113 / 130
本編
110 体育祭に向けて その弐
しおりを挟む次の日。
事前に学園長と寮長に許可を得て、昨日の打ち合わせ通りにSクラスの寮から生徒会室へと転移した。
するとそこには、ゲンナリした風紀委員長と副委員長、風紀委員で書記を担当する生徒がすでにいて、突然現れたサクヤ達を見て驚いて固まっていた。
真っ先に立ち直ったのは委員長であるイルミナだった。
先の出来事で転移魔法の説明をしておいたので直ぐに分かったのだろう。
「・・・お前ら、ズルくないか?」
「ズルッって酷いなあ。緊急措置だよ」
イルミナの言葉にガオウがブスッとして言った。
「ちゃんと学園長に許可は取ってある」
アルフレッドも追従する。
「昨日生徒会室の前でずっと張り込んでたんだよ、陽希。俺とサクヤが来たときにはもういてさ、見つかる前に速攻で転移した」
「僕達が来たときはいなかったから気付かなかったんだけど、ずーっといたみたいでさ。これからもそうだとしたら最悪だから、サクヤの提案で寮から直接転移して貰ったんだよ」
スオウとガオウが言ったことで納得したらしいイルミナ達。
でも何でそちらはお疲れなの?
「---はあ、理由は分かった。俺達も許可を取るから、一緒に転移してくれるか?」
「・・・・・・まさか風紀委員室も?」
「そのまさかです」
「酷い目に遭いました」
話を聞くに、今日は風紀委員室に突入したらしい。
打ち合わせでこちらに来る予定だったイルミナ達がちょうど出くわして、なんやかんやとまとわりついてきて、他の風紀委員に押さえて貰って生徒会室に逃げ込んだところだったそうだ。
・・・ご愁傷様です。
イルミナは早速、緊急措置を学園長に申し込んで受理された。
明日からは風紀委員もまとめて転移します。
了解です。
大丈夫です。
魔力枯渇なんて全く心配ありません。
何人でも、何処へでも、何度でも転移出来ます。
・・・と、どこかの通販のやっすい口上のような事を言ったら呆れられた。
解せぬ。
ちなみに転移魔法の事は風紀委員にも開示しました。
もちろん箝口令を敷いてますけどね。
「さて、体育祭の警備の事だが、通常は俺達風紀委員と学園直属の警備隊の持ち回りで済むんだが、野外授業及び前期試験の件を鑑みて、今回は国の騎士団も加わることになった」
「エステルさんとウルティマさんの所の?」
「あぁ、そうだな」
「野外授業でもお世話になった」
そっか、また騒動が起こる前提で動かないといけないのか。
陽希がどういう行動をとるのか全然分からないからなぁ・・・。
「アイツが前世持ちだろうって事も関係各所に通達してある。イレギュラーな動きも前世の記憶のせいだろう。気を付けるさ」
「・・・『俺』にもそこら辺の記憶があればなぁ」
「逆にないからこそのイレギュラーじゃないか? 変に凝り固まってなくて自然体で行動してるから、陽希も焦ってポカしてるんじゃないの?」
スオウが慰めるように言ってくれた。
そうだね。知らないからこそ、色々動けて、知ってるからこそ陽希はそれに固執して失敗してるって事か。
「そうだね。ありがとう、スオウ」
「どういたしまして」
とにかく、今回の体育祭でも一波乱ありそうだ。
応援ありがとうございます!
2
お気に入りに追加
1,035
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる