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17 旦那様のお仕事拝見! 1
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ポカンとした間抜け面を瞬時に戻したルーカスは、普段俺に見せる穏やかな表情とはうって変わって険しい顔で言った。
「危険だ」
「承知の上だよ。魔物を見たことはないけど、現役のルーカスが言うんだから誇張じゃないんだろうし」
「じゃあ、なぜわざわざ───」
「俺がルーカスと離れたくないの」
「…………は?」
再びポカンと間抜け面したルーカスに思わず吹き出す。
「は? え?」
「ふっ……あのねぇ、ルーカスが離れたくないのと一緒で、俺も離れたくないの。一人でここに置いてかれるのはイヤなんだよ」
「……俺と、同じ?」
「当たり前だろ。すっかりルーカスがいないと生きていけない身体にしておいて放置か?」
「い……え? イヤ、だが」
ちょっと言い方が何かイヤラシイようなアレだが、純粋にもう一人で過ごす時間に耐えられそうもないんだよね。
ルーカスに出会う前は一人でのんびり、他人に煩わされずに過ごせるって喜んでたのに、今はもう、たった半月ほどなのにルーカスと過ごす生活に慣れてしまった。
コレで一人で夜、眠れって?
ムリに決まってるじゃん。人肌の温もりを知って冷たい寝具に一人で寝ろって?
「責任取れよな?」
俺が真面目な顔でそう言うと、ルーカスも心当たりが多すぎたようで少し視線を揺らしたが、意を決したようだ。
「責任とか、夫夫で関係ないと思うが……そうだな。一人で眠れない身体にしたのは俺だな。分かった」
「俺が言うのもアレだが言い方がちょっと卑猥」
「いやだって、疼くんだろう? 俺に躾けられた身体が、俺を求めて」
そう言って壮絶な色気を醸すルーカスに俺の方が白旗をあげた。
「わわわ、悪かったって! だからそう言いながら迫ってくるんじゃない!」
俺は慌ててソファから逃げ出した。
「冗談だ。……じゃあ一緒に行く前提でちょっと神殿側と話を詰めるからゆっくりしていてくれ」
「うん。よろしく」
パッといつもの顔に戻ったのを見てホッとする。
それにしても、エルフの里の次はルーカスの職場見学か。
うわあ、異世界の魔物とか、ルーカス以外の聖騎士とか色々初体験だな。
不謹慎だがちょっとドキドキワクワク。
そんな感じで、俺は何となく遠足気分でいた。
聞いた話と実際に見るモノは大抵違うというのに、このときの俺は本当にのんきだったと思う。
ルーカスが神殿側と話をして、俺も連れて明日の朝一番で一度、ルーカスの所属している神殿の方に転移することになった。
そこから討伐要請のあった場所に再び転移で向かうそうだ。
「魔力、大丈夫?」
「全然平気だ。むしろヨウガからも貰ってるから有り余っている」
そう言ってにっこり笑うルーカスに俺は疑問符を浮かべた。
「……俺からも、貰ってる?」
って、どういうこと?
俺、そんなことやってる自覚全然ないけど?
そんなことを思っていたのが分かったんだろう。ルーカスがニヤリと笑って言った。
「閨で絶頂するたびに俺の中に魔力を注いでるよ。無意識なんだろうけど」
「…………は? はああ───っ!?」
何それめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!?
ぜっ絶頂するたび!? ていうか絶頂って、アレだろ、イカされたときってことだろ!?
そのたびにルーカスに魔力あげてんの!? それでもってイってるのバレバレってこと!?
「そそそれって、エッチで皆そうなるってことなの!?」
俺が焦ってそう聞くと、右手を顎に当てて考えるルーカス。
「うーん、どうだろう? 魔力枯渇の応急処置としてタチが魔力を多く含む精を注ぐということはあるが、ネコが反対に渡すのは聞いたことがないな」
さすがにルーカスも聞いたことがないようだ。俺より長く生きてる彼が言うならそうなんだろう。
───それにしても。
「えええ……じゃあ俺だけ? もしかして神様のチート特典かも?」
他に思いつかない。
俺が神の愛し子で相手が魂の伴侶のルーカスだからなのかも。
「そうかもな。とにかくヨウガは魔力が豊富だから俺に譲渡しても全然心配ないだろう。そういう訳で気にするな」
「それならまあいいや。悪いことじゃないもんな。ルーカスの役に立つならいくらでもあげるよ」
何気なくそう言ったら、再びルーカスが色気マシマシで迫ってきた。
「へえ。それは俺にいくらでもイカせて貰っていいってことだな」
「へっ!? いいいいや、そういう意味じゃなくって!」
言葉の意味に気付き焦る俺に追い打ちをかけるルーカス。
ずいっと近づいたルーカスに俺はソファの隅に追いやられて縮こまる。
「せっかくだから明日のためにもっと魔力を貰おうかな」
「ぇ、魔力足りるって、さっき……」
「いくらでも貰えれば助かるな」
「えええ!?」
───こうして言質を取ったと言わんばかりにルーカスに美味しくいただかれた俺は、翌朝ぐったりしたままルーカスの言う神殿に転移することになる。
俺の自業自得とはいえ、ルーカスって本当に絶倫体力お化けのエルフだな!
*もう一話か二話くらい書けそうなので、書けたら更新します。そのあとはちょっと分かりません。一月いっぱいはムリそうです。
「危険だ」
「承知の上だよ。魔物を見たことはないけど、現役のルーカスが言うんだから誇張じゃないんだろうし」
「じゃあ、なぜわざわざ───」
「俺がルーカスと離れたくないの」
「…………は?」
再びポカンと間抜け面したルーカスに思わず吹き出す。
「は? え?」
「ふっ……あのねぇ、ルーカスが離れたくないのと一緒で、俺も離れたくないの。一人でここに置いてかれるのはイヤなんだよ」
「……俺と、同じ?」
「当たり前だろ。すっかりルーカスがいないと生きていけない身体にしておいて放置か?」
「い……え? イヤ、だが」
ちょっと言い方が何かイヤラシイようなアレだが、純粋にもう一人で過ごす時間に耐えられそうもないんだよね。
ルーカスに出会う前は一人でのんびり、他人に煩わされずに過ごせるって喜んでたのに、今はもう、たった半月ほどなのにルーカスと過ごす生活に慣れてしまった。
コレで一人で夜、眠れって?
ムリに決まってるじゃん。人肌の温もりを知って冷たい寝具に一人で寝ろって?
「責任取れよな?」
俺が真面目な顔でそう言うと、ルーカスも心当たりが多すぎたようで少し視線を揺らしたが、意を決したようだ。
「責任とか、夫夫で関係ないと思うが……そうだな。一人で眠れない身体にしたのは俺だな。分かった」
「俺が言うのもアレだが言い方がちょっと卑猥」
「いやだって、疼くんだろう? 俺に躾けられた身体が、俺を求めて」
そう言って壮絶な色気を醸すルーカスに俺の方が白旗をあげた。
「わわわ、悪かったって! だからそう言いながら迫ってくるんじゃない!」
俺は慌ててソファから逃げ出した。
「冗談だ。……じゃあ一緒に行く前提でちょっと神殿側と話を詰めるからゆっくりしていてくれ」
「うん。よろしく」
パッといつもの顔に戻ったのを見てホッとする。
それにしても、エルフの里の次はルーカスの職場見学か。
うわあ、異世界の魔物とか、ルーカス以外の聖騎士とか色々初体験だな。
不謹慎だがちょっとドキドキワクワク。
そんな感じで、俺は何となく遠足気分でいた。
聞いた話と実際に見るモノは大抵違うというのに、このときの俺は本当にのんきだったと思う。
ルーカスが神殿側と話をして、俺も連れて明日の朝一番で一度、ルーカスの所属している神殿の方に転移することになった。
そこから討伐要請のあった場所に再び転移で向かうそうだ。
「魔力、大丈夫?」
「全然平気だ。むしろヨウガからも貰ってるから有り余っている」
そう言ってにっこり笑うルーカスに俺は疑問符を浮かべた。
「……俺からも、貰ってる?」
って、どういうこと?
俺、そんなことやってる自覚全然ないけど?
そんなことを思っていたのが分かったんだろう。ルーカスがニヤリと笑って言った。
「閨で絶頂するたびに俺の中に魔力を注いでるよ。無意識なんだろうけど」
「…………は? はああ───っ!?」
何それめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!?
ぜっ絶頂するたび!? ていうか絶頂って、アレだろ、イカされたときってことだろ!?
そのたびにルーカスに魔力あげてんの!? それでもってイってるのバレバレってこと!?
「そそそれって、エッチで皆そうなるってことなの!?」
俺が焦ってそう聞くと、右手を顎に当てて考えるルーカス。
「うーん、どうだろう? 魔力枯渇の応急処置としてタチが魔力を多く含む精を注ぐということはあるが、ネコが反対に渡すのは聞いたことがないな」
さすがにルーカスも聞いたことがないようだ。俺より長く生きてる彼が言うならそうなんだろう。
───それにしても。
「えええ……じゃあ俺だけ? もしかして神様のチート特典かも?」
他に思いつかない。
俺が神の愛し子で相手が魂の伴侶のルーカスだからなのかも。
「そうかもな。とにかくヨウガは魔力が豊富だから俺に譲渡しても全然心配ないだろう。そういう訳で気にするな」
「それならまあいいや。悪いことじゃないもんな。ルーカスの役に立つならいくらでもあげるよ」
何気なくそう言ったら、再びルーカスが色気マシマシで迫ってきた。
「へえ。それは俺にいくらでもイカせて貰っていいってことだな」
「へっ!? いいいいや、そういう意味じゃなくって!」
言葉の意味に気付き焦る俺に追い打ちをかけるルーカス。
ずいっと近づいたルーカスに俺はソファの隅に追いやられて縮こまる。
「せっかくだから明日のためにもっと魔力を貰おうかな」
「ぇ、魔力足りるって、さっき……」
「いくらでも貰えれば助かるな」
「えええ!?」
───こうして言質を取ったと言わんばかりにルーカスに美味しくいただかれた俺は、翌朝ぐったりしたままルーカスの言う神殿に転移することになる。
俺の自業自得とはいえ、ルーカスって本当に絶倫体力お化けのエルフだな!
*もう一話か二話くらい書けそうなので、書けたら更新します。そのあとはちょっと分かりません。一月いっぱいはムリそうです。
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