月の至高体験

エウラ

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本編

119　借り物競走

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『さあ－－－！！　今日の体育祭一つ目の盛り上がりを見せる【借り物競走】が始まりますよ！　まずはルール説明です』

実況者が競技の説明をしてくれる。
大ざっぱにしか知らないから助かる。
しっかり聞いておこう。

『まず最初に封筒に入っているお題に沿って、試着室にて着替えコスプレをして頂きます。着替えを終えた人は、お立ち台にて服装に見合ったポーズをキメて下さい。この時の出来映えも得点になります！』

ふんふん、着替えね。
で、ポーズを･･････ポーズ？

『その後、次はいよいよ借り物です。次の封筒に入っているモノを探して一緒にゴールします！　これも順位は多少得点になりますが、どちらかというと借り物の難易度がカギになります。ただし、それはゴールしてからのお楽しみになります！』

うん？
モノによって難易度が違くて、それはゴールしてからじゃないと分からないと･･･。

･･･面白そう。

だから足の速さは関係ないんだ。
それに着替えをするから、同じような体型の生徒ばかりなんだな。

納得。

体型に合わせて着替えを用意するのは大変だもんね。

『なお、この競技に関してのみ、全学年一斉にスタートします！』

んん？
選手全員が同時にスタートするって事？
それじゃあ初見の一年は不利なんじゃ･･･ああ、だからこの競技は速さの競技じゃ無いんだな。

なるほど。

『何となく察していると思いますが！　この競技は勝ち負けよりも、より盛り上がった者が有利になります！　なので、選手も応援側も楽しんでいきましょう－－－！！』

おお－－－！！

何となくノリでやってしまったサクヤだったが、スオウ達はハラハラドキドキだった。

「･･････大丈夫かな？」
「･･･大丈夫･･･と、思う」
「天然だからなあ･･･やらかしそう」
「「「「･･････」」」」

有り得る。

「あーもー、落ち着かねえ！」

スオウがそわそわしている。

「スオウ、それもそうだけど、ほら」

ガオウが囁く。

「Ｃクラス、陽希だよ。そっちの方が心配」
「－－－ああ」

そう、この借り物競走はサクヤみたいに見目麗しく細いヤツが選ばれる。
さっき言ったように、盛り上がるからだ。

陽希は性格はクズだが、見た目は良いからな。
この競技中、何か仕掛けてくるかもしれない。

「大公家ウチの影も付いてるし、サクヤも強いから心配ないとは思うが･･･」
「何を考えてるのか読めないからなあ」

さっきからずっとサクヤを睨んでるし。

「お題も借り物も事前に知ることは出来ないはずだから、そんなに凄い妨害は無いと思うが」

説明が終わって、選手が移動する。

サクヤがスオウに向かって手を挙げた。
スオウも振り返す。
サクヤがにこっと笑って歩いて行った。

「最近、表情豊かになったよねえ」
「うんうん。誰かさんのお陰だねえ」
「－－－うっせぇわ」
「おーおー、照れちゃってぇ！」
「ヤメロ」

そんな事をしているうちに所定の位置に着いたようだ。

－－－さあ、いよいよ借り物競走の開幕だ！

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