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第一章 フォレスター編
あの一週間 1(sideクラビス)
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*クラビスがちょっとアレな感じに。もしかしたらイメージが壊れると思われます。読まなくても話は分かるので飛ばしても大丈夫です*
アルカスが教会でエストレラ神に加護のロックを解除して貰った後。
眠りについたアルカスを愛おしく抱きしめた。
翌日。
朝になったが、ピクリともしない。
だが、静かに上下する胸に生きていると安心する。
暫くは眠ると言っていたから、数日はこのままかもしれない。
逆を言えば、眠っているアルカスを頭から足の先まで俺が独占して世話が出来るということで。
「ナニソレ、最高」
誰もいないのでツッコまれないが、思考も言動も変態のアレである。
うっとりとしてアルカスの額にキスを落とし、ひとまず自分の身支度を整える。
異空間収納バッグにほとんどの物が入ってるのでこういうとき困らずにすむ。
自分の支度がすめば、今度はアルカスの身支度だが、おそらく今日はずっと目を覚まさないだろうと考え、寝衣を着替えさせる。
まずは生活魔法の『浄化』で綺麗にした後、昨夜着ていた寝衣の上を釦を外してそっと脱がす。
あらかじめ用意した俺の寝衣を着せて、下着を脱がして新しい物を履かせて、ズボンを履かせようとしてハッとした。
「これって、彼シャツ・・・」
そもそも俺のサイズでは大きすぎるから、ズボンは履けない。シャツも大きいから袖を捲っているし、丈も膝上くらいで隠れるし。
「・・・うん。これでいい。これがいい」
そうしてシーツを交換し、アルカスをベッドに寝かせ直したとき、ノックが聞こえた。
「クラビス、アルカスの様子はどうだ?」
グラキス様だ。
ドアを開けて挨拶をし、説明する。
「今日は目覚める様子はなさそうです。昨日のように少しも反応がないので」
「そうか。2,3日は眠りそうかな?」
「おそらくそのくらいは眠り続けると思われます」
「・・・それで、その間のアルカスの世話だが」
「私が全て世話を致しますのでご心配なく」
俺が食い気味に応えると、予想していたのか、苦笑しながらグラキス様が、
「もちろんお前に任せるが、我らも時々様子をうかがいに来るから、よろしく頼む。・・・無理はするなよ?(いろんな意味で)」
と言ってきたので。
「大丈夫です(いろんな意味で)」
と返事をしておいた。
朝食の時間になり、自分の分とアルカスの分(眠っているので栄養価の高い飲み物)
を部屋に持ってきて、ベッドのサイドテーブルの上に置き、アルカスを静かに抱き起こして膝上に乗せる。
アルカスは眠っていて意識がない状態だから、普通に飲んではもらえない。
だから飲み物を口に含んでから、アルカスの唇に舌で割って入り、少しづつ流し込む。
反射的にコクンと嚥下したのを確認して再び口移しで飲ませ、全て飲ませ終えてからも名残惜しく口腔内をそっと舌で撫でたら、無意識にだろうが、体がピクンと跳ねて吐息が漏れた。
「・・・ヤバい。思った以上にクる。称号の効果なのか」
獣人族や龍人族の番の本能は凄いと聞いていたが、これがそうなのか。そうだとしたら、アルカスもこんな気持ちになってくれるのか・・・。
「はー。さすがに意識のないアルカスをどうこうする気はないが、気を付けないと一線を越えそうだ」
理性との戦いだな、とこの時は思っていたが、この決意は早々に砕けることになった。
アルカスが3日目にふっと意識を覚醒させた。
イグニス様とクレイン様夫妻が王都に戻り、グラキス様とクロウ様、ウィステリア様とフェイが様子を見に来ていたときだった。
ぼーっとしながら周りを巡らし、ある一点を見つめて笑った。
・・・俺を見つめていた。
半分寝ているような感じで、舌っ足らずで甘えるように俺の名を呼ぶ。
「くらびす」
「っ、アルカス。どうした?」
「コッチ来て、ぎゅっとして?」
あまりの破壊力に俺はふらふらとベッドに近寄り、アルカスが望むまま布団越しにぎゅっとした。
アルカスは周りが見えてないのか、嬉しそうに笑って更に俺にせがんだ。
「くらびす、キスして?」
・・・・・・
・・・・・・・・・は?
聞き間違いかと一瞬動きが止まった俺に手を伸ばしてきたアルカス。
それを見ていたら、グイッと顔を引き寄せて俺の唇に自分の唇を重ねてきた。
俺はもちろん、周りの4人も唖然。
「くらびす、だいすき」
にへっと笑って言ったかと思ったら、力が抜けていき、再びすうっと眠ってしまった。
思わず膝から崩れ落ちた。
「・・・・・・っ」
その時の俺は顔が真っ赤で、周りの反応をうかがう余裕はなかった。
「・・・・・・ドンマイ」
フェイが憐れみの顔で肩を叩いた。
のろのろと情けない顔をあげると、他の面々も『あちゃあ』という感じの顔をしていた。
「・・・災難だったな」
「アレは絶対無意識のたらしだな」
「愛されてるな、クラビス」
もう、両手で顔を覆って暫く立ち直れなかった。
気を使ったのか、皆は部屋を出て行った。
『ガンバレ』
そう言って。
ホント俺の理性、保つかな・・・・・・。
その日は結局、その一度きりしか目覚めず、いつもの通りに浄化して着替えさせ、口移しで飲み物を飲ませてチロッと口腔内を撫で。
アルカスを抱きしめて眠った。
4日目の朝、視線を感じて目が覚めた。
アルカスがとろんとした目で俺を見つめていた。
「くらびす、おはよぉ」
昨日と同じ舌っ足らずな声で挨拶をされて再び撃沈した。
「お、おはよう、アルカス」
動揺を隠せる気がしない。
朝から俺を悶え死にさせる気か?!
「自分で起きられるか?」
一応聞いてみる。何時もなら『自分で出来るよ!』と照れて言い返してくるが。
「うーん、くらびすが起こして?」
と、甘えて手を伸ばしてくる。
「いいよ」
内心は動揺しまくっているが、務めて平静を装う。
「着替えはどうする? 浄化して着替えさせていたけど」
「じょうか? えっと、お風呂入りたい」
「え、お風呂?」
「そう、日本人なら絶対お風呂に入るの。さっぱりするの」
そういえば、フロウの街のあの宿でもお風呂に大はしゃぎしていた。
そうか。異世界の日本人という国民は風呂好きなんだな。
「風呂は構わないが、安全の為、俺と一緒だぞ?」
これは嫁だとか関係なく譲れない。こんな状態のアルカスを1人でバスタブに入れたら危険極まりない。
いつ寝落ちするか分からないからな。
「もちろんいいよぅ。くらびすのこと大好きだもん。何時でも一緒がいいよね?」
『グハッ!』
アルカスが俺を殺しにきている!
もう、どうしてくれようか。
結局、心を無にして耐え、一緒に入浴した俺はえらいと思う。
アルカスが正気だったら俺も遠慮はしないが、ほとんど夢心地でいるんだろう。
故に、深層心理が表面に現れて素直になっている。
こんな状況で不謹慎だが、俺としてはもの凄く嬉しい。
完全に目覚めたら隠されてしまうだろう本音。
本人は覚えてないかもしれないから、俺がしっかりと焼き付けておこう。
そうして、風呂上がりに彼シャツを着せて、日課のようになっている口移しでの食事も甘えてくるだけで拒否もなく。
数時間起きていたが、さすがに限界だったのかネジが切れたようにパタッと寝てしまい、そのまま目覚めることはなかった。
しかし俺には至福のひとときだった。
アルカスが教会でエストレラ神に加護のロックを解除して貰った後。
眠りについたアルカスを愛おしく抱きしめた。
翌日。
朝になったが、ピクリともしない。
だが、静かに上下する胸に生きていると安心する。
暫くは眠ると言っていたから、数日はこのままかもしれない。
逆を言えば、眠っているアルカスを頭から足の先まで俺が独占して世話が出来るということで。
「ナニソレ、最高」
誰もいないのでツッコまれないが、思考も言動も変態のアレである。
うっとりとしてアルカスの額にキスを落とし、ひとまず自分の身支度を整える。
異空間収納バッグにほとんどの物が入ってるのでこういうとき困らずにすむ。
自分の支度がすめば、今度はアルカスの身支度だが、おそらく今日はずっと目を覚まさないだろうと考え、寝衣を着替えさせる。
まずは生活魔法の『浄化』で綺麗にした後、昨夜着ていた寝衣の上を釦を外してそっと脱がす。
あらかじめ用意した俺の寝衣を着せて、下着を脱がして新しい物を履かせて、ズボンを履かせようとしてハッとした。
「これって、彼シャツ・・・」
そもそも俺のサイズでは大きすぎるから、ズボンは履けない。シャツも大きいから袖を捲っているし、丈も膝上くらいで隠れるし。
「・・・うん。これでいい。これがいい」
そうしてシーツを交換し、アルカスをベッドに寝かせ直したとき、ノックが聞こえた。
「クラビス、アルカスの様子はどうだ?」
グラキス様だ。
ドアを開けて挨拶をし、説明する。
「今日は目覚める様子はなさそうです。昨日のように少しも反応がないので」
「そうか。2,3日は眠りそうかな?」
「おそらくそのくらいは眠り続けると思われます」
「・・・それで、その間のアルカスの世話だが」
「私が全て世話を致しますのでご心配なく」
俺が食い気味に応えると、予想していたのか、苦笑しながらグラキス様が、
「もちろんお前に任せるが、我らも時々様子をうかがいに来るから、よろしく頼む。・・・無理はするなよ?(いろんな意味で)」
と言ってきたので。
「大丈夫です(いろんな意味で)」
と返事をしておいた。
朝食の時間になり、自分の分とアルカスの分(眠っているので栄養価の高い飲み物)
を部屋に持ってきて、ベッドのサイドテーブルの上に置き、アルカスを静かに抱き起こして膝上に乗せる。
アルカスは眠っていて意識がない状態だから、普通に飲んではもらえない。
だから飲み物を口に含んでから、アルカスの唇に舌で割って入り、少しづつ流し込む。
反射的にコクンと嚥下したのを確認して再び口移しで飲ませ、全て飲ませ終えてからも名残惜しく口腔内をそっと舌で撫でたら、無意識にだろうが、体がピクンと跳ねて吐息が漏れた。
「・・・ヤバい。思った以上にクる。称号の効果なのか」
獣人族や龍人族の番の本能は凄いと聞いていたが、これがそうなのか。そうだとしたら、アルカスもこんな気持ちになってくれるのか・・・。
「はー。さすがに意識のないアルカスをどうこうする気はないが、気を付けないと一線を越えそうだ」
理性との戦いだな、とこの時は思っていたが、この決意は早々に砕けることになった。
アルカスが3日目にふっと意識を覚醒させた。
イグニス様とクレイン様夫妻が王都に戻り、グラキス様とクロウ様、ウィステリア様とフェイが様子を見に来ていたときだった。
ぼーっとしながら周りを巡らし、ある一点を見つめて笑った。
・・・俺を見つめていた。
半分寝ているような感じで、舌っ足らずで甘えるように俺の名を呼ぶ。
「くらびす」
「っ、アルカス。どうした?」
「コッチ来て、ぎゅっとして?」
あまりの破壊力に俺はふらふらとベッドに近寄り、アルカスが望むまま布団越しにぎゅっとした。
アルカスは周りが見えてないのか、嬉しそうに笑って更に俺にせがんだ。
「くらびす、キスして?」
・・・・・・
・・・・・・・・・は?
聞き間違いかと一瞬動きが止まった俺に手を伸ばしてきたアルカス。
それを見ていたら、グイッと顔を引き寄せて俺の唇に自分の唇を重ねてきた。
俺はもちろん、周りの4人も唖然。
「くらびす、だいすき」
にへっと笑って言ったかと思ったら、力が抜けていき、再びすうっと眠ってしまった。
思わず膝から崩れ落ちた。
「・・・・・・っ」
その時の俺は顔が真っ赤で、周りの反応をうかがう余裕はなかった。
「・・・・・・ドンマイ」
フェイが憐れみの顔で肩を叩いた。
のろのろと情けない顔をあげると、他の面々も『あちゃあ』という感じの顔をしていた。
「・・・災難だったな」
「アレは絶対無意識のたらしだな」
「愛されてるな、クラビス」
もう、両手で顔を覆って暫く立ち直れなかった。
気を使ったのか、皆は部屋を出て行った。
『ガンバレ』
そう言って。
ホント俺の理性、保つかな・・・・・・。
その日は結局、その一度きりしか目覚めず、いつもの通りに浄化して着替えさせ、口移しで飲み物を飲ませてチロッと口腔内を撫で。
アルカスを抱きしめて眠った。
4日目の朝、視線を感じて目が覚めた。
アルカスがとろんとした目で俺を見つめていた。
「くらびす、おはよぉ」
昨日と同じ舌っ足らずな声で挨拶をされて再び撃沈した。
「お、おはよう、アルカス」
動揺を隠せる気がしない。
朝から俺を悶え死にさせる気か?!
「自分で起きられるか?」
一応聞いてみる。何時もなら『自分で出来るよ!』と照れて言い返してくるが。
「うーん、くらびすが起こして?」
と、甘えて手を伸ばしてくる。
「いいよ」
内心は動揺しまくっているが、務めて平静を装う。
「着替えはどうする? 浄化して着替えさせていたけど」
「じょうか? えっと、お風呂入りたい」
「え、お風呂?」
「そう、日本人なら絶対お風呂に入るの。さっぱりするの」
そういえば、フロウの街のあの宿でもお風呂に大はしゃぎしていた。
そうか。異世界の日本人という国民は風呂好きなんだな。
「風呂は構わないが、安全の為、俺と一緒だぞ?」
これは嫁だとか関係なく譲れない。こんな状態のアルカスを1人でバスタブに入れたら危険極まりない。
いつ寝落ちするか分からないからな。
「もちろんいいよぅ。くらびすのこと大好きだもん。何時でも一緒がいいよね?」
『グハッ!』
アルカスが俺を殺しにきている!
もう、どうしてくれようか。
結局、心を無にして耐え、一緒に入浴した俺はえらいと思う。
アルカスが正気だったら俺も遠慮はしないが、ほとんど夢心地でいるんだろう。
故に、深層心理が表面に現れて素直になっている。
こんな状況で不謹慎だが、俺としてはもの凄く嬉しい。
完全に目覚めたら隠されてしまうだろう本音。
本人は覚えてないかもしれないから、俺がしっかりと焼き付けておこう。
そうして、風呂上がりに彼シャツを着せて、日課のようになっている口移しでの食事も甘えてくるだけで拒否もなく。
数時間起きていたが、さすがに限界だったのかネジが切れたようにパタッと寝てしまい、そのまま目覚めることはなかった。
しかし俺には至福のひとときだった。
応援ありがとうございます!
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