32 / 50
王都観光(side喫茶店店主)
しおりを挟む本日は光栄なことに、ノースライナ辺境伯家の方々の予約が入りました。
ノースライナ辺境伯と言えば、この国の辺境地で魔物の脅威から我々を護って下さっている、とてもお強い辺境騎士団の筆頭でございます。
現在は次男のヒューズ様が騎士団長をなさっておいでで、辺境伯を凌ぐ強さとか。
そんな方々が何やら王都にご用があったようで、その用事が済んだ為に本日は観光で来られるとか。
4名様の他に執事1名、護衛が5名とのこと。
午前10時頃の予約でございます。
お忍びと言うことで貸切では無いのですが、念の為人数制限をして店内のお客様を少なめにしました。
粗相のないように準備を整えてお待ちしておりましたら、一組のお客様が口論を始めました。
不味いです。
もうじき予約された方々がいらっしゃるというのに、何故、今ココで!
「お客様! 他の方のご迷惑になりますのでおやめ下さい!」
そういって止めに入ろうとした矢先・・・。
話し声とドアベルが鳴る音、そこに被せるようにケーキの乗った皿を掴んで叫びながら投げつける女性客。
方向音痴に投げられたケーキは、今まさに足を踏み入れた小柄な黒髪の子供の顔面にヒット!!
---さあーっと血の気が引きました。
その子の傍らには噂に聞く辺境騎士団の団長であるヒューズ様、その脇には同じような色彩の、恐らくは副団長のダグラス様。
その後ろには現辺境伯のイライアス様、執事と護衛騎士の方々が・・・。
そうそうたるメンバーが護っていらっしゃるこのお子様は・・・。
クリームを拭って現れた美しい顔に黒い瞳・・・・・・。
稀人様・・・・・・?!
最近、噂で聞いた事が事実だったとは。
辺境伯家で保護していらっしゃると。
そんな高貴な方になんと言うことを!!
結局、着替えのために予約をキャンセルなさって、出て行かれました・・・。
この不始末、どう責任を取って貰いましょうかね・・・!!
それにしても、服飾店と言うことは、幼馴染みの彼の店でしょうね。
お詫びにケーキを差し入れましょう。
決してご機嫌取りじゃ有りませんよ。
稀人様、可愛かったですね。
しばらくして、幼馴染みが来て、どうやら取りなしてくれたようです。
「稀人様はお優しい方です。店側に非はないとおっしゃって下さって。それは美味しそうにケーキを召し上がっておりましたよ。それにヒューズ様のお色のリボンも購入されて、嬉しそうになさってました」
「そうか、ありがとう。夕方はたくさんのケーキをお届けしよう」
本当に助かった。
彼らの手にかかれば物理的に店が消し飛んでいましたからね。
さてさて、あのカップルはどんな制裁を受けるのでしょうかね。
楽しみですよ・・・・・・。
せっかくの機会を滅茶苦茶にされた恨みを思い知りなさい。
303
お気に入りに追加
1,279
あなたにおすすめの小説

スキルも魔力もないけど異世界転移しました
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!!
入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。
死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。
そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。
「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」
「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」
チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。
「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。
6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。

物語なんかじゃない
mahiro
BL
あの日、俺は知った。
俺は彼等に良いように使われ、用が済んだら捨てられる存在であると。
それから数百年後。
俺は転生し、ひとり旅に出ていた。
あてもなくただ、村を点々とする毎日であったのだが、とある人物に遭遇しその日々が変わることとなり………?
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

恐怖症な王子は異世界から来た時雨に癒やされる
琴葉悠
BL
十六夜時雨は諸事情から橋の上から転落し、川に落ちた。
落ちた川から上がると見知らぬ場所にいて、そこで異世界に来た事を知らされる。
異世界人は良き知らせをもたらす事から王族が庇護する役割を担っており、時雨は庇護されることに。
そこで、検査すると、時雨はDomというダイナミクスの性の一つを持っていて──

私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!

あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる