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本編
81 ひ○狩り行こーぜ!! その壱
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帰省初日に抱き潰されたサクヤは、結局次の日は治癒魔法を使っても腰が抜けていてベッドの住人と化し、スオウは邸中の人から大ブーイングを貰った。
しかし楽しそうにサクヤのお世話をしていたので、今回も『反省はするが後悔はしない』のだろう。
抱き潰されたサクヤは別に怒ってはいなかったが、せっかくの休暇を一日寝て過ごしてしまったので、体を動かしたくてスオウにこの街の冒険者ギルドに連れて行って貰う約束をした。
野外授業からの実技試験でどうにも一狩りしたくて仕方がなかったのだ。
ストレス発散ともいう。
帝国のギルドに興味があったのでもの凄く楽しみにしていた。
そして次の日。
やって来ました、冒険者ギルド!
僕達は野外授業の時の軽装備の防具にスオウはロングソード、僕は妖刀ムラサメ。
軽装備と言っても素材はね、Sクラス級の物だけども。
そこに二人共フードコートを羽織っている。
もちろん温度調節機能付きです。暑くても寒くてもいつでも快適、適温だ。
それにしてもさすが大公家お膝元のギルドだけあって建物は大きいし何より清潔感がある。
荒くれ者の出入りが違和感ありまくりな様式である。
大きな扉を軽く押し開いて足を踏み出す。
「俺はここで冒険者登録して、腕を磨いたり難しいクエストとか受けてて職員とも顔馴染みだから心配いらないよ」
「そうなんだ。そういえばスオウの冒険者ランクって?」
「Sランクだよ」
「おお、やっぱり凄いねスオウって」
「そういうお前だってSだろう」
「まあねえ。登録出来る10才からガンガン依頼熟して、ある程度ランクアップしたら生活の為に高報酬の依頼受けまくってたからじゃないかな?」
領地経営で忙しくて最近は余り活動出来てなかったなあ。
そんな会話をしながら依頼書を貼り出してる掲示板に向かっていると、不意にガタイのいい冒険者風な男が前を遮ってきた。
「おいおい、こんな所にガキが何のようだあ?!」
うわー、久々に絡まれた。面倒くさ。
・・・とスオウが思っていたら、サクヤが目をキラキラさせていた。え?
「ギルドで絡まれるテンプレだ」
「はあ?」
「物語では大抵、ギルドで絡まれるんだよ。ガキは引っ込んでな、みたいな。皇国ではインビジブルで姿を現さなかったから、絡まれた事なかったんだよね」
ウキウキして言うことか?
そうこうしてる間もいきり立つ男。
面倒くせえ。
スオウはフードを取った。サクヤもそれに倣ってフードを下ろす。
美貌の二人が現れて、ギルド内は静まり返る。
「退け、雑魚」
スオウがぶっきらぼうに言うと、サクヤがスオウにキラキラしい目を向けた。
「・・・てめ、ふざけやがって!!」
「いや、だって雑魚だよね?」
サクヤもサラッと言った。
男は顔を真っ赤してブルブル震えている。
「てめえら、ぶっ殺す!」
「そこまで!」
男が武器を抜いた時、声がかかって動きを止めた。
声の聞こえた方を見ると、ギルド職員の制服をもっと豪華にしたような格好の美丈夫が立っていた。
「っギルマス! だってコイツらが」
「貴様が雑魚なのは本当だろう。これ以上問題を起こしたら冒険者資格を剥奪すると言っただろう」
「何でだよ! こんなガキに舐められて・・・!」
「こんなガキじゃない。こちらは二人共Sランクの冒険者だ。そもそもスオウ殿を知らんとは。このギルドに所属していて知らないのはモグリだと言われるぞ」
「嘘だ!」
「これならいいのか?」
溜息を吐いてギルドタグを見せるスオウ。僕も見せてあげよう。
「Sランクのタグはオリハルコンで出来てるから偽造は出来ないぜ」
「僕はここの所属じゃないけど。えーと、ギルマスさん? 僕もここの所属に替えて貰ってもいいですか?」
「もちろんですよ、『夜叉姫』」
ギルマスの言葉に再びザワついた。
そういえば、野外授業で依頼した冒険者はここがほとんどだったっけな。
チラリと流し見ると、なるほど、あの時の冒険者とか、見知った顔がいるな。
「分かったら剥奪の手続きをしに向こうへ連れて行け。お二人は私の部屋へお願いします」
「ああ」
「はい」
移動中サクヤを見ると、テンプレ?が良かったのかご機嫌で花を撒き散らしていて、本人の知らぬ間に場をほのぼのとさせていた。
しかし楽しそうにサクヤのお世話をしていたので、今回も『反省はするが後悔はしない』のだろう。
抱き潰されたサクヤは別に怒ってはいなかったが、せっかくの休暇を一日寝て過ごしてしまったので、体を動かしたくてスオウにこの街の冒険者ギルドに連れて行って貰う約束をした。
野外授業からの実技試験でどうにも一狩りしたくて仕方がなかったのだ。
ストレス発散ともいう。
帝国のギルドに興味があったのでもの凄く楽しみにしていた。
そして次の日。
やって来ました、冒険者ギルド!
僕達は野外授業の時の軽装備の防具にスオウはロングソード、僕は妖刀ムラサメ。
軽装備と言っても素材はね、Sクラス級の物だけども。
そこに二人共フードコートを羽織っている。
もちろん温度調節機能付きです。暑くても寒くてもいつでも快適、適温だ。
それにしてもさすが大公家お膝元のギルドだけあって建物は大きいし何より清潔感がある。
荒くれ者の出入りが違和感ありまくりな様式である。
大きな扉を軽く押し開いて足を踏み出す。
「俺はここで冒険者登録して、腕を磨いたり難しいクエストとか受けてて職員とも顔馴染みだから心配いらないよ」
「そうなんだ。そういえばスオウの冒険者ランクって?」
「Sランクだよ」
「おお、やっぱり凄いねスオウって」
「そういうお前だってSだろう」
「まあねえ。登録出来る10才からガンガン依頼熟して、ある程度ランクアップしたら生活の為に高報酬の依頼受けまくってたからじゃないかな?」
領地経営で忙しくて最近は余り活動出来てなかったなあ。
そんな会話をしながら依頼書を貼り出してる掲示板に向かっていると、不意にガタイのいい冒険者風な男が前を遮ってきた。
「おいおい、こんな所にガキが何のようだあ?!」
うわー、久々に絡まれた。面倒くさ。
・・・とスオウが思っていたら、サクヤが目をキラキラさせていた。え?
「ギルドで絡まれるテンプレだ」
「はあ?」
「物語では大抵、ギルドで絡まれるんだよ。ガキは引っ込んでな、みたいな。皇国ではインビジブルで姿を現さなかったから、絡まれた事なかったんだよね」
ウキウキして言うことか?
そうこうしてる間もいきり立つ男。
面倒くせえ。
スオウはフードを取った。サクヤもそれに倣ってフードを下ろす。
美貌の二人が現れて、ギルド内は静まり返る。
「退け、雑魚」
スオウがぶっきらぼうに言うと、サクヤがスオウにキラキラしい目を向けた。
「・・・てめ、ふざけやがって!!」
「いや、だって雑魚だよね?」
サクヤもサラッと言った。
男は顔を真っ赤してブルブル震えている。
「てめえら、ぶっ殺す!」
「そこまで!」
男が武器を抜いた時、声がかかって動きを止めた。
声の聞こえた方を見ると、ギルド職員の制服をもっと豪華にしたような格好の美丈夫が立っていた。
「っギルマス! だってコイツらが」
「貴様が雑魚なのは本当だろう。これ以上問題を起こしたら冒険者資格を剥奪すると言っただろう」
「何でだよ! こんなガキに舐められて・・・!」
「こんなガキじゃない。こちらは二人共Sランクの冒険者だ。そもそもスオウ殿を知らんとは。このギルドに所属していて知らないのはモグリだと言われるぞ」
「嘘だ!」
「これならいいのか?」
溜息を吐いてギルドタグを見せるスオウ。僕も見せてあげよう。
「Sランクのタグはオリハルコンで出来てるから偽造は出来ないぜ」
「僕はここの所属じゃないけど。えーと、ギルマスさん? 僕もここの所属に替えて貰ってもいいですか?」
「もちろんですよ、『夜叉姫』」
ギルマスの言葉に再びザワついた。
そういえば、野外授業で依頼した冒険者はここがほとんどだったっけな。
チラリと流し見ると、なるほど、あの時の冒険者とか、見知った顔がいるな。
「分かったら剥奪の手続きをしに向こうへ連れて行け。お二人は私の部屋へお願いします」
「ああ」
「はい」
移動中サクヤを見ると、テンプレ?が良かったのかご機嫌で花を撒き散らしていて、本人の知らぬ間に場をほのぼのとさせていた。
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