105 / 130
本編
102 面倒くさいヤツが・・・
しおりを挟む
皇城のお仕事改革がいたく好評だった翌日。
朝イチで陛下の執務の手伝いの後に午後イチは騎士団員との手合わせを経て、今は王家専用のサロンで皇妃様とのお茶会。
「サクヤちゃん、昨日はお仕事、本当に助かったわ。ありがとうね」
「お役に立ててよかったです」
「叔父上、涙を流して喜んでたよ。定時上がりも奇跡だって」
「側近の方も涙ぐんでましたね」
「そりゃあそうよ。あんな些細なコトで仕事の効率が桁違いに上がったのよ! 昨日の今日で私だってこうしてゆっくりお茶を飲む時間が取れるようになったのよ? もっと早くに知っていれば・・・」
優雅にお茶を飲みつつもちょっと興奮気味な母様を微笑ましく見ていると、隅で控えていた護衛の近衛騎士の一人が母様の側に来て何やら耳打ちした。
それを聞いた母様が露骨に顔を顰めたので、珍しいなと思っていると。
「・・・はあ、ごめんなさいね。せっかくのお茶会なのにちょっと野暮用が入ったわ。時間が空くのも考えものね。私は退席するけどサクヤちゃん達はお菓子を食べてゆっくりしてってね」
席を立つ母様に、僕は慌てて立ち上がった。
「母様、僕達はこの後、オクタヴィアの家に帰ります。こんな急な挨拶で申し訳ないですけど楽しかったです。ありがとうございました」
「---まぁ、そんなこと・・・。嬉しいわ。こちらこそありがとうよ! ゆっくり出来なくて悪いけど、また何時でもいらっしゃい。ここは貴方の家で貴方の家族がいるのだから」
「・・・はい、また来ますね!」
母様が退席したあとはスオウと30分ほどお茶をしてから侍女さん達に御礼を言ってその場を後にした。
それからレオン達にも声をかけて、荷物なんかは全部インベントリに入ってるので手ぶらで城を出た。
帰りは適当な場所で見えないようにインビジブルをかけてから転移をするつもりだから、のんびりと城下街を散策している。
スオウとある雑貨店に入ろうとしたとき、イルミナが前方から歩いてくるのが見えて、スオウが声をかける。
「イルミナじゃないか。珍しいな、こんなところで」
「・・・ああ、久しぶりだな、スオウにサクヤ」
心なしか少しお疲れ気味な感じのイルミナ。無意識なのだろうが、溜息を吐いている。
「・・・護衛が少ないようだが、どうしたんだ?」
「・・・・・・アレの対処に置いてきた」
「・・・・・・アレ・・・と言うと、陽希?」
「・・・・・・」
というか、居るんだ、ここに。
思わず3人ともスンとしてしまった。
え、皇公爵家に帰省してなかったの?
「学園でも接触してこようとしていてな。俺も帰省していたので遭遇する機会はないと思っていたんだが、先程所用で街に出たときにつけてきていてな、距離を取ったり護衛が引き離したりしてくれていたんだが・・・」
「だが?」
「ひったくりに偶然遭遇して犯人を取り押さえて街の衛兵に引き渡しているときに図々しく声をかけて来て、鬱陶しいから護衛に預けてきたんだ」
・・・それは、お疲れ様です。
思わずスオウと顔を見合わせて苦笑した。
朝イチで陛下の執務の手伝いの後に午後イチは騎士団員との手合わせを経て、今は王家専用のサロンで皇妃様とのお茶会。
「サクヤちゃん、昨日はお仕事、本当に助かったわ。ありがとうね」
「お役に立ててよかったです」
「叔父上、涙を流して喜んでたよ。定時上がりも奇跡だって」
「側近の方も涙ぐんでましたね」
「そりゃあそうよ。あんな些細なコトで仕事の効率が桁違いに上がったのよ! 昨日の今日で私だってこうしてゆっくりお茶を飲む時間が取れるようになったのよ? もっと早くに知っていれば・・・」
優雅にお茶を飲みつつもちょっと興奮気味な母様を微笑ましく見ていると、隅で控えていた護衛の近衛騎士の一人が母様の側に来て何やら耳打ちした。
それを聞いた母様が露骨に顔を顰めたので、珍しいなと思っていると。
「・・・はあ、ごめんなさいね。せっかくのお茶会なのにちょっと野暮用が入ったわ。時間が空くのも考えものね。私は退席するけどサクヤちゃん達はお菓子を食べてゆっくりしてってね」
席を立つ母様に、僕は慌てて立ち上がった。
「母様、僕達はこの後、オクタヴィアの家に帰ります。こんな急な挨拶で申し訳ないですけど楽しかったです。ありがとうございました」
「---まぁ、そんなこと・・・。嬉しいわ。こちらこそありがとうよ! ゆっくり出来なくて悪いけど、また何時でもいらっしゃい。ここは貴方の家で貴方の家族がいるのだから」
「・・・はい、また来ますね!」
母様が退席したあとはスオウと30分ほどお茶をしてから侍女さん達に御礼を言ってその場を後にした。
それからレオン達にも声をかけて、荷物なんかは全部インベントリに入ってるので手ぶらで城を出た。
帰りは適当な場所で見えないようにインビジブルをかけてから転移をするつもりだから、のんびりと城下街を散策している。
スオウとある雑貨店に入ろうとしたとき、イルミナが前方から歩いてくるのが見えて、スオウが声をかける。
「イルミナじゃないか。珍しいな、こんなところで」
「・・・ああ、久しぶりだな、スオウにサクヤ」
心なしか少しお疲れ気味な感じのイルミナ。無意識なのだろうが、溜息を吐いている。
「・・・護衛が少ないようだが、どうしたんだ?」
「・・・・・・アレの対処に置いてきた」
「・・・・・・アレ・・・と言うと、陽希?」
「・・・・・・」
というか、居るんだ、ここに。
思わず3人ともスンとしてしまった。
え、皇公爵家に帰省してなかったの?
「学園でも接触してこようとしていてな。俺も帰省していたので遭遇する機会はないと思っていたんだが、先程所用で街に出たときにつけてきていてな、距離を取ったり護衛が引き離したりしてくれていたんだが・・・」
「だが?」
「ひったくりに偶然遭遇して犯人を取り押さえて街の衛兵に引き渡しているときに図々しく声をかけて来て、鬱陶しいから護衛に預けてきたんだ」
・・・それは、お疲れ様です。
思わずスオウと顔を見合わせて苦笑した。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
1,033
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる