【完結】水と夢の中の太陽

エウラ

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第一章 フォレスター編

ちょっとソコまでのはずが(sideグラキス)

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ちょっとソコまで、のはずだった。

確かに時間としては『ちょっとソコまで』だった。
だが蓋を開けてみれば、意識を失った我が子と、やや青ざめたクラビス達が帰宅していて。

邸中が騒然とする中、ピクリともしないアルカスに、もしや、と一瞬でも取り乱してしまったのは仕方ないだろう。

「グラキス様、呼吸はしっかりとしています。ご心配なさらず」
そうフェイに言われてハッとすれば、クラビスにも頷かれてホッと胸を撫で下ろす。
「とりあえず寝かせてきます。詳しくはフェイに」
「うむ。頼んだ。フェイもよろしく頼む」
「はい」

そうして聞かされた話に、確証はないが可能性は高いんだろうなと、ひとまず納得し。
程なくして転移して来た夫と次男とその嫁に再びの説明。

その後やって来たウィステリア殿も交えて再三の話し合い。が、結局は誰もが憶測の域を出ず、アルカスの目覚めを待つことになった。

晩餐を終え、各々与えられた部屋へ向かう中、クラビスはアルカスの側を離れたくないんだろう。
我らに許可を得てからアルカスの部屋へ入っていった。
「嫁なんだから断らなくてもいいのになあ。律儀だよな? イグニス」
私がそう言えば。
「嫁だって言ってもまだ結婚前だ。当然だろう!」
ブスッと言うイグニスに鼻で笑って、
「結婚前に何度も私の部屋に忍び込んできたお前が言うことか」
「え、いや、ソレは若気の至りでっ」
「じゃあ、クラビスも若気の至りってヤツがあっても仕方ないな?」
そういって言質を取ってやった。

クラビスの方がよほど理性的だ。

クラビス。お前はアルカスを幸せにしてくれると信じているよ。

だからもし『若気の至り』になったら、私はお前の味方だ。



まあ、結局お前はアルカスを大切にしてくれたから、その出番はなかったが。

その後、昼前に目覚めたアルカスが食堂で零した言葉に全員が絶句している中、クラビスだけが必死にアルカスに気持ちをぶつけていたのには、驚いた。

だが、言葉の端々に、重い愛が込められていたように感じたのは気のせいじゃないと思うぞ。

ハッとして皆で慌てて言い募る。
私達がどれだけお前を愛しているか。
クラビスのようなヤバい感情ではなく、家族の情愛だが!

何とかアルカスに信じてもらえたが。

その後のステータスでは、レベルよりも称号に目がいったのは仕方ないだろう。

どうして称号に『嫁』認定された?
我らが『嫁』になっても称号にはならないが?

エストレラ神よ。神公認って・・・いいのですか?

自分で、応援するような事を言っておいてアレなんだが。
クラビスがかなり重いんだが・・・。

母親として、ちょっと人選間違えたかなあ・・・?

・・・・・・スマン、アルカス。
骨は拾ってやる。
え? 骨までも愛してるからソレは出来ない相談だ?

・・・・・・筋金入りのヤンデレだな。



アルカス、ガンバレ。






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