荒れ地に咲く一輪の花

エウラ

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16 日常生活に戻──れない?

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寝ているうちにエルフの里に来てたり、酔っ払って抱き潰されたり寝起きに抱き潰されたり───と、エロいことしかしてない気がするが、ともかく顔は見せたからとにっこり笑うルーカスによって元いた島に戻ってきた俺達。

ルーカスのご両親はもとより、親戚や里の人総出で残念そうに見送られた。

『色々ありがとう。そのうちまた来るからね』
『毎日でもいいから来てね!』
『そんなに行くか!』

そんな会話で笑いながら帰ってきた訳だが。

「楽しかったけど、疲れたー」

何がって?
そりゃあもう、夫夫の営みがな……?

この世界、魔法で防音や結界とかで傍聴されないし防犯バッチリだろ?
だからエッチのときに『義実家だから』とか『お隣さんが』なんて気にしなくてすむからかルーカスの攻めが激しいのなんの。

俺が恥ずかしいとか言い訳しても『防音でいくら喘いでも大丈夫だよ』なんて、断り文句にもなりゃしない。

だから気絶するまでイカせられて次の日起きられないっていう日々が続くわけで。

「俺は人並みの体力なんで、もう少し労って下さーい!」
「スマン」

そう言いつつも悪いと思ってなさそうなルーカスの声にちょっとむくれてソファに沈む。

「まあ、またしばらくはのんびりまったりしようよ──ん?」

そう言ったときにルーカスの左手首に嵌まっていたバングルが淡く光った。
出会ったときから嵌めていたのは気付いていたが、ただのアクセサリーかと思って気にしていなかったんだけど、違うのか?

「……ルーカス、それって……?」

気になって聞いてみると予想外な言葉が返ってきた。

「あー、神殿からの通信だな。ほら俺、まだ一応聖騎士パラディンだろう? その関係で何かあればコレに通信が入るようになってるんだ」
「はあ、なるほど。ん? 一応って……いやいや、じゃあ早く通信出なよ! 急ぎの用事かもだろ?」

今まで何もなくて今光ってるってことは緊急事態なんじゃないの!?
そう思って言ったのになぜかムッと不機嫌そうなルーカス。

「だって、そうしたらヨウガと一緒にいる時間が」
「だーもー! そんときはそんとき! いいから早く出る!」
「ッチ」

オイコラ、ルーカスさんや。舌打ちすんな。

渋々通信を繋げたルーカスを横目にやれやれとお茶を淹れて一口飲む。
クッキーもパクリ。疲れたときやストレス溜まってるときは甘いモノがいいよな。

もっくもっくと口に詰め込む俺をチラリと見たルーカスが口に手を当てて吹き出すのを堪えてる。
……あ、ごめんなさい。めちゃくちゃ詰め込んでたからリスみたいになってるかも。

「───ええ、いえ。まあ、大丈夫ですが……はい。では後ほど」

慌ててお茶で流し込み、口を拭う。
ルーカスは話がついたのか、通信を終えたようだった。

「話、終わった?」
「ああ。ちょっと手強い魔物が出たらしくて、討伐に加勢して欲しいと」
「ええ、ヤバいじゃん! 早く行かないと!」

俺がびっくりしてそう言うと渋面になった。

「お前を置いて行くなど出来ない」
「じゃあ一緒に行こうぜ」
「───は?」

ルーカスに即答すると間抜け面でポカンとした。
いやあ、初めて見たな、そんな顔!

でもイケメンはそんな顔でもイケメンなんだなと変な感想を持った俺だった。








*だいぶ間が……お久しぶりですが、まだ当分不定期です。
気長にお待ちいただけたら嬉しいです。
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