月の至高体験

エウラ

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本編

116 一方その頃(sideリオネル&ライナス)

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「今年の体育祭は一波乱起きそうだな」

リオネルが執務室で影達に声をかける。

『今回は王立騎士団も警備に加わるとのことですが』
「そうだな。皇室の影も増員されたようだ。そちらとも連絡を取って共同戦線を張るようにしてくれ。陽希の動向にも気を配れよ」
『御意』

影の気配が消えた頃、深い溜息を吐いて椅子に凭れるリオネル。

思い出すのは先月の事・・・。

夏期休暇も終わりに近づいた頃、この体育祭の為に学園に戻ったサクヤ達を待ち構えたように執拗に生徒会室と風紀委員会室で待ち伏せをする陽希。

面倒事を避ける為にサクヤが転移魔法で部屋と寮を往復してくれたお陰でコレといったトラブルは無かったものの、結局はサクヤの負担を軽くするために許可を取って魔導具で転移できるようにした。

もちろん他言無用で。

「・・・・・・本当に何がしたいんだ、アレは・・・」

全く読めないんだよねえ。
生徒会や風紀委員会の役員にちょっかいかけて、サクヤの事は目の敵にする。

物語の主人公にでもなったつもりで行動しているのなら、その元になる物語の内容が分からないことには対策のとりようが無いが・・・。

「大変だろうが影を張り付かせて見張るしか無いかな」

もう一度深い溜息を吐いて、影にまた指示を出すのだった。





その頃、皇城でも同じような事が繰り広げられていた。

「体育祭の方はどんな感じだ?」
「今のところ、不審な動きは無さそうです。やはり前日や当日でしょうかねえ」

ライナスの言葉に応える側近のアーサー。
資料を捲りながら確認しているのは、皇室の影からの報告書だ。

皇陽希に張り付かせている影によると、夏期休暇後半に生徒会室と風紀委員会室を突撃していたが空振りに終わり、荒れていたらしい。

「・・・ああ、アレか。サクヤがまとめて転移していたが最終的に魔導具での使用許可を求めていたヤツ。アレのせいでほとんど接触出来てなかったんだよねえ」

そりゃあ確かに苛つくだろうが。

「・・・・・・本当に何をしたくて纏わり付くのか」

アレの考えている事は全く分からん。

はー・・・・・・、疲れる。



執務室の椅子にどっかり背を預けて溜息を吐いていると、影から最新情報が齎された。

一方その頃の大公家にも同じく影から一報が齎された。

その内容は・・・・・・。



「応援合戦のテーマが猫耳尻尾のメイドだって?」
『はい』
「代表が、サクヤ・・・・・・?」
『はい』
「・・・・・・壇上でお披露目するのか?!」
『・・・・・・はい』

---ソレは一目見たい!
でも一般人はおろか保護者さえ見学不可だから学園内では無理!!

ああ、記録媒体で記録して貰わないと・・・!!

影に警備と称して張り付かせてガッチリ残さないと---!!



同じ事を考えている兄弟だった。







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