Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ

文字の大きさ
上 下
14 / 50

指環の加護 1

しおりを挟む
今となっては唯一の母の形見。

大切なそれを、神様が加護をつけて僕達の唯一にしてくれた。

---嬉しい。

指環はどうやら、僕とヒューズ以外には外せないようで、試しにとヒューズの指環をダグラスさんが触ろうとしただけでパチッと弾かれていた。

痛くなかったか聞いたら、静電気みたいだったと言っていたけど、もっと痛そうだったよ。

なんとなくだけど、僕達に危険が起きないように護ってくれている気がする。
悪意はもちろん、物理的に危害が加えられそうになったときも盾のようなモノで弾かれたり。

そういえば、僕は稀人だけど、ヒューズ達みたいに魔法は使えなかった。
魔力はあるらしいんだけど、体から放出出来ないんだって。
今までの稀人もほとんどがそうらしい。
うん。だってそもそも魔法がない世界だったものね。

ただ、地球でも神話の頃に魔法が使えたり、精霊的なものと交信する人がいたようで、ごく稀に使える稀人もいたらしい。

僕が少し残念に思っているとヒューズが慰めてくれた。

「魔法だって結構制限があって、バンバン使えるわけじゃないんだよ。だから気にするな」
「でも体に溜まってるのに、出せないなんて辛いしもったいない・・・」
「---言い方が・・・卑猥・・・・・・」
「そういうお前の頭が卑猥だ!」

スパンッという音がしてヒューズの頭がつんのめった。
大丈夫?
そしてダグラスさん、いつもご苦労様です。

「指環の事だけど、神殿でアルカエラ神に聞いてみたらいいんじゃない? 愛し子のルカになら応えてくれると思うんだけど」
「! そうだね。そうしよう! ヒューズの都合の良いときにでも行こうね?」
「っかわい・・・ゴホン。ああ、そうだな。予定を調整して神殿に先触れを出しておこう。セバス、頼むよ」
「畏まりました」


出来るセバスがささっと準備を整えてくれて、早速明日の朝イチで神殿に行くことになった。

夜はいつものように、い、営みをして・・・幸せな朝を迎えて。
・・・・・・あれ?
そういえば、何か違和感が・・・?

「どうした、ルカ?」
「ん? うん。・・・何でもない、大丈夫」

少しの違和感はヒューズに返事をしているうちに忘れてしまった。



ヒューズとダグラスさんとセバスも一緒に再びの神殿。

やっぱりというか、今回も神官長のスワロス殿が対応してくれた。

「ようこそ。先日振りですかな?」
「立て続けにすみません、神官長。お世話になります」
「何、他ならぬ愛し子様の頼みですから」

・・・・・・愛し子の頼みって、一体どんな言い方したの、セバス。
思わず心の中で呟いてしまったが、顔には出なかったはず。

和やかに挨拶を交わして神様の像の前へ行ってヒューズ達と祈りを捧げた。

『アルカエラ神様、先日はありがとう御座いました。あの、僕達の指環の事でお聞きしたい事があります。応えて頂けますでしょうか?』

ルカがそう祈った瞬間・・・。


〈はいはーい! もちろんだよ-!〉

あの時聞こえたアルカエラ神の声が神殿内に響き渡った。




しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺

るい
BL
 国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

その瞳の先

sherry
BL
「お前だから守ってきたけど、もういらないね」 転校生が来てからすべてが変わる 影日向で支えてきた親衛隊長の物語 初投稿です。 お手柔らかに(笑)

神子の余分

朝山みどり
BL
ずっと自分をいじめていた男と一緒に異世界に召喚されたオオヤナギは、なんとか逃げ出した。 おまけながらも、それなりのチートがあるようで、冒険者として暮らしていく。

スキルも魔力もないけど異世界転移しました

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
なんとかなれ!!!!!!!!! 入社四日目の新卒である菅原悠斗は通勤途中、車に轢かれそうになる。 死を覚悟したその次の瞬間、目の前には草原が広がっていた。これが俗に言う異世界転移なのだ——そう悟った悠斗は絶望を感じながらも、これから待ち受けるチートやハーレムを期待に掲げ、近くの村へと辿り着く。 そこで知らされたのは、彼には魔力はおろかスキルも全く無い──物語の主人公には程遠い存在ということだった。 「異世界転生……いや、転移って言うんですっけ。よくあるチーレムってやつにはならなかったけど、良い友だちが沢山できたからほんっと恵まれてるんですよ、俺!」 「友人のわりに全員お前に向けてる目おかしくないか?」 チートは無いけどなんやかんや人柄とかで、知り合った異世界人からいい感じに重めの友情とか愛を向けられる主人公の話が書けたらと思っています。冒険よりは、心を繋いでいく話が書きたいです。 「何って……友だちになりたいだけだが?」な受けが好きです。 6/30 一度完結しました。続きが書け次第、番外編として更新していけたらと思います。

花屋の息子

きの
BL
ひょんなことから異世界転移してしまった、至って普通の男子高校生、橘伊織。 森の中を一人彷徨っていると運良く優しい夫婦に出会い、ひとまずその世界で過ごしていくことにするが___? 瞳を見て相手の感情がわかる能力を持つ、普段は冷静沈着無愛想だけど受けにだけ甘くて溺愛な攻め×至って普通の男子高校生な受け の、お話です。 不定期更新。大体一週間間隔のつもりです。 攻めが出てくるまでちょっとかかります。

王子様と魔法は取り扱いが難しい

南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。 特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。 ※濃縮版

どうやら手懐けてしまったようだ...さて、どうしよう。

彩ノ華
BL
ある日BLゲームの中に転生した俺は義弟と主人公(ヒロイン)をくっつけようと決意する。 だが、義弟からも主人公からも…ましてや攻略対象者たちからも気に入れられる始末…。 どうやら手懐けてしまったようだ…さて、どうしよう。

龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。 その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。 王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。

処理中です...