月の至高体験

エウラ

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本編

126 借り物競走終わり!

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結局、そのまま本当にテントまで来たスオウとサクヤ。

サクヤは、普段とは逆の立場になってスオウをお姫様抱っこ出来てめちゃくちゃウキウキだった。

皆が着替えろと言うので仕方なく下ろしたが、本当はずっと抱っこしていたいくらいだった。
まあスオウが許してくれそうもないが。

後は、この格好・・・。
さすがに動きづらいので、やっぱり早く着替えるに限る。

「じゃあ、着替えるね。誰か背中のファスナー・・・」
「ああ、あああっ?! ちょちょっと、どこで着替える気だ---っ!」
「え? ・・・・・・あ・・・、さすがに人前じゃあダメだよね?」
「そういう問題じゃない! 生徒会長、ちょっとサクヤ連れて保健室に行ってるから後は頼みます!」
「・・・・・・早く戻れよ?」
「「スミマセン」」

そういって今度はスオウがサクヤを抱っこして素早く駆けていった。

「なんて言うか・・・」
「見かけによらず、男前?」
「頓着しなさすぎ」

さすがサクヤだと大笑いの生徒会だった。


一方、急いで保健室に駆け込んだスオウは、保健医に断って、ベッドの一室を借りてカーテンを引いた。

「---はーっ、ほら・・・ここで着替えろ。俺が周り見とくから」
「うん、ごめんね、気付かなくて」

そうだよね、さっきも婚約者って言ったのにスオウ以外にほぼほぼ裸を見せちゃイケないよね・・・。

浮かれすぎてて、まるっと忘れてたよ。
反省・・・。

したところで・・・。

「スオウ、背中のファスナー、下ろしてくれない?」
「---えっ、あっ、ああ、うん、ちょっと待って・・・」

ワタワタしながらも、丁寧に静かにファスナーを下ろしてくれた。

心なしか震えていた気がするんだけど。

「・・・スオウ?」
「え、ああ、何でもない」

---脱がすのにドキドキした、なんて言えるか!

スオウはあらぬ妄想をしてしまって、サクヤにバレないように自分を律していたようだ。
頑張った甲斐あってサクヤには気付かれていない。

サクヤはその間にサッとチャイナドレスを脱ぐと半袖半ズボンを身に着けた。

「スオウ、着がえ終わったよ」
「---ヨシ、脱いだ服は持ち帰るぞ」
「・・・・・・どうするの?」
「当事者が持って帰って良いことになってる。・・・・・・じゃないと、高値をつけて売られたり変態があんなコトやこんなコトに使ったり」
「・・・・・・あんなコトや・・・こんなコト・・・?」

・・・ってどんなコト?

全く想像できない純粋なサクヤとは反対にブーメランで返ってきてしまったスオウは首をブンブンと振って妄想を消した。

あー、ヤベえ。
さっさと生徒会のテントに戻ろう!

「せ、先生! お邪魔しました。ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
「どう致しまして。体育祭、頑張って」
「「はい」」

そうして今度は早足で歩きながら二人並んで生徒会テントに戻ったのだった。

「お帰りなさい。大丈夫だった?」
「? 何がです?」
「・・・うん。まあ、大丈夫そうだね」

スオウが暴走しないか心配だったけど。

「---大丈夫・・・・・・だ」

スオウが口籠もったのでピンときた他の面々は途端にニヤニヤとしだして、アルフレッドとイルミナだけはやれやれと呆れて見ていたのだった。




※だいぶご無沙汰致しました。
間が開きすぎて読み返しながら書いてました。
次も空くかもしれませんが、頑張って書きますのでお待ち下さいませ。
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