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5 初夜からの(sideルーカス)
しおりを挟む生殺しの日々を続けること三日目。
ベッドの隣で夢の中だった愛し子様が身じろいだ。
ハッとして見つめていると、ぼんやりと目蓋が上がり、そして数度瞬く、黒く長い睫毛。
その奥には蒼い瞳が見えた。
だんだんと光を取り戻す瞳を見つめていると、視線に気付いた愛し子様が私を見た。
その直後、これでもかと目を見開いて驚愕の顔になった。
「───っ誰?」
「ああ、驚かせてしまいましたね。おはよう御座います、愛し子様。私は聖騎士のエイダン・ルーカスと申します。どうぞルーカスとお呼び下さい」
驚きに後退って私から距離を置くと、あたふたと自身の身に着けている衣服の乱れを確認した愛し子様。
───ふむ、そういう危機感は一応あるんだ。
ちょっと安心したような残念なような・・・。
「───えっと? 何故、同じベッドで寝てるの? っていうか、何処から入ったの? え、何時からいるの?! どゆこと?!」
はっきりしてきた思考で現状を理解しだした途端に混乱する愛し子様が可愛い。
「三日前にこちらに来ました。その日のうちにこちらの家へ伺いまして。見れば鍵もかけずに寝室で無防備に眠っていらして・・・僭越ながら護衛に・・・」
「───はあ、はあっ?!」
「一度、階下でお茶を淹れてきますのでお待ち下さい」
「え? ハイ?」
取り乱したままの愛し子様を置いて一旦キッチンへと向かい、お茶を淹れる。
その間に落ち着けば良いなと思いながら。
その後、寝室でお茶を飲みながら現状把握をした愛し子様・・・ヨウガを、有無を言わせず押し倒し、そのまま初夜へと突入する。
───初夜と言いつつも今はまだ朝の時間帯だが。
色々と言い訳をしながら私との愛の行為を避けようとしているが、ソレも余計に煽るだけだし。
二晩もお預けを食らった私の身にもなって欲しい。
どんだけ我慢したと思ってるんだ?!
挙げ句に『何もかもが初めてだから好きにして』だって?
思わず表情が抜けた私の気持ち、分かるか?
堪えて堪えて、気持ち良い事だけを身体に覚え込ませて、漸く繋がったときの多幸感。
ヨウガも幸せそうに見つめてくれる。
───そう思ったら、半ば理性がトンだ。
辛うじて敬語を話して理性の細い糸をつなぎ止めて堪えたが、番いとの行為ってこんなに・・・良いなんて・・・!!
一戦目は早々に白旗をあげたが、次からは余裕が出来た。
「まだまだ、分からせるには足りないですよ」
顔を引き攣らせて怯えるヨウガを容赦なく貪り食って・・・。
翌朝、いや翌昼過ぎ?
腰の立たないヨウガを御世話する幸せ。
ぶつぶつ文句を言う声をスルーして、夜にまた抱き潰す。
ソレを数日間。
さすがのヨウガもキレた。
---仕方ない。
もう少し手加減するか。
「───ねえ、ルーカス。今更だけどさ、俺とココに住んでて大丈夫なの? その、家族とか仕事とか、さ・・・」
不意にヨウガが私にそう尋ねた。
思わずふっと笑った。
「本当に今更ですね。今の私の仕事は貴方の護衛で伴侶ですよ。神殿にも伝えて許可はおりてますし、家族は私が独り立ちしたときにとっくに別れの挨拶をしてあります。ああ、縁を切ったとかではなく、仕事柄、何時死んでもおかしくは無いので、そういう意味での挨拶です。でもたまに連絡を取り合いますよ。生存確認も兼ねてね」
「───へえ。じゃあ、今は安心安全だよね。この事、家族には・・・?」
「つい先日、定期連絡が来たので伝えました。・・・喜んでましたよ」
ソレはもう、諸手を挙げて喜び勇んでいたと、浮かれた連絡がすぐに返ってきて苦笑したのは記憶に新しい。
「そう、良かった。俺、天涯孤独だったから、家族がいたら心配するだろうなって、今頃気付いてさ。ぁ、あと! 敬語やめない? 素で話そうよ・・・・・・旦那なんだし」
はにかんでぽそっと付け加えられた言葉に思わずにやけそうになる。
「───っそうだな。じゃあ遠慮なくそうさせて貰おう」
「っ・・・・・・うわ、なんか急に男臭くなった」
そう言ったら、ヨウガの色白の肌が薄紅色に染まった。
「ダメか?」
「いいいいいや、かかカッコいいよ?!」
「・・・ふふ、可愛らしいな、ヨウガは」
何やら距離がグッと縮まったみたいで、嬉しいな。
───結局、その日も手加減は出来なかった事は言うまでもあるまい。
※ココで一旦終わります。
今の時点で書こうと思った所は書けたので。
これ以降は思い付いたら投稿しようと思うので、ひとまず完結にはしません。
3話で終わらなかったですね。
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