月の至高体験

エウラ

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本編

118 あっと言う間に体育祭

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忙しなく準備や打ち合わせで日々が過ぎていき、あっと言う間に体育祭当日になった。

今の所、陽希に怪しい動きは無いようだ。
せっかくの体育祭なので、アレばかり気にかけて疲れたくないので気にはするが今はお祭りを楽しもう。


「---晴天に恵まれた今日一日、悔いのないように精一杯躍動してくれ!! これをもって開会式とする!!」
「「「おおお---!!」」」

生徒会長の挨拶からの、地響きのような雄叫びに驚いて声が出なかった。

「大丈夫か、サクヤ?」
「---ああ、うん。凄い叫びで、驚いた」
「待ちに待った体育祭だからね。でも・・・まあ・・・・・・準備する側コッチはそれどころじゃ無いけどね」

スオウに背中をポンポンされて落ち着いたサクヤはガオウの言葉に、生徒会役員一同、うんうんと頷いた。

本当に大変だったのだ。
幾ら実行委員会が結成されようと、最終決定は生徒会にまわってくる。

書類を捌くだけでも相当な量だった。
加えて今年は警備体制を強化せざるを得ない為に、その分の書類も多かった。

さすがのサクヤもゲンナリした。

「これで平穏無事に済めば良いんだが、まあ、なるようにしかならん。適当に気を抜いて楽しもうぜ」

スオウの言葉に、そうだねと応えて、体育祭の開始を見守った。


最初は徒競走。
純粋なかけっこだ。
ただし、体力の有り余っている男達なので、一般的には100m走だが、ここでは400mになる。

それでも一瞬で駆け抜けるが。

前世では100m9秒台がめちゃくちゃ凄いって聞いた気がするが、今世は鍛え方が違うから速いと1秒台とかって。

いや、僕もあの後測定して1秒無かったけどさ。
今世は丈夫な体で幸せだ。

「うんうん頷いてどうしたんだ?」
「いや、今は健康な体で幸せだって思ってた」
「ああ、前はほぼ寝たきりだったんだっけ?」
「そう。スオウ達とこうして一緒にいられるのが奇跡だ。ここに生まれて良かったよ」

心からそう思う。

「・・・・・・そっか、良かったな」

『---次の競技の出場者は控えAのテントまでお越し下さい! 次は借り物競走です! 繰り返します---』

「あ、僕の出番だ。じゃあ行ってくるね!」
「おう。頑張れよ!」
「「「応援してるよ---!」」」

ガオウ達の声援を受けながら、体操着の上下を脱いで半袖半ズボンになったサクヤがテントに歩いて行った。

「うわー、肌、白っ」
「---見せたくねえ・・・」
「いや仕方ないじゃん」
「独占欲(笑)」
「煩い!」

などと騒いでいるとは露ほども思わないサクヤは、視線など全く気にせずに歩いて行った。


控えAのテントでは実行委員のエルネスト君とウィル君が仕切っていた。

「あ、サクヤ様、さっきぶり!」
「ご苦労様、エルネスト君とウィル君」
「サクヤ様、この借り物競走の内容は知ってる?」

ウィル君に聞かれて、うーんと考える。

「スオウが『お題に沿って着替えて、借り物を探して一緒にゴール』って言ってたかな?」
「・・・スオウ様、凄く大雑把。合ってる、合ってるけど!」
「いや、それはそれで面白いんじゃないかな? そのつもりなのかもよ」
「・・・・・・まあ、いいや。概ね合ってるから。頑張って!!」
「え? うん」

エルネスト君がヤケクソ気味だが、大丈夫?

テントの他の選手は皆して複雑な顔で苦笑していた。

「そう言えばここの人たちって皆細いよね? そういう競技なの?」
「---いえ、何となくこうなっただけで・・・まあ、この競技は足の速さはあまり影響ないと思うよ?」

他の選手がうんうん頷いていた。


---速さで競うんじゃないんだ?


疑問符をいっぱい浮かべたサクヤに皆が生温かい目を向けていた・・・。





※誤字 お代→お題に直しました。スミマセン。
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