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国王陛下と王太子 4

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玉座にはこの国の王が座り、脇に王太子殿下と先程の側近の一人が。
背後には近衛騎士団長と近衛騎士数人が警備にあたっている。

謁見の間の両脇には多くの貴族が立っていた。
話を聞きつけて急遽集まったのであろう。

その貴族達がザワザワとしている。

陛下の御前に着いてもざわめきが収まらないが、イライアス達は平然と陛下に謁見の挨拶を始める。

「この度は陛下のご尊顔を拝謁する栄誉を賜り、至極光栄にございます。こちらはわが次男と稀人様、それに甥でございます」

そういって胸に手をあてて礼をするイライアスに倣って他の三人も礼をする。

「遠路はるばるご苦労であった。急な召喚によくぞ応えてくれたな。して、その、ヴェールを被っておるのが?」
「は、稀人のミドウ・ルカでございます。ルカ、ヴェールをとってご挨拶を」
「はい、義父様」

そういってヴェールを外して出て来たルカの顔に皆、釘付けになった。

艶やかな黒髪に濡れた黒曜石のような大きい黒い瞳は髪と同じく黒い睫毛で縁取られている。

真珠の肌はきめ細かく、染み一つない。
薄紅色の小さい唇。

そして10歳程かと思われる小柄な体。

---美少女かと見まごう容姿に皆、唖然とした。
その服装が男性の物だったので、辛うじて男と判別できたくらい、美しい稀人だった。

「---これは、何とも・・・ルカ殿と言ったか、先程、ノースライナの姓を名乗っておったが、保護者と言うことで卿の養子になったのか?」
「---発言をお許し下さいますか?」
「よい、許す。其方達、詳しく話して聞かせよ」

陛下が前のめりになって返答するのに内心苦笑してイライアスが話す。

「では。ルカですが、養子ではございません。ルカはヒューズのです。ですから、私の義息子になります」

謁見の間が一瞬にして静まり返った。

「---伴侶?」

陛下が信じられないような目で見て、ぽつんと言った。

「はい。神殿にて婚姻式も行って受理されております」
「---嘘だろう? だって、どう見ても10歳かそこらの子供じゃないか!」

先程からポカンとしていた王太子が我に返ったようで、大声で叫んだ。
陛下も唖然としていて叱責する様子は見られない。

周りの貴族達も口々に嘘つきだの誤魔化すなだのと騒ぎ立てる。

「---恐れながら、私は18歳でございます。ヒューズと出会ったときは17歳でしたが、先月18歳になりました。きちんとアルカエラ神に認められております」

ルカがキリッとした大人顔負けの凛々しい姿で反論した。

「私とヒューズはお互い愛し合って婚姻を致しました。そして認められました。それを否定なさることはたとえ王族といえども許されません」

毅然とした態度で言い切った。

「---うう煩い! そんなこと本当か分からないだろう! 大人だと言うならお前は私にこそ相応しい! 辺境伯のスペアなんかより王太子のこの私の方がよっぽど・・・!!」
「---やめんか! 馬鹿者! アルカエラ神の認めた婚姻を否定するなど愚かな・・・!!」

〈---本当だよね。私の愛し子を傷付けるつもりなら容赦しないからね〉

不意に聞こえた声に謁見の間は静まり返った。


『---あちゃー・・・。やっぱり来ちゃったよ』

そう心の中で思う二人・・・イライアスとダグラスだった・・・。





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