心地はいいぜ?」
仮にも貴族だってんで隊長なんてやらされているがな、とおかしそうに笑った。
暫く雑談をしていたが、仮眠室からアルカスを抱えたクラビスが出てきた。
アルカスの顔色も良さそうだ。
「迷惑かけたな。助かった」
「あの、ありがとうございました」
アルカスがクラビスの腕の中でぺこりと頭を下げる。
「元気になってよかったです、アルカス様」
ニカッと笑った門衛に手を振って詰め所から出て行った。
「とりあえず、邸に戻ってからステータスの確認をしようか」
「うん。だけど、体がさっきより軽い気がする。やっぱりレベルアップしてるよね?」
「自分で変化が分かるくらいには上がったって事かな。まあ、上がる分には問題ないし、いいんじゃない?」
そんな感じでタウンハウスに戻っていった。
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