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本編
63 嵐の後始末(sideリオネル)
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サクヤ達が昂りを鎮めて惰眠を貪った後。
リオネル父様から連絡があったと各務に言われて話を聞くと、昨日捕まえた公爵家の影についてだった。
どうやら魔法で自白出来ないように誓約をされているようで、それが酷いもので、少しでも情報を漏らすと即死するらしい。
ええ、影ってそこまで縛られるの?!
まさか各務達も?!
びっくりして思わず見ると首を横に振られた。
ほっと一安心。
そうだよね。いくら守秘義務があっても命をかけてられないよね?
公爵家が非道なだけだよね!
全くもってクズだね。
命の大切さを知らないのかね。
要はその魔法の誓約を無効にすればいいんだよね?
「サクヤだからきっと出来るんだろうな。というか、出来る前提で話を持ってきたんだろうな・・・」
「うん、まあ、出来ると思うよ。魔法を解除すればいいんだし。とりあえず直に見てからかな。各務、面会の許可取り付けてくれる?」
「すでに許可は得ております」
「・・・いつも思うけど、先廻りが凄いよね」
本当に優秀な影さんでビックリです。
という感じで、牢屋に入れられてる公爵家の影さんを鑑定してみたら、けっこう雑な魔法だったのですぐに解呪で魔法を解いてあげた。
後はリオネル父様達がどうにかするそうなので、頑張ってと僕の手作りおやつのどら焼きをたくさん渡しておいた。
そうだ、影さん達にもおやつあげよう!
だって誓約で命令に背けなかったんでしょ?
意にそぐわない事でもしなきゃいけないのって辛いよね。
僕はソレを身をもって知っているから。
「大判焼です。影さん達もこれを食べて元気になってね。あ、毒は入ってないよ!」
目の前でスオウと一口パクリ。
ね? 美味しいよ!
そんな気持ちを込めてリオネル父様に渡した。
なんかムスッとしてる?
父様にも同じのあげるから拗ねないで!
じゃあ無理はしないでね?
・・・と去って行ったサクヤ達を見送って。
牢屋の中の影にリオネルは話しかける。
「さて、命の危機は去った。お前達が殺そうとした人間によって。・・・サクヤは可愛くて優しいだろう? あんなクズ共と違って」
ねえ?
だから取り引きをしよう。
「公爵家の事、知ってることを洗いざらい話してくれたら命までは取らないよ?」
その代わり、私達に忠誠を誓って貰う。
もちろん、あんなゲスな誓約じゃないよ。
帝国の規約に則っている正式なものだ。
ただ、破ったら誓約中の記憶は消されて、瑕疵のついた影は二度と仕える場所を失うけどね。
「さあ、どうする?」
リオネルはサクヤには決して見せない腹黒で仄暗い顔をした。
影達は迷いなく首肯して、サクヤの手作りおやつを涙を流して頬張った。
結局、公爵家の元・影達は全員オクタヴィア家の影として誓約し直した。
そして公爵家の内情を、知っている限りの情報提供をした。
その結果、サクヤが真っ当に領地経営をしている間、サクヤには知らされていない公爵家の寄子からの裏金でかなりの不正行為をしている事が分かった。
変な所で頭が回るらしい。
足がつかないように寄子経由で更に仲介者を間に何人も立てて、領内の孤児を働き手という名目で他国に奴隷のように売りつけていた。
人身売買だ。
帝国はもちろん、皇国でも禁止されている事である。
サクヤは領地経営で手一杯で気が付かなかっただろう。
そもそも子供にそんな役目を押し付けている事が異常である。気付けという方が無理な話だ。
だがサクヤが知ったら絶対に胸を痛める。
サクヤには絶対に知られないように動かないとな。
おそらく皇国の皇帝も気付いて動いているはず。
そもそも今回のキマイラの出没自体がおかしいのだ。
皇国の高位貴族階級の家が絡んでいるだろう。
調べた所、金で雇われた冒険者の一人がスクロールを起動して召喚したらしい。
スクロールは高価ではあるが一般的に手に入るものだ。
しかし起動にはそれに見合った魔力量が必要になる。
召喚ともなればかなりの術者でもなければ命を失いかねない。
案の定、冒険者は魔力枯渇で死んでいた。
「ライナスにも報告だな。下手をすると国同士の外交問題になりかねない」
はあ、頭が痛いよ。
早く帰って華恋に癒して貰おう。
リオネル父様から連絡があったと各務に言われて話を聞くと、昨日捕まえた公爵家の影についてだった。
どうやら魔法で自白出来ないように誓約をされているようで、それが酷いもので、少しでも情報を漏らすと即死するらしい。
ええ、影ってそこまで縛られるの?!
まさか各務達も?!
びっくりして思わず見ると首を横に振られた。
ほっと一安心。
そうだよね。いくら守秘義務があっても命をかけてられないよね?
公爵家が非道なだけだよね!
全くもってクズだね。
命の大切さを知らないのかね。
要はその魔法の誓約を無効にすればいいんだよね?
「サクヤだからきっと出来るんだろうな。というか、出来る前提で話を持ってきたんだろうな・・・」
「うん、まあ、出来ると思うよ。魔法を解除すればいいんだし。とりあえず直に見てからかな。各務、面会の許可取り付けてくれる?」
「すでに許可は得ております」
「・・・いつも思うけど、先廻りが凄いよね」
本当に優秀な影さんでビックリです。
という感じで、牢屋に入れられてる公爵家の影さんを鑑定してみたら、けっこう雑な魔法だったのですぐに解呪で魔法を解いてあげた。
後はリオネル父様達がどうにかするそうなので、頑張ってと僕の手作りおやつのどら焼きをたくさん渡しておいた。
そうだ、影さん達にもおやつあげよう!
だって誓約で命令に背けなかったんでしょ?
意にそぐわない事でもしなきゃいけないのって辛いよね。
僕はソレを身をもって知っているから。
「大判焼です。影さん達もこれを食べて元気になってね。あ、毒は入ってないよ!」
目の前でスオウと一口パクリ。
ね? 美味しいよ!
そんな気持ちを込めてリオネル父様に渡した。
なんかムスッとしてる?
父様にも同じのあげるから拗ねないで!
じゃあ無理はしないでね?
・・・と去って行ったサクヤ達を見送って。
牢屋の中の影にリオネルは話しかける。
「さて、命の危機は去った。お前達が殺そうとした人間によって。・・・サクヤは可愛くて優しいだろう? あんなクズ共と違って」
ねえ?
だから取り引きをしよう。
「公爵家の事、知ってることを洗いざらい話してくれたら命までは取らないよ?」
その代わり、私達に忠誠を誓って貰う。
もちろん、あんなゲスな誓約じゃないよ。
帝国の規約に則っている正式なものだ。
ただ、破ったら誓約中の記憶は消されて、瑕疵のついた影は二度と仕える場所を失うけどね。
「さあ、どうする?」
リオネルはサクヤには決して見せない腹黒で仄暗い顔をした。
影達は迷いなく首肯して、サクヤの手作りおやつを涙を流して頬張った。
結局、公爵家の元・影達は全員オクタヴィア家の影として誓約し直した。
そして公爵家の内情を、知っている限りの情報提供をした。
その結果、サクヤが真っ当に領地経営をしている間、サクヤには知らされていない公爵家の寄子からの裏金でかなりの不正行為をしている事が分かった。
変な所で頭が回るらしい。
足がつかないように寄子経由で更に仲介者を間に何人も立てて、領内の孤児を働き手という名目で他国に奴隷のように売りつけていた。
人身売買だ。
帝国はもちろん、皇国でも禁止されている事である。
サクヤは領地経営で手一杯で気が付かなかっただろう。
そもそも子供にそんな役目を押し付けている事が異常である。気付けという方が無理な話だ。
だがサクヤが知ったら絶対に胸を痛める。
サクヤには絶対に知られないように動かないとな。
おそらく皇国の皇帝も気付いて動いているはず。
そもそも今回のキマイラの出没自体がおかしいのだ。
皇国の高位貴族階級の家が絡んでいるだろう。
調べた所、金で雇われた冒険者の一人がスクロールを起動して召喚したらしい。
スクロールは高価ではあるが一般的に手に入るものだ。
しかし起動にはそれに見合った魔力量が必要になる。
召喚ともなればかなりの術者でもなければ命を失いかねない。
案の定、冒険者は魔力枯渇で死んでいた。
「ライナスにも報告だな。下手をすると国同士の外交問題になりかねない」
はあ、頭が痛いよ。
早く帰って華恋に癒して貰おう。
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