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11 驚きの事実
しおりを挟むその後、ルーカスの結婚祝いの宴会だとかで、里の中心にある開けた場所にいくつものテーブルや椅子を持ち込んで、めいめいに料理やお酒を持ち寄ってあっと言う間にガーデンパーティー会場になった。
日も暮れて暗いはずなのに不思議と里の中は明るい。
「ああ、精霊がたくさん集まっているからな」
「・・・えっ、この光ってるの、全部精霊なの?」
「大抵はそうだな。後は光虫もいるけどな」
そう言って光を一つ指先に乗せて見せてくれた。
まん丸な体全体が光ってるように見える。
「え、虫? ・・・うわあ、ホントだ。蛍みたいなモンかな?」
「ホタル?」
「俺達の世界で、夏にね、川縁で良く見られた、お尻がピカピカ点滅する虫のこと。求愛行動なんだっけかな。幻想的で綺麗だよ。綺麗な水が無いと住めないんだって。そういう場所が減ってきて、数も激減してるとか聞いたな。俺も実際には見たこと無いんだけど」
「・・・へえ」
少しして広場へと向かうと、ルーカスの御家族が石の舞台みたいなところに揃っていて、手招きをされた。
「え、あそこに行くの?」
「・・・ああ、たぶん皆に紹介するんだろう」
「そんなに大事?! エルフって結婚すると皆そうなの?!」
「・・・・・・いや、ここまではしない」
「じゃあ何で?!」
恥ずかしくて中々行かなかったら、焦れた義父達にせっつかれたルーカスが溜息を吐いてヨウガをヒョイと横抱きにして抱えて向かった。
「ひえっ・・・ルーカス、急に何?」
「スマン。サッサと終わらせようと思って・・・」
「ええ?」
───一体何が・・・。
ヨウガがそう思ったとき、ルーカスのお父さんが話し出した。
「皆、集まってくれてありがとう。今日はうちの息子のルーカスに伴侶が出来て初めてのお披露目だ。聞いていたと思うが、アステナ神の愛し子様のヨウガ殿だ。ここでお披露目会を行うので、皆、大いに盛り上がってくれ!」
「おめでとう!!」
「おめでとうございます、ルーカスさん!」
「良かったですね、里長!!」
「里長!! ルーカスに漸く春が来て良かった!!」
皆、ワイワイガヤガヤとそれぞれお祝いの言葉を叫んでいるが、ちょっと待て。
「───里長?」
───って、誰ぞや?!
「・・・・・・うちの父親、ラクスだ」
「・・・・・・は?」
───な ん で す と───っ?!!
「聞いてない、聞いてないよ、ルーカスさ───ん?!」
思わず首元のシャツを掴んでグイグイ引っ張っちゃったよ!
ビクともしなかったけど!
「言ってなかったからな」
「確信犯か?!」
「違う違う。そんなこと、俺達には関係ないと思って・・・」
「───そりゃ、そうだけどさ・・・」
せめて里に来る前には教えておいて欲しかったかな?!
「───スマン。俺も説明を忘れてた。ヨウガと過ごす日々が楽しくて、つい・・・」
・・・シュンとそう言われたらもう、責められないじゃん。
「ぁー良いよ、もう、許す。それよりも宴会? 披露宴? 楽しんじゃおう! 何か珍しい食べ物とかある?」
「───ははっ、ありがとう。ヨウガらしいな。まずは乾杯しよう。それから料理を摘まもうか」
「やりぃ!」
そう言って渡されたのは、レモンみたいな果実を漬け込んだ果実酒だった。
香りも柑橘系で美味しそうだ。
「「乾杯!」」
二人で木をくりぬいたコップを打ち鳴らしてそう言うと、ヨウガはお酒に口をつけた。
「───美味っ」
「ソレは良かった」
「甘過ぎず、ほんのり苦みもあって口当たりもまろやか! え、ナニコレ。美味しすぎる! 幾らでも飲めちゃうよ」
何処ぞのグルメリポーターみたいな発言をするヨウガを微笑ましく思いながらルーカスが言った。
「ありがとう。そういって貰えると作った甲斐があったな」
「・・・・・・んん? 作った? 誰が?」
「俺が」
その発言を理解したヨウガが目を丸くして叫んだ。
「───ハア?! ルーカス、そんなことまでできんの?!」
「各家庭の味だぞ。エルフの家では何処でもやってる」
「いやいやルーカスさん、何時仕込んでたの? 貴方、聖騎士のお仕事であちこち行って忙しいんじゃないの?!」
こういうのって最低でも数ヶ月は寝かすよね?
疑問に思ってヨウガが聞くと・・・。
「ソレはほら、転移でどうとでもなる。それに年に一度は仕込んでるから、まだまだ寝かせてあるのも含めて大量にあるぞ」
「わーい、飲み放題! じゃねえよ! 酒好きドワーフかっ?! 美味いから良いけど!!」
「良いんだ?」
ルーカスが笑って聞くと、同じようにニカッと笑ってヨウガが言った。
「うんうん、良いの。ルーカスの手作り料理もお酒も最高だし! 俺、良い旦那様貰ったなあ・・・!!」
そう言いながら杯をグビッと飲み干す。
・・・そういえば原液で飲んでるな。
大丈夫か?
どうもあの自棄酒の時のような雰囲気が漂ってきているんだが・・・。
「・・・・・・ヨウガ、もしかしてもう酔ってる?」
「これくらいで酔わないよぉ。もう一杯ー!」
───いやいや、酔ってるだろう。
酔っ払いほど自分は酔ってないって言うんだよ。
ソコまで思ってから、まだ自分が酒に口をつけていない事に気付き、一口含む。
「・・・・・・これ、俺が巫山戯てドワーフの火酒に漬け込んだヤツだ。誰だ、こんなに強い酒出したの・・・・・・って、ウチの親だよなあ・・・」
あちゃあ・・・・・・という顔で額を押さえるルーカスをバシバシ叩くヨウガ。
「るーかすー! おかわりちょーらい!」
「・・・・・・完全に酔っ払いだ。俺のミスだ。割って飲んでもヤバいヤツなのに、ストレートでコップ一杯・・・ぐいっと・・・。俺、理性保つかな」
酔っ払ったヨウガは色香が凄くて、誘ってるのかと思わせるほど・・・。
以前の状況を思い出して、ルーカスは自分の杯を一気に煽って空にするとヨウガを抱き上げた。
「父さん達、俺達は部屋に引っ込むから、後はよろしく」
「あらあら、了解」
「おう! 励めよ!」
───励めよ、じゃねえよ。
確信犯な両親に生温かい目で見送られながら、自分の部屋に急ぐルーカスだった。
※お待たせいたしました。
次話はたぶんR18になると思います。お待ち下さいませ。
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