Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ

文字の大きさ
上 下
6 / 50

団長さん達は偉い人だった 2

しおりを挟む
執務室を辞した二人は、各々シャワーを浴びて着替え、再びヒューズの部屋へ戻っていた。

「まだ目覚めないのか?」
「治癒魔法も使ったから疲れて居るんだろう」
「ああそうだ、彼の着替えが無いんだった。俺の小さい頃の服があったかな。エマ、セバスに言って探してきてくれ」
「畏まりました」
「確かに、サイズが合わないね。後で仕立てないと」
「その辺も起きてからだな」

それから暫くして、ベッドからごそごそと動く音が聞こえた。
天蓋を下ろして居たので、おそらくルカは戸惑っているだろう。
そっと捲って声をかける。

「・・・目が覚めたか、ルカ」
「っヒューズさん、あ、の、寝てしまったようで、すみませんでした」
「気にするな。疲れたろう。傷に障るから体を拭くだけにして、着替えようか」
「はい。ありがとうございます」
「セバス、お湯と着替えを」
「はい、坊ちゃま」

おお、ザ・執事って感じの初老の男性。
・・・ん?

「坊ちゃま?」
「ああ、ヒューズはここ辺境伯の次男で、俺はヒューズの従兄弟なんだ。セバスには小さい頃から世話になっているから、未だに『坊ちゃま』呼びなんだよ」

ルカの呟きにダグラスが応える。
ヒューズは照れながら言った。

「いい歳して恥ずかしいから辞めろと言ってもきかなくて」
「そう言えばお二人はお幾つなんですか?」

西洋人ぽい顔立ちは日本人には年齢が分かりづらい。

「俺は25だ。ダグラスは24」
「はあ、しっかりしてるのでもっと上かと思ってました」
「俺達は君の年齢に驚きだがな」

ソレに苦笑して、持ってきて貰ったお湯で体を拭こうとだぼっとした服に手をかけた。

「セバスっ、拭いてやってくれ」

ヒューズが焦って後ろを向いた。ダグラスも。
それを見て察したセバスは天蓋の薄いカーテンを下ろして視界を遮る。
そしてテキパキと服を脱がし、ルカの体を素早く、丁寧に拭きあげ着替えを済ませた。

その間もセバスの邪魔にならないように体を動かしたり逆にジッとしていたり・・・。

『この方は世話をされることに慣れていらっしゃる。かなりの高位貴族の方のようですな。物腰も上品です』

なるほど、坊ちゃまの一目惚れですな。

一人で納得して、嬉しそうな笑みを浮かべる。

「ええと、セバスさん」
「どうぞセバスと呼び捨て下さい。敬語も無しで結構でございます」
「・・・分かった。じゃあセバス。支度をしてくれてありがとう。助かった。この服はわざわざ?」
「いえ、ヒューズ坊ちゃまのお小さい時のでございますので、後で仕立てさせましょう。ね? 坊ちゃま」

セバスがカーテンをあげてヒューズに声をかけると、ヒューズが振り向いてルカを見下ろし、頷く。

「暫くはそれで我慢してくれ」
「僕は一向に構いませんが、お気遣いありがとうございます」

そういってにっこり笑った。

「う゛っ」

ヒューズがルカの攻撃力抜群の笑顔をうっかり真正面からくらってしまい、半ば再起不能になった。

『面白い・・・』

ダグラスとセバスとメイドのエマは心の中で笑っていた。

ルカはキョトンとしていた。
ヒューズさんは時々胸を押さえているけど・・・。

『ヒューズさんって持病持ち?』

ヘンな勘違いをしていた。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺

るい
BL
 国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

その瞳の先

sherry
BL
「お前だから守ってきたけど、もういらないね」 転校生が来てからすべてが変わる 影日向で支えてきた親衛隊長の物語 初投稿です。 お手柔らかに(笑)

龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。 その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。 王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。

花屋の息子

きの
BL
ひょんなことから異世界転移してしまった、至って普通の男子高校生、橘伊織。 森の中を一人彷徨っていると運良く優しい夫婦に出会い、ひとまずその世界で過ごしていくことにするが___? 瞳を見て相手の感情がわかる能力を持つ、普段は冷静沈着無愛想だけど受けにだけ甘くて溺愛な攻め×至って普通の男子高校生な受け の、お話です。 不定期更新。大体一週間間隔のつもりです。 攻めが出てくるまでちょっとかかります。

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!

ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。

王子様と魔法は取り扱いが難しい

南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。 特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。 ※濃縮版

どうやら手懐けてしまったようだ...さて、どうしよう。

彩ノ華
BL
ある日BLゲームの中に転生した俺は義弟と主人公(ヒロイン)をくっつけようと決意する。 だが、義弟からも主人公からも…ましてや攻略対象者たちからも気に入れられる始末…。 どうやら手懐けてしまったようだ…さて、どうしよう。

処理中です...