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第一章 フォレスター編
俺の立ち位置って?
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やっとこさっとこ、邸に入れたのはあれから30分くらい経ってから。
地味につらみ。いやずっとクラビスに抱っこされてたけど。精神的な?
ひとまず、俺の部屋だという場所へ案内してもらい、ひと息つく。
「お茶をどうぞ」
メイドさんらしき女の人・・・いや違った。メイド服を着た男の人だった。おう・・・。
何でも本人の趣味だとか。よかった。ちょっと強制かと思っちゃったよ。
でも普通に可愛い系の人だった。
思わずジッと見ていると、クラビスが気に障ったのか、
「何見てるの?」
と、笑ってない目で俺を見た。
「いや、違くて。俺より年上なんだろうなって」
そう言ったら、目を瞬いて。
「彼は15才だよ。成人したばかり」
・・・・・・
「ハアアアッーーー?! 嘘だろ? クラビス嘘だと言って! 何で俺よりデカいんだよ?! 俺だってこれでも165あるんだけどぉ!! 俺、もうじきハタチなんだけどぉ!!」
クラビスの肩をガシッと掴んで涙目でクラビスに訴えた。
「あのな、アルカス」
「何ッ?!」
「こちらでは成人したヤツは平均180はある。20頃までは成長期で、俺くらいの年齢だと190から200くらいはあるな。もちろん個人差はあるが」
『ガビーン!!』と背中に雷を背負ったアルカス。
その後、ガクッと音がしそうなほど肩を落としたアルカスを慰めるクラビス。
フォレスター一家にはちっさい言うなと言っておいて、トドメを指したのはクラビスだった。
部屋の隅、壁となったメイド(男)は、密かに思った。
(アルカス様が可愛すぎる。そしてデカくてごめんなさい)
アルカスは暫く立ち直れなかった。
「そりゃあ、あっちでも男としては小さい・・・でもでも俺より背の低いヤツだって、日本人はけっこういたはず」
ブツブツ言う俺に追加情報として言った言葉に、奈落の底に落とされた。
「アルカスには悪いが、肉体はこちらの世界のままなんだから、その『ニホンジン』の枠には当てはまらないと思うよ?」
「・・・・・・」
やっぱり食生活か?! 鍛え方か?!
コッチの常識に当てはめたってちっさすぎるって・・・。
俺、もう育たねえよ、これ以上。高校出てから1ミリも伸びてねえ。
せめて内面を成長させよう。見た目は子供、中身は・・・ってヤツだ!
フンスッと拳を握ってそう密かに誓った。
クラビスは、急に復活した俺を見て、何を思ったのか頭を撫でてきた。
あ、撫でられるの気持ちイイ。
「・・・はっ、ついウトウトしそうになってしまった! 撫でるの禁止! 眠くなっちゃう! 気持ちイイけど!!」
「気持ちイイんだ? じゃあ夜二人っきりで、たっぷり、好きなだけ、撫でてあげる」
うおいっ!! ヤメロ、お前がそんなことを言うとイロイロヤバい! ヘンな意味で
!!
「あはは。顔真っ赤! 可愛い」
「うううるさい! 誰のせいだと!」
「俺のせいだね。・・・そんな顔、他の男には見せないでよ?」
うっそりと笑って言うクラビスに是と言うしかなかった。
そもそもクラビス以外にそんな気が起きないって。
さて、遅くなったが、皆で昼食を食べようと言われて食堂へ案内してもらった。
食堂は二つあるそうだ。来客をもてなすための広い、ちょっと豪華な場所と、今いる、家族や近しい者がプライベートで食事をするこじんまりとしたところ。
距離が近いし気兼ねなく食事が出来るので、いつもこちらを使っているそうだ。
席に着くと、父さんから順に軽く挨拶があった。さっきのことを踏まえて、極力静かに話していて、つられるように心なしか体も小さくなったようで、思わず吹き出してしまった。
「ぷっ、ハハ、ごめんなさい。なんかさっきとは打って変わって、皆、可愛らしくて、その・・・」
ダメだ。笑いが止まらない。
「ははは、こんな、優しくてすてきな、人達が。俺の家族で・・・嬉しくて・・・っ」
「・・・アルカス、こちらこそ。優しい子に育って、本当に。ありがとう。やっと、帰ってきてくれた」
幸せな気持ちで食べた食事は、大勢で食べたのも相まって凄くスゴーく美味しかった。
そうして食後のお茶を飲みながら、またもや睡魔に襲われた俺は、赤ちゃんよろしくクラビスに抱っこされて、部屋に戻った。
「何でこんなに眠いんだろう・・・」
「疲れているんだよ。構わずお休み。皆いるから安心して?」
そう言いながらクラビスが俺のブーツを脱がし、ベストを脱がし、シャツの釦を数個外して寛げるとベッドに横たえた。
凄いなクラビス。俺は眠くて全く動けなかった。
「あり、が・・・ぅ」
「おやすみ、アルカス」
最後まで言えただろうか。口に優しい感触がして、ソレを合図に夢の中へと落ちていった。
「・・・寝たか」
前髪を梳いて、横に流す。形のいい額が現れた。そこにも口づけを贈る。
そっと寝室を出て、皆がいるであろうサロンへ足を向ける。
「何かあればすぐに連絡を」
メイド(男)が頷くのを確認し、部屋を後にした。
「失礼します」
皆さんお揃いで待っていたようだ。
「寝たのか? 様子は?」
ソファに座ると、イグニスが静かに問いかける。アルカスが絡まなければ普通なのだ。
「はい。あっという間に眠ってしまいました。移動の疲れというよりは、おそらく体が魔力に馴染もうとしているからではと」
幼い子供が体と魔力のバランスをうまく取れずに体調を崩すのによく似ている。
「異世界では魔法がないと聞いたが」
「ええ、なので、体は常に魔力枯渇状態だったと思われます」
「そこへ来て、本来あるべき魔力が急激に吸収され始めて体が悲鳴をあげているのでは、と」
クレインが分析する。
「体が思ったより小さいのは、ソレが関係しているのかもなあ」
グラキスが呟く。
「有り得るね。体の成長に魔力は必要不可欠だ。この世界で魔力のないものなどないのだから。しかし、そうなると無事に生きていたことが奇跡だな」
そう言うのはクレイン。魔法にも詳しい。
「確かに。成長に必要な魔力の代わりに本当なら育つはずの身長や筋肉を使ってしまったのやも知れぬ」
「そうなると、いくら魔力を取り込んでも成長期が終わってしまったアルカスの背は、もう・・・」
・・・・・・・・・・・・
「ざ、残念だが仕方がない! だが可愛いからいいだろう!」
誤魔化すようにイグニスが言った。そこへ
「俺は全く構いませんが。すでに俺の『嫁』ですし」
サラッとクラビスが爆弾を投下した。
「ハアアアアッッッ--?!」
クラビス以外の全員が叫んだ。
「いつどこでそんなことになった! いや俺達が言えることじゃないんだけどさあ---!!」
「まだ3日だよなだよな?! 嘘だと言えって!!」
その問いにクラビスはニヤッとした顔で答えた。
「邸に着いた直後ですが、出会ったその時から嫁認定していました」
もっと言えば、従者兼護衛に決まったときからだが。
「先にも言ったが、運命ってヤツだな。そも、クラビスの前に現れたこと自体、神の思し召しだったんだ。諦めな」
苦笑して言うグラキスに、他の者は、納得しかねる顔だ。
「だって昨日の今日で嫁。まだ俺達は家族に戻って2日。しかも実質数時間・・・・・・なのにもう嫁に出すなんて・・・・・・」
「寂しすぎる!」
「ソレなんですが。嫁に貰っても別にすぐにどこかになんて行きませんよ」
クラビスが苦笑した。
「そもそもこちらと向こうの常識のすり合わせもしないとですし、こちらの世界の知識も学んでいかないと。たまに冒険者家業もやるでしょうが、当分はここに住むでしょう?」
ソレを聞いてイグニスとクロウ、クレインはホッとしたように微笑んで。
「それもそうか」
「そうだな」
「そうと決まれば教師達を選定して・・・」
会議をし始めた3人に、
「・・・・・・それで、嫁に貰ってもよろしいのでしょうか」
言質を取るためにクラビスが問いかける。
「・・・・・・仕方がないが! 許す!! 絶対幸せにしろよ!」
「ありがとうございます。命に代えましても必ず」
真剣な顔で誓った後、クラビスが破顔した。
皆も笑って、和気あいあいと時は過ぎていった。
こうして俺の立ち位置は、俺がいないうちに、俺が目を覚ました5日後には『クラビスの嫁』に決定していた。いや本当、知らないうちに。
・・・・・・そしてお気付きだろうか。
・・・そう、5日も眠っていたらしい。ガキか?! 寝る子は育つ。・・・・・・育ってねえ! もう育たねえよ!(涙)
見た目は子供でも身長はとっくに打ち止めだからな!!
ホントつらみ。
地味につらみ。いやずっとクラビスに抱っこされてたけど。精神的な?
ひとまず、俺の部屋だという場所へ案内してもらい、ひと息つく。
「お茶をどうぞ」
メイドさんらしき女の人・・・いや違った。メイド服を着た男の人だった。おう・・・。
何でも本人の趣味だとか。よかった。ちょっと強制かと思っちゃったよ。
でも普通に可愛い系の人だった。
思わずジッと見ていると、クラビスが気に障ったのか、
「何見てるの?」
と、笑ってない目で俺を見た。
「いや、違くて。俺より年上なんだろうなって」
そう言ったら、目を瞬いて。
「彼は15才だよ。成人したばかり」
・・・・・・
「ハアアアッーーー?! 嘘だろ? クラビス嘘だと言って! 何で俺よりデカいんだよ?! 俺だってこれでも165あるんだけどぉ!! 俺、もうじきハタチなんだけどぉ!!」
クラビスの肩をガシッと掴んで涙目でクラビスに訴えた。
「あのな、アルカス」
「何ッ?!」
「こちらでは成人したヤツは平均180はある。20頃までは成長期で、俺くらいの年齢だと190から200くらいはあるな。もちろん個人差はあるが」
『ガビーン!!』と背中に雷を背負ったアルカス。
その後、ガクッと音がしそうなほど肩を落としたアルカスを慰めるクラビス。
フォレスター一家にはちっさい言うなと言っておいて、トドメを指したのはクラビスだった。
部屋の隅、壁となったメイド(男)は、密かに思った。
(アルカス様が可愛すぎる。そしてデカくてごめんなさい)
アルカスは暫く立ち直れなかった。
「そりゃあ、あっちでも男としては小さい・・・でもでも俺より背の低いヤツだって、日本人はけっこういたはず」
ブツブツ言う俺に追加情報として言った言葉に、奈落の底に落とされた。
「アルカスには悪いが、肉体はこちらの世界のままなんだから、その『ニホンジン』の枠には当てはまらないと思うよ?」
「・・・・・・」
やっぱり食生活か?! 鍛え方か?!
コッチの常識に当てはめたってちっさすぎるって・・・。
俺、もう育たねえよ、これ以上。高校出てから1ミリも伸びてねえ。
せめて内面を成長させよう。見た目は子供、中身は・・・ってヤツだ!
フンスッと拳を握ってそう密かに誓った。
クラビスは、急に復活した俺を見て、何を思ったのか頭を撫でてきた。
あ、撫でられるの気持ちイイ。
「・・・はっ、ついウトウトしそうになってしまった! 撫でるの禁止! 眠くなっちゃう! 気持ちイイけど!!」
「気持ちイイんだ? じゃあ夜二人っきりで、たっぷり、好きなだけ、撫でてあげる」
うおいっ!! ヤメロ、お前がそんなことを言うとイロイロヤバい! ヘンな意味で
!!
「あはは。顔真っ赤! 可愛い」
「うううるさい! 誰のせいだと!」
「俺のせいだね。・・・そんな顔、他の男には見せないでよ?」
うっそりと笑って言うクラビスに是と言うしかなかった。
そもそもクラビス以外にそんな気が起きないって。
さて、遅くなったが、皆で昼食を食べようと言われて食堂へ案内してもらった。
食堂は二つあるそうだ。来客をもてなすための広い、ちょっと豪華な場所と、今いる、家族や近しい者がプライベートで食事をするこじんまりとしたところ。
距離が近いし気兼ねなく食事が出来るので、いつもこちらを使っているそうだ。
席に着くと、父さんから順に軽く挨拶があった。さっきのことを踏まえて、極力静かに話していて、つられるように心なしか体も小さくなったようで、思わず吹き出してしまった。
「ぷっ、ハハ、ごめんなさい。なんかさっきとは打って変わって、皆、可愛らしくて、その・・・」
ダメだ。笑いが止まらない。
「ははは、こんな、優しくてすてきな、人達が。俺の家族で・・・嬉しくて・・・っ」
「・・・アルカス、こちらこそ。優しい子に育って、本当に。ありがとう。やっと、帰ってきてくれた」
幸せな気持ちで食べた食事は、大勢で食べたのも相まって凄くスゴーく美味しかった。
そうして食後のお茶を飲みながら、またもや睡魔に襲われた俺は、赤ちゃんよろしくクラビスに抱っこされて、部屋に戻った。
「何でこんなに眠いんだろう・・・」
「疲れているんだよ。構わずお休み。皆いるから安心して?」
そう言いながらクラビスが俺のブーツを脱がし、ベストを脱がし、シャツの釦を数個外して寛げるとベッドに横たえた。
凄いなクラビス。俺は眠くて全く動けなかった。
「あり、が・・・ぅ」
「おやすみ、アルカス」
最後まで言えただろうか。口に優しい感触がして、ソレを合図に夢の中へと落ちていった。
「・・・寝たか」
前髪を梳いて、横に流す。形のいい額が現れた。そこにも口づけを贈る。
そっと寝室を出て、皆がいるであろうサロンへ足を向ける。
「何かあればすぐに連絡を」
メイド(男)が頷くのを確認し、部屋を後にした。
「失礼します」
皆さんお揃いで待っていたようだ。
「寝たのか? 様子は?」
ソファに座ると、イグニスが静かに問いかける。アルカスが絡まなければ普通なのだ。
「はい。あっという間に眠ってしまいました。移動の疲れというよりは、おそらく体が魔力に馴染もうとしているからではと」
幼い子供が体と魔力のバランスをうまく取れずに体調を崩すのによく似ている。
「異世界では魔法がないと聞いたが」
「ええ、なので、体は常に魔力枯渇状態だったと思われます」
「そこへ来て、本来あるべき魔力が急激に吸収され始めて体が悲鳴をあげているのでは、と」
クレインが分析する。
「体が思ったより小さいのは、ソレが関係しているのかもなあ」
グラキスが呟く。
「有り得るね。体の成長に魔力は必要不可欠だ。この世界で魔力のないものなどないのだから。しかし、そうなると無事に生きていたことが奇跡だな」
そう言うのはクレイン。魔法にも詳しい。
「確かに。成長に必要な魔力の代わりに本当なら育つはずの身長や筋肉を使ってしまったのやも知れぬ」
「そうなると、いくら魔力を取り込んでも成長期が終わってしまったアルカスの背は、もう・・・」
・・・・・・・・・・・・
「ざ、残念だが仕方がない! だが可愛いからいいだろう!」
誤魔化すようにイグニスが言った。そこへ
「俺は全く構いませんが。すでに俺の『嫁』ですし」
サラッとクラビスが爆弾を投下した。
「ハアアアアッッッ--?!」
クラビス以外の全員が叫んだ。
「いつどこでそんなことになった! いや俺達が言えることじゃないんだけどさあ---!!」
「まだ3日だよなだよな?! 嘘だと言えって!!」
その問いにクラビスはニヤッとした顔で答えた。
「邸に着いた直後ですが、出会ったその時から嫁認定していました」
もっと言えば、従者兼護衛に決まったときからだが。
「先にも言ったが、運命ってヤツだな。そも、クラビスの前に現れたこと自体、神の思し召しだったんだ。諦めな」
苦笑して言うグラキスに、他の者は、納得しかねる顔だ。
「だって昨日の今日で嫁。まだ俺達は家族に戻って2日。しかも実質数時間・・・・・・なのにもう嫁に出すなんて・・・・・・」
「寂しすぎる!」
「ソレなんですが。嫁に貰っても別にすぐにどこかになんて行きませんよ」
クラビスが苦笑した。
「そもそもこちらと向こうの常識のすり合わせもしないとですし、こちらの世界の知識も学んでいかないと。たまに冒険者家業もやるでしょうが、当分はここに住むでしょう?」
ソレを聞いてイグニスとクロウ、クレインはホッとしたように微笑んで。
「それもそうか」
「そうだな」
「そうと決まれば教師達を選定して・・・」
会議をし始めた3人に、
「・・・・・・それで、嫁に貰ってもよろしいのでしょうか」
言質を取るためにクラビスが問いかける。
「・・・・・・仕方がないが! 許す!! 絶対幸せにしろよ!」
「ありがとうございます。命に代えましても必ず」
真剣な顔で誓った後、クラビスが破顔した。
皆も笑って、和気あいあいと時は過ぎていった。
こうして俺の立ち位置は、俺がいないうちに、俺が目を覚ました5日後には『クラビスの嫁』に決定していた。いや本当、知らないうちに。
・・・・・・そしてお気付きだろうか。
・・・そう、5日も眠っていたらしい。ガキか?! 寝る子は育つ。・・・・・・育ってねえ! もう育たねえよ!(涙)
見た目は子供でも身長はとっくに打ち止めだからな!!
ホントつらみ。
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