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本編
78 帰省(sideオクタヴィア家)
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今日から夏期休暇。
学園は2カ月間の休みに入る。
スオウとサクヤは今日の夕方にはオクタヴィア家に帰省する予定だ。
昨日のうちにガオウから連絡があった。
当然のように大公家に帰るというサクヤに、大公家の当主はじめ、影一同も喜んだ。
皇帝陛下の義息子となったのだから、あちらを優先して帰省は皇城になる事も視野に入れていたが、何の疑いもせずにこちらに帰るそうだ。
・・・・・・まあ、帰省をどうするのか聞いたサクヤに、誘導するようにガオウが言ったようだが。
スオウと一緒に、という事と、以前の転移での失踪で帰ってきたのが大公家というのもあって、ココが帰る場所となっているのだろう。
「ガオウを褒めてあげないとね」
「ホントね。よくやったわ!」
和やかにリオネルが言うのに華恋も同意した。
リオウも嬉しそうだ。
「晩餐は皆で賑やかになりそうだね」
厨房も大忙しで料理の下ごしらえをしている。使用人達も楽しそうにスオウとサクヤの部屋を整えているし、庭師もいつにも増して庭の手入れに余念がない。
影達もどことなくそわそわした雰囲気を醸し出している。
いや、お前達はもう少し気配を隠して仕事をしなさい。
やがて午後になり、そろそろお茶の時間となる頃にスオウ達を乗せた馬車が到着した。
各務、ガオウの従者の浅葱、ガオウ、スオウと降りてからサクヤがスオウにエスコートされて降り立った。
「ただいま帰りました。父上、母上、リオウ」
「ただいま。父さん、母さん、リオウも久し振り」
「えっと、ただいま帰りました。父様、母様、リオウ。休暇中、よろしくお願いします」
おずおずといった感じでサクヤが言うと、皆、顔を綻ばせて言った。
「お帰りなさい!」
「ひとまずは部屋で着替えて寛いでいるといい。晩餐の時間になったら呼ぶからね」
「はい、分かりました。じゃあ失礼します」
スオウとサクヤが各務と部屋に向かったのを見て、華恋とリオウも部屋へ戻る。
ガオウとリオネルは執務室へと向かった。
「さてガオウ、影や陛下からも聞いてはいるが、試験はどうだった?」
リオネルがガオウに聞いた。直接見聞きしているから、確実な情報源だ。
「実技試験で、聞いているとおり刀に細工をされていたので、スオウとの一騎打ちで折れました。でも怪我はないよ。魔法の実技試験は各自、結界の中で行ったので特に問題なし。まあ、魔法が凄かったくらい」
「ふむ。陛下の影からの情報で、アレが皇国の国宝級の魔導具を無断使用したあげくにその辺に捨てていたと言うのは聞いてるかい?」
それを聞いて渋い顔をしたガオウ。
「聞いてるよ。阿呆だとは思っていたけど、あそこまでとはね。おかげでいい証拠が手に入ったけど」
「そうだね。ところでアレは帰省しないようだね。夏期休暇中も何かやらかすつもりかな?」
「ああ・・・、生徒会も風紀も基本的には休みで学園にはいないから、街中で接触してきそうだよね。外出の時は気を付けるようにスオウ達にも言っておかないと」
「こちらも影をいつもよりつけておこう」
影と言えば・・・・・・。
「父上、例の影達は今、どうしてるので?」
「ああ、うちのとマンツーマンで躾中。でも元が優秀だからうちのやり方もすぐに覚えてる」
そう、野外授業でサクヤを襲った公爵家の元影をうちで契約して雇ったんだ。
「邸に着いた時にちょっと反応してたよ。あの時の影だってサクヤに勘づかれていると思うけど、知らせないの?」
「この休暇中には教えようと思ってるけど、今ツッコんで来ないって事は、どうでもいいって事かなと」
「・・・ああ、悪感情がなければサクヤは気にしなさそう。すでに負かしてるから危険を感じなければ放っておくよね」
じゃあいいか、別に困らないし。
ガオウはそう結論づけた。
「じゃあそんなところで、僕も部屋で着替えて寛いでますね。浅葱、行くよ」
「畏まりました、ガオウ様」
「また晩餐の時に」
「はい」
執務室から出て行ったガオウを見送った。
さあて、せっかくサクヤが帰省したのだからサクヤがやりたいことを色々経験させて甘やかそう。
リオネルは、サクヤが何をすれば喜ぶのかとこれからの予定をアレコレと考えた。
学園は2カ月間の休みに入る。
スオウとサクヤは今日の夕方にはオクタヴィア家に帰省する予定だ。
昨日のうちにガオウから連絡があった。
当然のように大公家に帰るというサクヤに、大公家の当主はじめ、影一同も喜んだ。
皇帝陛下の義息子となったのだから、あちらを優先して帰省は皇城になる事も視野に入れていたが、何の疑いもせずにこちらに帰るそうだ。
・・・・・・まあ、帰省をどうするのか聞いたサクヤに、誘導するようにガオウが言ったようだが。
スオウと一緒に、という事と、以前の転移での失踪で帰ってきたのが大公家というのもあって、ココが帰る場所となっているのだろう。
「ガオウを褒めてあげないとね」
「ホントね。よくやったわ!」
和やかにリオネルが言うのに華恋も同意した。
リオウも嬉しそうだ。
「晩餐は皆で賑やかになりそうだね」
厨房も大忙しで料理の下ごしらえをしている。使用人達も楽しそうにスオウとサクヤの部屋を整えているし、庭師もいつにも増して庭の手入れに余念がない。
影達もどことなくそわそわした雰囲気を醸し出している。
いや、お前達はもう少し気配を隠して仕事をしなさい。
やがて午後になり、そろそろお茶の時間となる頃にスオウ達を乗せた馬車が到着した。
各務、ガオウの従者の浅葱、ガオウ、スオウと降りてからサクヤがスオウにエスコートされて降り立った。
「ただいま帰りました。父上、母上、リオウ」
「ただいま。父さん、母さん、リオウも久し振り」
「えっと、ただいま帰りました。父様、母様、リオウ。休暇中、よろしくお願いします」
おずおずといった感じでサクヤが言うと、皆、顔を綻ばせて言った。
「お帰りなさい!」
「ひとまずは部屋で着替えて寛いでいるといい。晩餐の時間になったら呼ぶからね」
「はい、分かりました。じゃあ失礼します」
スオウとサクヤが各務と部屋に向かったのを見て、華恋とリオウも部屋へ戻る。
ガオウとリオネルは執務室へと向かった。
「さてガオウ、影や陛下からも聞いてはいるが、試験はどうだった?」
リオネルがガオウに聞いた。直接見聞きしているから、確実な情報源だ。
「実技試験で、聞いているとおり刀に細工をされていたので、スオウとの一騎打ちで折れました。でも怪我はないよ。魔法の実技試験は各自、結界の中で行ったので特に問題なし。まあ、魔法が凄かったくらい」
「ふむ。陛下の影からの情報で、アレが皇国の国宝級の魔導具を無断使用したあげくにその辺に捨てていたと言うのは聞いてるかい?」
それを聞いて渋い顔をしたガオウ。
「聞いてるよ。阿呆だとは思っていたけど、あそこまでとはね。おかげでいい証拠が手に入ったけど」
「そうだね。ところでアレは帰省しないようだね。夏期休暇中も何かやらかすつもりかな?」
「ああ・・・、生徒会も風紀も基本的には休みで学園にはいないから、街中で接触してきそうだよね。外出の時は気を付けるようにスオウ達にも言っておかないと」
「こちらも影をいつもよりつけておこう」
影と言えば・・・・・・。
「父上、例の影達は今、どうしてるので?」
「ああ、うちのとマンツーマンで躾中。でも元が優秀だからうちのやり方もすぐに覚えてる」
そう、野外授業でサクヤを襲った公爵家の元影をうちで契約して雇ったんだ。
「邸に着いた時にちょっと反応してたよ。あの時の影だってサクヤに勘づかれていると思うけど、知らせないの?」
「この休暇中には教えようと思ってるけど、今ツッコんで来ないって事は、どうでもいいって事かなと」
「・・・ああ、悪感情がなければサクヤは気にしなさそう。すでに負かしてるから危険を感じなければ放っておくよね」
じゃあいいか、別に困らないし。
ガオウはそう結論づけた。
「じゃあそんなところで、僕も部屋で着替えて寛いでますね。浅葱、行くよ」
「畏まりました、ガオウ様」
「また晩餐の時に」
「はい」
執務室から出て行ったガオウを見送った。
さあて、せっかくサクヤが帰省したのだからサクヤがやりたいことを色々経験させて甘やかそう。
リオネルは、サクヤが何をすれば喜ぶのかとこれからの予定をアレコレと考えた。
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