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番外編
リオウの学園見学 その弐
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食堂は高等科と変わらないが、メニューが若干子供向けで量も少なめなようだった。
もちろんガッツリメニューもあって、体格のいい子はやっぱりそっち系のメニューを選ぶようだ。
食堂までの道すがら、やはり生徒達にガッツリ見られたが、3人とも慣れたもものでしっかりスルーしていた。
テラス席を確保したリオウは、サクヤにメニューを聞いた。
メニューは各テーブルに設置されたタブレット型の魔導具で注文できる。もちろん普通にカウンターに並んで選ぶ事も出来るが、貴族がほとんどの学園ではタブレット注文がほとんどだ。
出来たらウエイターが運んできてくれる。
「高等科もそうだったね。ほとんど利用しないから忘れてた」
「確かに。いつも生徒会室でサクヤの弁当食べてるもんな」
「えええ、なにそれ羨ましい!」
「さすがにリオウには無理だから、向こうに帰省したら作ってあげるね」
「ありがとう、サクヤ兄様!」
さて、料理を注文して待っていると、誰かやって来た。サクヤ達は背になって見えないが、リオウがちょっと眉をひそめた。
「・・・イヤな気配を感じるんだけど」
「見なくても分かるな」
「リフレクターかけとくね」
「・・・すみません、兄様達。ちょっと不快な事になりそうです」
「全然問題ない」
「気にするな」
ヒソヒソ話しているうちにそいつらはサクヤ達の直ぐ後ろで立ち止まった。
リオウの表情が抜け落ちる。
「今日はいつもと違うヤツらと食事か? 八方美人でご苦労なことだな!」
「何だ、高等科の生徒にまで手を出してるのか。淫売め」
「ちょっと顔がいいからっていい気になって」
「レイモンド様がせっかくお声がけしたのに断るなんて、身の程知らずが!」
なんか言いたい放題だが、いくら学園では平等をうたっていてもさすがに初等科で一番身分の高い大公家の令息に言う言葉ではない。
チラッと見ると、どうやらこの初等科の最高学年の5年生らしい。
それにしてもリオウの事を良く分かってないのか、それとも最高学年で威張っているのか。
あまりにも聞き捨てならない言葉が出て、思わず後ろを振り返った。
「身の程知らずがなんですって?」
無表情で冷たい声。少しの威圧と殺気を乗せて目を眇めてやるとビクッとして後退った。
「お前のその顔でやられるとさすがに怖いわ」
「サクヤ兄様格好いい!」
「・・・な、何だ、お前達は・・・! お、俺はダスト侯爵家の嫡男だぞ! 俺に逆らえばお前らなんか学園を退学させられるんだぞ!」
思いっきり身分を持ち出してきたな。しかしダスト侯爵ねえ・・・きな臭い取り引きや脱税もにおわせてる最低な所だな。
それより何より・・・。
「サクヤはともかく、俺の顔を知らないのか」
「はあ?! 自意識過剰だな! 知るわけ無かろう、お前らなんか!」
・・・・・・ソウデスカ。自意識過剰ナンデスネ。
サクヤが若干腐った。
「いやいや、知らない方がおかしい。貴族ならせめて俺のことくらいは知ってるはずだって!」
「知るか!」
「兄様、無駄ですよ。本当に分かってないですから」
「マジか・・・。じゃあ名乗りを上げよう。オクタヴィア・スオウだ。高等科1年。お前らが罵倒しているリオウは俺の弟だが?」
「じゃあ僕も。オクタヴィウス・サクヤ。同じく高等科1年。義理の弟になるリオウの様子を見学に来たんだけど」
さすがにコレなら分かるでしょう。
・・・と思ったんだけど。
「だから何だ!」
「---うわ、ドン引きするわ。話が通じねえ。こわっ!」
「・・・リオウ、苦労してたんだね。気付かなくてごめんね?」
「いえ、いざというときは対処しますので大丈夫ですよ」
「何をごちゃごちゃと! お前ら全員辞めさせてやる!」
レイモンドがキレた。面倒くさい。
「何をしているのです!」
先生と風紀委員が駆けつけた。
あれ、騎士団の人もいる。
「先生! コイツらが僕に酷い言葉を・・・!」
「黙れ! 皇族と大公家に対しての不敬罪で捕らえろ!」
騎士団が動いた。
「---へ?」
レイモンドが間抜けな顔をしている。
取り巻き連中は名乗った時に気付いたようだが、時すでに遅し。
真っ青な顔でサクヤ達を見た。
「・・・え? 大公家? ・・・・・・皇族??」
「さっき名乗っただろう。忘れたのか? 自業自得だな」
「後はよろしく」
騎士団に引き摺られて行くレイモンドを目の端に捉えながら、周りの生徒達に騒がせたお詫びをして席に戻った。
ほどなくして料理が運ばれ、食事をしながら話を聞くと、レイモンドはリオウに粉をかけていたそうで、最初にキッパリ断ったらああやって嫌味を大声で言ってヘンな噂を流していて、もう少し酷くなったら対処しようと思ってたらしい。
「これで心置きなく学園生活を送れそうです」
うん、良かった良かった。
じゃあ早く食べて、午後の授業に備えなきゃ。
僕達も見学楽しみだよ。
*終わらなかった・・・*
もちろんガッツリメニューもあって、体格のいい子はやっぱりそっち系のメニューを選ぶようだ。
食堂までの道すがら、やはり生徒達にガッツリ見られたが、3人とも慣れたもものでしっかりスルーしていた。
テラス席を確保したリオウは、サクヤにメニューを聞いた。
メニューは各テーブルに設置されたタブレット型の魔導具で注文できる。もちろん普通にカウンターに並んで選ぶ事も出来るが、貴族がほとんどの学園ではタブレット注文がほとんどだ。
出来たらウエイターが運んできてくれる。
「高等科もそうだったね。ほとんど利用しないから忘れてた」
「確かに。いつも生徒会室でサクヤの弁当食べてるもんな」
「えええ、なにそれ羨ましい!」
「さすがにリオウには無理だから、向こうに帰省したら作ってあげるね」
「ありがとう、サクヤ兄様!」
さて、料理を注文して待っていると、誰かやって来た。サクヤ達は背になって見えないが、リオウがちょっと眉をひそめた。
「・・・イヤな気配を感じるんだけど」
「見なくても分かるな」
「リフレクターかけとくね」
「・・・すみません、兄様達。ちょっと不快な事になりそうです」
「全然問題ない」
「気にするな」
ヒソヒソ話しているうちにそいつらはサクヤ達の直ぐ後ろで立ち止まった。
リオウの表情が抜け落ちる。
「今日はいつもと違うヤツらと食事か? 八方美人でご苦労なことだな!」
「何だ、高等科の生徒にまで手を出してるのか。淫売め」
「ちょっと顔がいいからっていい気になって」
「レイモンド様がせっかくお声がけしたのに断るなんて、身の程知らずが!」
なんか言いたい放題だが、いくら学園では平等をうたっていてもさすがに初等科で一番身分の高い大公家の令息に言う言葉ではない。
チラッと見ると、どうやらこの初等科の最高学年の5年生らしい。
それにしてもリオウの事を良く分かってないのか、それとも最高学年で威張っているのか。
あまりにも聞き捨てならない言葉が出て、思わず後ろを振り返った。
「身の程知らずがなんですって?」
無表情で冷たい声。少しの威圧と殺気を乗せて目を眇めてやるとビクッとして後退った。
「お前のその顔でやられるとさすがに怖いわ」
「サクヤ兄様格好いい!」
「・・・な、何だ、お前達は・・・! お、俺はダスト侯爵家の嫡男だぞ! 俺に逆らえばお前らなんか学園を退学させられるんだぞ!」
思いっきり身分を持ち出してきたな。しかしダスト侯爵ねえ・・・きな臭い取り引きや脱税もにおわせてる最低な所だな。
それより何より・・・。
「サクヤはともかく、俺の顔を知らないのか」
「はあ?! 自意識過剰だな! 知るわけ無かろう、お前らなんか!」
・・・・・・ソウデスカ。自意識過剰ナンデスネ。
サクヤが若干腐った。
「いやいや、知らない方がおかしい。貴族ならせめて俺のことくらいは知ってるはずだって!」
「知るか!」
「兄様、無駄ですよ。本当に分かってないですから」
「マジか・・・。じゃあ名乗りを上げよう。オクタヴィア・スオウだ。高等科1年。お前らが罵倒しているリオウは俺の弟だが?」
「じゃあ僕も。オクタヴィウス・サクヤ。同じく高等科1年。義理の弟になるリオウの様子を見学に来たんだけど」
さすがにコレなら分かるでしょう。
・・・と思ったんだけど。
「だから何だ!」
「---うわ、ドン引きするわ。話が通じねえ。こわっ!」
「・・・リオウ、苦労してたんだね。気付かなくてごめんね?」
「いえ、いざというときは対処しますので大丈夫ですよ」
「何をごちゃごちゃと! お前ら全員辞めさせてやる!」
レイモンドがキレた。面倒くさい。
「何をしているのです!」
先生と風紀委員が駆けつけた。
あれ、騎士団の人もいる。
「先生! コイツらが僕に酷い言葉を・・・!」
「黙れ! 皇族と大公家に対しての不敬罪で捕らえろ!」
騎士団が動いた。
「---へ?」
レイモンドが間抜けな顔をしている。
取り巻き連中は名乗った時に気付いたようだが、時すでに遅し。
真っ青な顔でサクヤ達を見た。
「・・・え? 大公家? ・・・・・・皇族??」
「さっき名乗っただろう。忘れたのか? 自業自得だな」
「後はよろしく」
騎士団に引き摺られて行くレイモンドを目の端に捉えながら、周りの生徒達に騒がせたお詫びをして席に戻った。
ほどなくして料理が運ばれ、食事をしながら話を聞くと、レイモンドはリオウに粉をかけていたそうで、最初にキッパリ断ったらああやって嫌味を大声で言ってヘンな噂を流していて、もう少し酷くなったら対処しようと思ってたらしい。
「これで心置きなく学園生活を送れそうです」
うん、良かった良かった。
じゃあ早く食べて、午後の授業に備えなきゃ。
僕達も見学楽しみだよ。
*終わらなかった・・・*
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