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第二章 王都編
そして黒歴史は繰り返される
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ようやく笑いの収まった二人の案内で、比較的弱い魔物を探す。
この辺りもフォレスター領とさほど変わらないようで、王都近郊はゴブリンとかホーンラビットなどの弱い魔物が多く、森の中にはウルフ系やベア系などが多いそうだ。
「だから森の奥に行かなければアルカスのレベルでも割と平気」
「なるほどねえ。じゃあ、今回もホーンラビットとか?」
「うん。いたらね。そういえば前回は魔物を殺した時にショック受けなかったな」
クラビスが思い出したように言った。
「ああ、うん。なんか加護で状態異常無効化があったろ? そのお陰か、全く動揺しなくて、逆に違和感満載だった」
そう言って苦笑した。
思い出したらあの時の体の痛みも思い出してしまい、ちょっと顔をしかめてしまったが。
そんな話をしていたら再び繰り返される喜劇(笑)。
駆け出し冒険者じゃあなかったけど、お色気ムンムンのお姉さん二人が声をかけてきた。
「ちょっとソコのお兄さん達ぃ、そんな子供のお守りじゃなくてアタシ達にしなぁい?」
自分の体によっぽど自信があるのか、いわゆるビキニアーマーである。
アレだ。ボン・キュッ・ボンなヤツ。
しかしいつも思うが、これでどうやって防御してるんだろうか?
「半分は見映えで、半分は魔法付与で防御結界を付けてるから、お腹を蹴られても結構防御出来るんだよ」
フェイが教えてくれた。ふむふむ、自前の腹筋ではなく、魔法で防御してると。
チラッとクラビスを見る。ニコッとされた。フェイを見る。コッチもニコッと首を傾げた。
・・・・・・二人は(フェイは自己申告)カチカチのシックスパックだったな。
・・・・・・
「俺もシックスパック目指そう」
「何でそうなるかな?!」
「アルカスはそのままが抱き心地がいいから不要だ」
「うわっ、真顔で言ったよ、こいつ。あーもーイヤだこいつら! いちゃいちゃは他所でやれ!」
「ーーーちょっと! アタシらを無視して何騒いでんのよ!」
「そんなお子ちゃまよりアタシの方が抱き心地いいに決まってんでしょ!!」
おっと、忘れてた。
めっちゃ鬼の形相のお姉さん達。
「何を言ってる。アルカスに決まってるだろう。それとも俺の嫁に文句があるのか」
「はあ?! こんなガキが嫁の訳ない、じゃ・・・・・・っ」
「あーあ、クラビスの地雷踏んだなあ。アルカスの事を否定されるの、一番やだもんなぁ」
クラビスが、例の威圧を出してるらしい。
お姉さん達、腰を抜かしてる。
でも同情はしないよ。
俺だって腹は立つ。
「ね、これ知ってるよね? 自分も持ってるもんね。これに載ってる事は誤魔化しが効かないんだよね?」
「・・・・・・っ」
カクカク頷き、俺のギルドカードを見た二人は真っ青な顔で呆然とした。
「俺、大人。だから結婚もしてる」
そう言って、クラビスとお揃いの腕輪を見せた。耳にも揃いのイヤーカフ。
「そういうことだからそこら辺よく確認してから声かけなよ。二度はないよ。俺、とーっても怒ってるからね」
そう言って真顔で俺も威圧っぽいのを出してみたら、お姉さん達がひいいっと言って気絶した。あれ?
「・・・・・・コレ、どーすんの?」
「ほっとけばいい」
「自業自得」
「・・・まあ、二人がそう言うなら・・・?」
周りにいたヤジ冒険者が回収してくれるんだろう。俺も知らん。
それより魔物狩り!
その場を離れた3人を見送ってから、そっと息を吐く野次馬達。
たまたま居合わせただけだが、イイ男とみると途端に擦り寄るあの女冒険者達がまたターゲットを見つけたと、皆、興味深々だった。
ほとんどのヤツが『またやってるよ』と半ば呆れている中、俺を含め一部のヤツらは知っていた。
アレはSランクのクラビスと、Aランクのフェイだと。
王都にいるのは知っていた。
先日、アレクと冒険者ギルドに顔を出したのを見たからだ。
その時、小柄な綺麗な子を抱えていたのも。
その子があの子だとすぐに分かった。
・・・・・・案の定、女冒険者二人は歯牙にもかけられずに、問答無用の威圧で失神した。
・・・・・・化け物だぜ。伊達にSランク名乗っちゃいねえ。
しかしまあ、去り際にチラッとコッチを見て目線で後始末を頼まれちまったからには、仕方ねえ。
「おい、手伝え」
「えー・・・?」
「詰め所まで運ぶ。ソッチのやつ頼むわ」
「へいへい。ったく、本当に迷惑なヤツらだな。この歳で結婚できない理由を考えたことないのかね?」
「あったら冒険者なんて続けてねえだろ? こんな女なら、男の方がよっぽどいい」
「同感だな」
愚痴を零しながら詰め所まで運ぶと、門衛にさっきの出来事を話す。
「何! アルカス様に暴言を?! おい、コイツらを留置場へ入れておけ! それからフォレスター家のタウンハウスへ連絡を入れろ!」
「・・・・・・アルカス様?」
「フォレスター・・・・・・って、将軍閣下の?!」
・・・・・・なんか知らないうちに大騒動になってるっぽい。
「お前たちご苦労だった。少ないが謝礼が出るから、後でギルドに言ってくれ」
「はあ」
二人はその場を後にした。
「なんか知らないが、俺達いいことやったのか?」
「らしいな。まあいいや。所でお前、今、暇?」
「まあ、こんなことになったし、今日はもう、依頼は受けないな」
「じゃあ、ギルドに行った後、一杯やらねえか?」
「いいな。付き合うぜ」
「うし! そうと決まれば善は急げだな」
そう言って男二人は嬉々として酒場に繰り出し、意気投合し、勢い余って閨を共にしてからの婚姻になるのだが、それはまた別のお話。
この辺りもフォレスター領とさほど変わらないようで、王都近郊はゴブリンとかホーンラビットなどの弱い魔物が多く、森の中にはウルフ系やベア系などが多いそうだ。
「だから森の奥に行かなければアルカスのレベルでも割と平気」
「なるほどねえ。じゃあ、今回もホーンラビットとか?」
「うん。いたらね。そういえば前回は魔物を殺した時にショック受けなかったな」
クラビスが思い出したように言った。
「ああ、うん。なんか加護で状態異常無効化があったろ? そのお陰か、全く動揺しなくて、逆に違和感満載だった」
そう言って苦笑した。
思い出したらあの時の体の痛みも思い出してしまい、ちょっと顔をしかめてしまったが。
そんな話をしていたら再び繰り返される喜劇(笑)。
駆け出し冒険者じゃあなかったけど、お色気ムンムンのお姉さん二人が声をかけてきた。
「ちょっとソコのお兄さん達ぃ、そんな子供のお守りじゃなくてアタシ達にしなぁい?」
自分の体によっぽど自信があるのか、いわゆるビキニアーマーである。
アレだ。ボン・キュッ・ボンなヤツ。
しかしいつも思うが、これでどうやって防御してるんだろうか?
「半分は見映えで、半分は魔法付与で防御結界を付けてるから、お腹を蹴られても結構防御出来るんだよ」
フェイが教えてくれた。ふむふむ、自前の腹筋ではなく、魔法で防御してると。
チラッとクラビスを見る。ニコッとされた。フェイを見る。コッチもニコッと首を傾げた。
・・・・・・二人は(フェイは自己申告)カチカチのシックスパックだったな。
・・・・・・
「俺もシックスパック目指そう」
「何でそうなるかな?!」
「アルカスはそのままが抱き心地がいいから不要だ」
「うわっ、真顔で言ったよ、こいつ。あーもーイヤだこいつら! いちゃいちゃは他所でやれ!」
「ーーーちょっと! アタシらを無視して何騒いでんのよ!」
「そんなお子ちゃまよりアタシの方が抱き心地いいに決まってんでしょ!!」
おっと、忘れてた。
めっちゃ鬼の形相のお姉さん達。
「何を言ってる。アルカスに決まってるだろう。それとも俺の嫁に文句があるのか」
「はあ?! こんなガキが嫁の訳ない、じゃ・・・・・・っ」
「あーあ、クラビスの地雷踏んだなあ。アルカスの事を否定されるの、一番やだもんなぁ」
クラビスが、例の威圧を出してるらしい。
お姉さん達、腰を抜かしてる。
でも同情はしないよ。
俺だって腹は立つ。
「ね、これ知ってるよね? 自分も持ってるもんね。これに載ってる事は誤魔化しが効かないんだよね?」
「・・・・・・っ」
カクカク頷き、俺のギルドカードを見た二人は真っ青な顔で呆然とした。
「俺、大人。だから結婚もしてる」
そう言って、クラビスとお揃いの腕輪を見せた。耳にも揃いのイヤーカフ。
「そういうことだからそこら辺よく確認してから声かけなよ。二度はないよ。俺、とーっても怒ってるからね」
そう言って真顔で俺も威圧っぽいのを出してみたら、お姉さん達がひいいっと言って気絶した。あれ?
「・・・・・・コレ、どーすんの?」
「ほっとけばいい」
「自業自得」
「・・・まあ、二人がそう言うなら・・・?」
周りにいたヤジ冒険者が回収してくれるんだろう。俺も知らん。
それより魔物狩り!
その場を離れた3人を見送ってから、そっと息を吐く野次馬達。
たまたま居合わせただけだが、イイ男とみると途端に擦り寄るあの女冒険者達がまたターゲットを見つけたと、皆、興味深々だった。
ほとんどのヤツが『またやってるよ』と半ば呆れている中、俺を含め一部のヤツらは知っていた。
アレはSランクのクラビスと、Aランクのフェイだと。
王都にいるのは知っていた。
先日、アレクと冒険者ギルドに顔を出したのを見たからだ。
その時、小柄な綺麗な子を抱えていたのも。
その子があの子だとすぐに分かった。
・・・・・・案の定、女冒険者二人は歯牙にもかけられずに、問答無用の威圧で失神した。
・・・・・・化け物だぜ。伊達にSランク名乗っちゃいねえ。
しかしまあ、去り際にチラッとコッチを見て目線で後始末を頼まれちまったからには、仕方ねえ。
「おい、手伝え」
「えー・・・?」
「詰め所まで運ぶ。ソッチのやつ頼むわ」
「へいへい。ったく、本当に迷惑なヤツらだな。この歳で結婚できない理由を考えたことないのかね?」
「あったら冒険者なんて続けてねえだろ? こんな女なら、男の方がよっぽどいい」
「同感だな」
愚痴を零しながら詰め所まで運ぶと、門衛にさっきの出来事を話す。
「何! アルカス様に暴言を?! おい、コイツらを留置場へ入れておけ! それからフォレスター家のタウンハウスへ連絡を入れろ!」
「・・・・・・アルカス様?」
「フォレスター・・・・・・って、将軍閣下の?!」
・・・・・・なんか知らないうちに大騒動になってるっぽい。
「お前たちご苦労だった。少ないが謝礼が出るから、後でギルドに言ってくれ」
「はあ」
二人はその場を後にした。
「なんか知らないが、俺達いいことやったのか?」
「らしいな。まあいいや。所でお前、今、暇?」
「まあ、こんなことになったし、今日はもう、依頼は受けないな」
「じゃあ、ギルドに行った後、一杯やらねえか?」
「いいな。付き合うぜ」
「うし! そうと決まれば善は急げだな」
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