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本編
68 夏季休暇前の試験 その壱
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*前話をうっかり執筆途中でポチッと公開してたようで、中途半端で読んだ方は後半読み直して下さい!スミマセン*
『天気痛』で時々具合の悪くなったサクヤは、あれ以降無理をしなくなった。
頭痛が酷くなる前に薬を飲んで、数時間休めば落ち着くので、その後に授業を受けたり生徒会の業務を熟す。
スオウ達も以前より余裕が出て来たサクヤにホッとしていた。
今の所はハルキも大人しい。
さすがにキマイラの件でやりすぎたと思っているのだろう。
逆にこれからの試験と夏季休暇で何かありそうだけど、と皆も警戒していた。
そうして雨期もそろそろ終わりが見えた頃、前期の試験が始まる。
試験は、必須科目の国語、数学、歴史、魔法学の筆記試験。
それと実技試験で剣術と魔法がある。
それ以外の委員会活動や奉仕活動、素行なども点数に加味されるが、ほとんどは筆記試験と実技試験の結果になるので皆、必死だ。
試験は全学年、二日間で行われて、初日は午前中に国語、数学の試験。午後に剣術と魔法の試験をBとCクラスが行う。
二日目は歴史、魔法学の試験の後に剣術と魔法の試験をS、Aクラスが行うスケジュールだ。
午後の実技試験は他のクラスも見学出来るので、二日目のS、Aクラスの時は皆見に来るらしい。
実技試験は各々得意な魔法や剣術を披露するようだ。
1年生から試験を行うので、上級生も待機したまま見学する。もちろん自分が終わってもそのまま見学をする者がほとんど。
剣術も魔法も、皆、いろんな技術を学びたいのだ。
『見て盗め』
その通りだと思う。自分とは違うやり方で閃く事もある。勉強になるのだ。
雨期も終わった今日から二日間、試験が始まった。
サクヤの天気痛も落ち着いた。
野外授業でのアクシデントや生徒会の業務などもあったが、サクヤにしてみれば大した手間でなく、試験勉強がおろそかになることは無かったので得に問題は無かった。
スオウも然り。
全く気負わず、いつも通りに過ごしていた。
午前中の試験が終わり、お昼休みに生徒会室でお弁当を広げていると他の皆もやって来た。
「おお、美味そう! え? もしかしてサクヤの手作り?!」
「よかったら食べますか? たくさん作ってきたので」
「喜んで---! うわ! 来てよかった!」
「ガオウ兄さん騒ぐな、煩い」
「だって! 久しぶりのサクヤのご飯だよ!」
「ふふ、食後のデザートもありますよ」
ガオウ兄様が飛び跳ねている。
実際、他の皆もウキウキしている。
「デザートって何だろうね?」
「楽しみ」
サクヤが何段も積み重ねた御重をインベントリから出してテーブルに広げた。
唐揚げや玉子焼き、肉じゃが、きんぴらゴボウなどの和食の他に、エビフライやハンバーグなどの洋食も。
ご飯とパンも出して。
「頂きます!」
皆も好きにつつき始めた。
口々に美味い、美味しいと言ってくれる。
こういうお昼もいいものだと、サクヤはほのほのとしていた。
久しぶりに魔力の花が舞い散っていた。
ガオウがスオウにぽそっと聞く。
「アレの制御の仕方、教えてあげないの?」
「いいんだよ、可愛いから」
「・・・・・・うん、確かに。見た目で楽しそうって丸わかり。楽しかったり嬉しかったりすると出るんだよね?」
「ああ。我慢してるときは何となく重い魔力のオーラが出てるな。曇り空のようなどんよりとしたモノが」
「うん、雰囲気でも分かるけど、まあ、サクヤは今のままでいいか。サクヤらしいし」
そう、漸く自分の感情を表に出せるようになってきたのだから、このままで。
「サクヤ、今日も玉子焼き美味いぞ」
「本当? 嬉しいな」
ぱああっと向日葵の花が湧いた。
皆がそれを見て噴き出す。
「よっぽど嬉しいんだろうけど」
「薔薇とかじゃなく向日葵って所が」
「サクヤらしい」
「?」
「サクヤはそのまま大きくなって?」
「え? もうたぶんこれ以上は育たないですって」
「天然!」
あははと皆が笑って、キョトンとしたサクヤも微笑んで。
和やかなお昼休みだった。
『天気痛』で時々具合の悪くなったサクヤは、あれ以降無理をしなくなった。
頭痛が酷くなる前に薬を飲んで、数時間休めば落ち着くので、その後に授業を受けたり生徒会の業務を熟す。
スオウ達も以前より余裕が出て来たサクヤにホッとしていた。
今の所はハルキも大人しい。
さすがにキマイラの件でやりすぎたと思っているのだろう。
逆にこれからの試験と夏季休暇で何かありそうだけど、と皆も警戒していた。
そうして雨期もそろそろ終わりが見えた頃、前期の試験が始まる。
試験は、必須科目の国語、数学、歴史、魔法学の筆記試験。
それと実技試験で剣術と魔法がある。
それ以外の委員会活動や奉仕活動、素行なども点数に加味されるが、ほとんどは筆記試験と実技試験の結果になるので皆、必死だ。
試験は全学年、二日間で行われて、初日は午前中に国語、数学の試験。午後に剣術と魔法の試験をBとCクラスが行う。
二日目は歴史、魔法学の試験の後に剣術と魔法の試験をS、Aクラスが行うスケジュールだ。
午後の実技試験は他のクラスも見学出来るので、二日目のS、Aクラスの時は皆見に来るらしい。
実技試験は各々得意な魔法や剣術を披露するようだ。
1年生から試験を行うので、上級生も待機したまま見学する。もちろん自分が終わってもそのまま見学をする者がほとんど。
剣術も魔法も、皆、いろんな技術を学びたいのだ。
『見て盗め』
その通りだと思う。自分とは違うやり方で閃く事もある。勉強になるのだ。
雨期も終わった今日から二日間、試験が始まった。
サクヤの天気痛も落ち着いた。
野外授業でのアクシデントや生徒会の業務などもあったが、サクヤにしてみれば大した手間でなく、試験勉強がおろそかになることは無かったので得に問題は無かった。
スオウも然り。
全く気負わず、いつも通りに過ごしていた。
午前中の試験が終わり、お昼休みに生徒会室でお弁当を広げていると他の皆もやって来た。
「おお、美味そう! え? もしかしてサクヤの手作り?!」
「よかったら食べますか? たくさん作ってきたので」
「喜んで---! うわ! 来てよかった!」
「ガオウ兄さん騒ぐな、煩い」
「だって! 久しぶりのサクヤのご飯だよ!」
「ふふ、食後のデザートもありますよ」
ガオウ兄様が飛び跳ねている。
実際、他の皆もウキウキしている。
「デザートって何だろうね?」
「楽しみ」
サクヤが何段も積み重ねた御重をインベントリから出してテーブルに広げた。
唐揚げや玉子焼き、肉じゃが、きんぴらゴボウなどの和食の他に、エビフライやハンバーグなどの洋食も。
ご飯とパンも出して。
「頂きます!」
皆も好きにつつき始めた。
口々に美味い、美味しいと言ってくれる。
こういうお昼もいいものだと、サクヤはほのほのとしていた。
久しぶりに魔力の花が舞い散っていた。
ガオウがスオウにぽそっと聞く。
「アレの制御の仕方、教えてあげないの?」
「いいんだよ、可愛いから」
「・・・・・・うん、確かに。見た目で楽しそうって丸わかり。楽しかったり嬉しかったりすると出るんだよね?」
「ああ。我慢してるときは何となく重い魔力のオーラが出てるな。曇り空のようなどんよりとしたモノが」
「うん、雰囲気でも分かるけど、まあ、サクヤは今のままでいいか。サクヤらしいし」
そう、漸く自分の感情を表に出せるようになってきたのだから、このままで。
「サクヤ、今日も玉子焼き美味いぞ」
「本当? 嬉しいな」
ぱああっと向日葵の花が湧いた。
皆がそれを見て噴き出す。
「よっぽど嬉しいんだろうけど」
「薔薇とかじゃなく向日葵って所が」
「サクヤらしい」
「?」
「サクヤはそのまま大きくなって?」
「え? もうたぶんこれ以上は育たないですって」
「天然!」
あははと皆が笑って、キョトンとしたサクヤも微笑んで。
和やかなお昼休みだった。
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