Ｒｅｓｔａｒｔｰ僕は異世界で人生をやり直すｰ

次の日の王都観光 ２

いそいそと出かけた一行は、昨日と同じ場所に馬車を預けて今度はいろんなお店が建ち並ぶエリアに来た。

昨日の出来事を知っているのか、素顔を丸出しのルカを見ても皆大騒ぎせずに、何なら微笑ましそうに見守っている感じだった。

「この辺りは貴金属から庶民の雑貨品まで色んなお店があるそうだ。ルカのお眼鏡にかなう物はあるかな？」

ダグラスが教えてくれた。
ルカはそうだ、とヒューズに聞いてみる。

「一通り見る時間はあるかな？　ピンときたものがあればいいけど、せっかくだからじっくり探したいんだ」
「他には特に予定も無いし、大丈夫だろう。だが時々休憩を挟むからな。疲れたら遠慮なく言えよ？」
「ん、ありがとう」

にっこり笑って御礼を言ったらなんか周りがざわっとして、ルカは首を傾げる。

何か面白いものでもあったかな？
なんて呑気に考えていたが、ルカの笑顔に皆、やられていただけだった。


そんな感じでのんびりと、気になったお店を覗きながら歩いていると、小さな手押し車にピアスやイヤリングを並べている人が見えた。

「ヒューズ、あの人は行商人？」
「ん？　ああ、おそらく異国の旅商人だろう。珍しい。特にお祭りでもないのに売りに来ているのなんて･･･」
「そうなの？」
「ああ、お祭りだとたくさんの人が集まるし色んな国の品物も並ぶから財布の紐も緩んでたくさん売れるが、普段は皆、堅実だからね。モノにもよるけど、異国の品は高いモノがほとんどだから売れにくい」

ダグラスが追加情報をくれた。
なるほど、確かに特別感があるときは衝動買いしたりするよね。

「気になった？」
「･･･うん、見に行っても？」
「もちろん」

そういって二つ返事で了承してくれたヒューズとダグラス達もついてきて、ぞろぞろとその手押し車の前に行ったものだから、商人のお兄さんがギョッとした。

「－－－いいいいいらっしゃい、ませ･･･？！」
「ごめんなさい、大勢で。あの、品物を見せて貰っても？」
「どどどどうぞ！」

どもってしまったお兄さんに苦笑して商品を見る。
小さいけど、本物の宝石にシンプルな台座から複雑で繊細な物まで様々な耳飾り。

「これって、一点物の手作りですか？」
「そ、そうです。俺が一つずつ作って仕上げてます」
「－－－え！　お兄さんが？！　凄い！」
「あっ、ありがとうございます･･･！」

お兄さんが恐縮な感じで照れてるけど、凄いよ、これ！

「あの、良ければご希望に合ったモノをお作りできますが･･･」
「オーダーメイドできるの？！　凄い、凄いです！　ヒューズ、僕、この人に作って貰いたい！」
「･･････だが、明日の朝にはここを発つのだぞ、間に合わんだろう？」

イライアスがそういってハッと気がつく。
そうだ、今日しか居られないんだ。

シュンとしてしまった僕を見て、皆もシュンとした。

「あの･･･！　大丈夫です。俺、加工のスキルを持ってて、魔法ですぐに加工できます。ええと、今からだとたぶん、皆さんがお昼ご飯を食べ終わる頃には仕上がります。ご希望の宝石や材質、デザインを決めて貰えればすぐに取りかかります」
「え、え、本当？　･･････ヒューズ･･･」
「それならば良いだろう。ルカ、彼に希望を言って作って貰うと良い。その間、食事にしよう。･･･すまないがよろしく頼む」
「お任せ下さい」

そういってルカは宝石や材質、デザインを告げてヒューズ達と食事をとりに行ったのだった。