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閑話 御堂家のその後
しおりを挟む御堂家の後継を後妻の息子ー瑠華の異母弟ーに指名し、瑠華を政略結婚の駒にしようと画策していたあの日・・・。
「旦那様!! る、瑠華様がいらっしゃいません・・・!」
「---何だと? 部屋に閉じ籠もっているのではないか。いつも通りに唯々諾々と従っていたアイツの事だ、他にする事もないだろう?」
「ですが・・・お部屋にもいらっしゃらず、屋敷中探しておりますが未だ・・・」
使用人が瑠華の不在を告げに来たのは夕方頃。
瑠華に後継と政略結婚の話をしてから数時間が経っている。
夕餉の為に呼びに行った使用人がいないことに気付き、慌ててあちこち探すも見つからず、私のところに報告に来たらしい。
「---全く、アイツはこんな時まではた迷惑な! 本当にアイツはろくな事をせんな! 警備の者に探させろ。私達は夕餉に向かう。見つかり次第説教をしてやる! 何か分かったら知らせろ」
そう言って私達は夕餉をいただき、風呂も済ませて就寝時間を迎えたのだが・・・。
「・・・・・・まだ見つからんのか?!」
「---はい、屋敷中探しておりますが見つからず、ただ、私服一着と靴が一足無くなっているとのことで、その格好でおそらく屋敷の外へ出たものと・・・」
「それが本当だとして、使用人や警備は何故気が付かなかった?! ええい、外へも捜索の手を広げろ! 何としてでも探し出せ!」
「畏まりました!」
いないでは済ませられないのだ!
瑠華はすでに東谷グループの次男に嫁がせる代わりに融資を受ける契約を結んでいる。
それを元手に新しい事業に手を出しているのだ。
今、契約がパアになったら、もの凄い痛手を受ける。
男色家の次男に目を付けられてちょうど良いと二つ返事でオーケーしたが、こんなコトになろうとは・・・!!
「・・・・・・貴方、大丈夫?」
「だ、大丈夫。あんな世間知らずの細い子供に何が出来る。すぐに自分から戻ってくるさ。探すのは警備員に任せて、さあさあ、もう寝よう」
「そうね、しっかりとしていてもまだ子供だものね、大丈夫よね」
この時の私達は、まだ事態を甘くみていたのだ。
まさか本当に行方知れずになるなど・・・。
そしてそのせいで東谷グループとの契約が反古となり、東谷グループに爪弾きにされ、更には瑠華が経営に携わった多くの事業が頓挫したり、経営に失敗し倒産するなど多大な損害を受けて御堂家があっという間に没落していくことになろうとは・・・。
「・・・・・・何故だ、何故・・・・・・」
瑠華の父親は実は経営などの才の無い平凡な男だったのだが、瑠華の母親の方はそちらに長けていた。
上手に手を回してさも父親が成果を上げたように見せていたため、己の力だと思い込んでしまったのだ。
瑠華はそんな母親に経営のノウハウを叩き込まれていたため、幼い頃から経営に携わり成果を上げていたのだが、そんな政略結婚の母親が気に入らなかった父親が早々に外に愛人を作り、異母弟を産ませていたのだ。
その結果が今の現状である。
甘やかされて育った異母弟にこの現状を変えることは出来ず。
こうして旧華族として長い歴史を歩んできた御堂家は、あっという間に歴史から消え去るのだった・・・。
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