【完結】猫になれ!

エウラ

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猫って・・・ネコ?!

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「お前、明日、ネコになれ」

仕事終わり間際、唐突に言われたが、何のこっちゃ?

「ねこ?」
「そう。じゃあ、明日俺の家に来いよ。待ってるから」
「・・・はあ」

そういって踵を返すと颯爽と去って行くアトリウムをポカンと見送り、固まる僕ことリナリア。

魔塔に勤め始めてはや5年。
今年、20歳を迎える。

魔導具研究馬鹿で他には何の趣味もない、いたって平々凡々な容姿に黒髪、唯一綺麗と言われる琥珀色の瞳はやや吊り目で猫っぽいと言われたこともあるが・・・。

「何で?」

思わず周りの人に問いかけるが。

「明日って2月22日だろ?」
「うん? そうなの?」
「ああネコの日なんだ」
「ふーん? あっ、にゃんにゃんにゃん!!」
「そーゆーこと。じゃあ頑張れよ!」
「いやだから何が?!」

同僚が笑いながら去って行く。
いやだから、何がどうなのよ?
誰か教えろ!

自慢じゃ無いが、魔導具研究以外はポンコツだからね、僕。

結局無い脳みそで考えついたこと。

「コレのことかなあ?」

取りあえず明日はコレを付けていけば良いか。
なんて呑気に考えながら部屋に戻った。
ちなみに僕は魔塔にある宿舎に住んでいて、アトリウムはどっかのエラい御貴族様だから近くにお家があるんだって聞いたな。


アトリウムは魔導師として凄い腕前らしくて、魔物の討伐とかガンガンやってるらしい。
凄いよね、僕は攻撃系はからっきし。
アトリウムは透き通るような長い銀髪に、アイスブルーの瞳がクールなカッコいい顔で。

来る者拒まず去る者追わずって聞いたな。
僕は馬鹿だから意味は分からないけど?


でもそっか、明日はそこのお家に行けば良いんだな?

よし、準備万端。
お休みなさい!



そして翌日、朝ご飯を軽く食べたら出発。
いやだって、時間言われなかったし?
早めに行っておけば遅いって怒られないかなあなんて・・・・・・。

「---さすがに早すぎだろ、お前」
「・・・・・・ごめんなさい」

さすがに朝の7時は早かったか。
そもそも今日はお互い休日だし。
寝起きで急いで来たらしいアトリウムは、おざなりに羽織ったシャツから鎖骨が見えて、気怠げで妙にドキッとした。

「取りあえず応接室でお茶飲んで待ってて」

そう言いながら、目線は僕の頭の上。
思わずピコピコしちゃう。

アトリウムがビクっとした。
更に凝視する。

「・・・・・・えへ?」

苦笑いで誤魔化すと、やっと視線が外れた。
でもすっごく渋い顔。
眉が皺寄っちゃってるよー。

「まあ良い。ほら、行け」
「あ、うん、あ、はい」
「こちらへどうぞ、リナリア様」
「あ、はい。あの、様は要らないですよ」

平民だし。

「いえいえ、当家のお客様ですからそうはいきません。お気になさらず」

出来た執事さんはそういって案内してくれた。

「どうぞごゆっくり」

そういってお茶とお茶請けを出してくれたので遠慮なく頂きます。

朝ご飯?
食べてきたけど何か?
こういうのは別腹。

黙々とお茶とお茶菓子を消費していると、視線を感じる。
今ココには執事さんしかいない。
となると、やっぱりこれか?

思わずピコピコ。
僕の頭の上には動く猫耳。
ついでに尻尾も付いてて動きます。
誰もツッコまないから放置してたけど、さすがに気まずい。

「にゃーん?」
「・・・・・・何やってる、バカリナリア」
「・・・酷い。アトリウム、僕の名前はタダのリナリア! せめて離して言ってよ」
「バカは認めるんだ?」
「うー、実際馬鹿だもん。別に良いよう・・・」

僕の機嫌と同じくぺしょんとする耳と尻尾にガン見するアトリウム・・・と執事さん。

「・・・あのな、ソレ・・・」
「・・・・・・ぅん? アトリウムが昨日、ネコになれって言ったじゃない? 他の皆に聞いたら今日はにゃんにゃんにゃんのネコの日だって言うから、アトリウムはこういうことを言ったのかなあ・・・と・・・・・・」
「---はあ・・・・・・常日頃、馬鹿だ馬鹿だと思ってはいたが、真性の馬鹿だった・・・・・・」

何故かアトリウムが頭を押さえて俯いてしまった。
あれ?
なんか間違えた?

「・・・・・・アトリウム?」

下からそっと覗くとパシッと耳を掴まれた。

「みぎゃっ!! いたいいたい!!」
「---え、痛覚があんのか? どういう仕組みなんだ」
「ははは離して、痛い! 触るならそっと・・・ああ今はダメダメ!」

僕、耳は弱点なんだった!

「お前の作る魔導具って面白いもん多いよなあ・・・。まあいいや、続きは俺の部屋で。セス、呼ぶまで来なくて良いから」
「畏まりました・・・ですが、手加減なさってくださいね」
「うーん、状況による、かな?」

え?え?
なんか不穏な会話が聞こえたんだけど?!
何、僕もしかして今からごーもん?!
アトリウムとはタダの同僚じゃん!
なんでなんで?!

パニクってる僕をヒョイと俵担ぎして悠々と歩いて行くアトリウムに抵抗も出来ずに部屋に連れ込まれ・・・。

ベッドにぽすんと。

---あれ?
コレってもしかしなくてもアレですか?!

「ちょうど物理的に受けネコになってくれたからね。どうやら猫耳尻尾は感度が良さそうだし」

楽しみだ・・・。

---って舌舐めずりされたらいくら僕でも分かるよ!



ネコって、そういうこと---?!






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