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初めての魔法 1

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ヒューズとそれなりに肌を重ね合って魔力譲渡にもだいぶ慣れた頃。

ある明け方、何故かふと目が覚めた。
いつもならまだ眠っている時間だ。

何となくベッドの隣がひんやり冷たいな、と思って見たら、ヒューズの姿がなかった。

「・・・・・・トイレ? にしてはだいぶ冷えてる」

短時間布団を離れたにしては温もりが残っていない。

「今日は早起きの用事でもあったっけ? それとも何かあったのかな?」

目を凝らすけど、まだまだ夜明け前で暗く、灯りも最低限しかないから見えにくい。
こういうとき魔法で灯りを灯せたらなぁ。

───なんて思ったのがいけなかったのだろうか?

「───っわあっ!?」

いきなり眩しいくらいの光が目の前に現れて思わず叫んだ。

「目が・・・・・・チカチカする」

両手で顔を覆っていると、廊下の方が慌ただしくなり、バンッと扉が開いた音がした。
うん、眩しくて見られないからね。

「大丈夫か、ルカ! 一体どうした!? 何でこんなことになってる」
「あー、ヒュー? うん、眩しいだけで大丈夫なんだけど、僕にも何が何だか・・・・・・?」

そう言ったら、ヒューが何かやったらしく、眩しい光はパッと消えた。反動で今度は何も見えない。

「ヒュー? どこ?」
「ここだ。大丈夫だ、ただの『灯りライト』の魔法だ。しかし急にどうしたんだ?」

ヒューが抱きしめてくれてホッとした僕は、さっきの状況を説明した。

「つまり、俺を探そうとして灯りが欲しいと思った直後にアレが現れたと?」
「うん」
「・・・・・・もしかしたら、ルカが生活魔法を使えるようになったのかもしれない」
「え?」

ヒューがそんなことを呟いた。

「ほら、指環での魔力譲渡のことをアルカエラ神から聞いたときに、そのうち生活魔法くらいは使えるようになると言ってたろう?」
「・・・・・・あっ、そういえばそんなことを聞いた気がする。すっかり忘れてたけど」

譲渡してれば魔力に慣れて使えるようなことを言ってた気がする。

「急に使えるようになって制御が出来なかったからあんなに光ったんだろう。普通はもっと小さい灯りだ」
「そうなのかも。まあ、理由が分かってよかった」

今の騒ぎで邸中の人が起き出しちゃったみたいだ。

「あの、まだ早いみたいだから皆ももう一度寝て下さい。ごめんなさい、お騒がせして」

廊下で様子を窺っていた人達にそう言うと、ヒューも声をかけてくれて皆は戻っていった。寝室には僕とヒューだけになった。

「・・・・・・ごめんなさい。ヒューも何かあって起きてたんでしょ?」
「ああ、いや。用事とかでなくて、ちょっと目が冴えてしまって、散歩をだな・・・・・・」
「それならいいけど。僕もいつもなら目が覚めないのに、珍しく起きちゃったから」

そこにきてヒューがいなくて焦っちゃったから。

「・・・・・・もしかしたら魔法の発現で興奮気味だったのかもな。とりあえずもう一度眠ろう。詳しくは朝になってからな」

そう言ってヒューがベッドに潜ってきて僕を抱きしめてくれたから、ホッとして暖かくて眠気がやって来て・・・・・・。

僕は今度こそ朝までぐっすり眠ったのだった。




※だいぶ開きまして、スミマセン。
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