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本編
44 騒動の行方
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翌朝、幸せな気持ちで目覚めれば、目の前にスオウの顔が・・・。
睫毛長いなあ、なんてまじまじと見つめていたら、その睫毛がふるふると震えて、綺麗な蘇芳色の瞳が僕を映した。
「おはよう、スオウ」
「・・・ぉはよ・・・」
「・・・眠そうだけど、大丈夫?」
「・・・・・・ん」
昨日と違って今日はスオウが寝ぼすけさんだ。
可愛い。
「スオウ様、サクヤ様、おはよう御座います」
「おはよう」
「朝食の用意が整って居ります。支度をして、どうぞお召し上がり下さい」
「うん」
「ふあい」
のそのそと起き上がり着替える。
今日は食堂の騒ぎの顛末を聞く予定。
昨日は僕が消えたせいでそれどころじゃ無かったんだって。ホントごめんなさい。
「昨日は風紀委員会室だったけど、今日は学園長室に呼ばれてる。まあ、昨日は途中経過を聞く予定だったんで正式なモノじゃ無かった」
「じゃあ、今日は決定事項の説明って事かな」
「そうなるな。学園内での暴力行為に対する規則に則って決められてる筈だ」
「・・・・・・謹慎から退学処分までピンキリなあれか」
「・・・もしかしてそれも全部記憶しているのか」
「当然」
「まさに生き字引だな」
スオウが感心して言うけど。
「単なる知識で、僕が凄い訳じゃ無い。知らないことはたくさんある。むしろスオウの方が生きていく上での知識が豊富で羨ましいよ」
「じゃあ、足りないものを補え合えるいい関係って事だ」
・・・・・・そっか。それでいいんだな。
「うん」
そうして着いた学園長室には、学園長と1年Cクラスの担任教師、1年Sクラスのミスト先生がいた。
それと生徒会の会長と副会長、風紀委員長も。
「呼び出してすまないね。昨日は大変だったそうだが、当事者には説明をせねばならんのでな」
まあ座ってくれたまえ、と言われたのでソファに腰を下ろした。
落ち着いたところでまず、Cクラスの担任が頭を下げる。
「朔夜皇子殿下。この度は我がクラスの生徒が大変失礼な事を致しましたこと誠に申し訳ありませんでした」
「・・・先生のせいではありませんが、謝罪は受け取ります」
「・・・ありがとうございます。結論から申しますと、皇陽希殿は3週間の謹慎処分となりました。お付きの者も同様です」
「それだけですか?」
僕が口を開く前にスオウが言った。
軽いのではないのかと。
でも、怪我も軽度で暴言は、まあまあ酷かったが、規定ではこれが最良なんだろう。
そもそも僕の今の身分は非公表だし。
「いいんだ、スオウ。学園側としてはこれが限界だと思うよ」
「ご理解ありがとうございます。皇族としての処罰を望まれないのでしたら、これが精一杯なのです」
「大丈夫です。分かってます。この件はこれで手打ちということでよろしいですね?」
「・・・・・・仕方ないけど」
不満そうだね、スオウ。
でも暫くは静かに過ごせそうで嬉しいんだけどね。
「それで、あちらはなんと言ってたのです?」
生徒会長のアルフレッドがイルミナに聞いた。
「それが支離滅裂で、何ともまあ・・・・・・」
「私たちも同席して話を聞いてましたが、何やら朔夜様を悪役令息だとか、自分は主人公だとか・・・」
先生が戸惑いながら話す。
「俺が攻略対象とか、後は生徒会のメンバー全員も自分のモノだとか理解が及ばん」
イルミナも溜息を吐いて言った。
「悪役令息に攻略対象・・・・・・」
「何か気になるか?」
「・・・えと、(前世の)物語でそういう単語が出るモノがあって、まあ、要するに主人公が悪役令息の邪魔を乗り越えて、攻略対象とされる恋愛対象の人と最終的に結ばれると言うので、場合によっては、その人達全員と結ばれる?ハーレム?という状況もあるらしいんですけど」
「・・・・・・じゃあ何か? 皇陽希はそういう物語の主人公で、サクヤが邪魔をするその悪役令息で俺達と陽希の仲を裂くって? そう思い込んでるって?」
スオウが背後に暗黒を背負ってる。
誰か止めて!
あ、僕ですか、そうですね。
「スオウ。例えばの話だから、ね」
「そもそも邪魔っていうが、虐められてるのはサクヤだっての。立場が逆だろう!」
「そうだよねえ。思い込みもいいところ。・・・あれ、じゃあもしかして、物語みたいに思い通りにいかないからサクヤを廃嫡して排除しようとしたのか?」
ガオウ兄様がはっとする。
それに皆も納得したように頷いた。
「とにかく、謹慎中も監視をします。何かされても困りますので」
「こちらも警戒しますが、よろしくお願いします」
ひとまず学園長室を後にした。
「このあと皆の予定は?」
「俺は風紀委員会室に戻る」
「私たちも生徒会室に。仕事があるので」
「じゃあ、僕達もその仕事の手伝いをしますよ。僕のせいで色々大変だったでしょう?」
「ホント! 助かる! ていうかサクヤが居るだけで頑張れそう!」
ガオウ兄様、大袈裟な。でもホントに手伝いますよ。
「よし、今日も一日頑張るぞー!」
「元気だね」
「それだけやる気があるならばあの書類の山もすぐに片付くな」
「うげっ」
今の無し! なんて言いながら生徒会室に向かう足取りは軽かった。
睫毛長いなあ、なんてまじまじと見つめていたら、その睫毛がふるふると震えて、綺麗な蘇芳色の瞳が僕を映した。
「おはよう、スオウ」
「・・・ぉはよ・・・」
「・・・眠そうだけど、大丈夫?」
「・・・・・・ん」
昨日と違って今日はスオウが寝ぼすけさんだ。
可愛い。
「スオウ様、サクヤ様、おはよう御座います」
「おはよう」
「朝食の用意が整って居ります。支度をして、どうぞお召し上がり下さい」
「うん」
「ふあい」
のそのそと起き上がり着替える。
今日は食堂の騒ぎの顛末を聞く予定。
昨日は僕が消えたせいでそれどころじゃ無かったんだって。ホントごめんなさい。
「昨日は風紀委員会室だったけど、今日は学園長室に呼ばれてる。まあ、昨日は途中経過を聞く予定だったんで正式なモノじゃ無かった」
「じゃあ、今日は決定事項の説明って事かな」
「そうなるな。学園内での暴力行為に対する規則に則って決められてる筈だ」
「・・・・・・謹慎から退学処分までピンキリなあれか」
「・・・もしかしてそれも全部記憶しているのか」
「当然」
「まさに生き字引だな」
スオウが感心して言うけど。
「単なる知識で、僕が凄い訳じゃ無い。知らないことはたくさんある。むしろスオウの方が生きていく上での知識が豊富で羨ましいよ」
「じゃあ、足りないものを補え合えるいい関係って事だ」
・・・・・・そっか。それでいいんだな。
「うん」
そうして着いた学園長室には、学園長と1年Cクラスの担任教師、1年Sクラスのミスト先生がいた。
それと生徒会の会長と副会長、風紀委員長も。
「呼び出してすまないね。昨日は大変だったそうだが、当事者には説明をせねばならんのでな」
まあ座ってくれたまえ、と言われたのでソファに腰を下ろした。
落ち着いたところでまず、Cクラスの担任が頭を下げる。
「朔夜皇子殿下。この度は我がクラスの生徒が大変失礼な事を致しましたこと誠に申し訳ありませんでした」
「・・・先生のせいではありませんが、謝罪は受け取ります」
「・・・ありがとうございます。結論から申しますと、皇陽希殿は3週間の謹慎処分となりました。お付きの者も同様です」
「それだけですか?」
僕が口を開く前にスオウが言った。
軽いのではないのかと。
でも、怪我も軽度で暴言は、まあまあ酷かったが、規定ではこれが最良なんだろう。
そもそも僕の今の身分は非公表だし。
「いいんだ、スオウ。学園側としてはこれが限界だと思うよ」
「ご理解ありがとうございます。皇族としての処罰を望まれないのでしたら、これが精一杯なのです」
「大丈夫です。分かってます。この件はこれで手打ちということでよろしいですね?」
「・・・・・・仕方ないけど」
不満そうだね、スオウ。
でも暫くは静かに過ごせそうで嬉しいんだけどね。
「それで、あちらはなんと言ってたのです?」
生徒会長のアルフレッドがイルミナに聞いた。
「それが支離滅裂で、何ともまあ・・・・・・」
「私たちも同席して話を聞いてましたが、何やら朔夜様を悪役令息だとか、自分は主人公だとか・・・」
先生が戸惑いながら話す。
「俺が攻略対象とか、後は生徒会のメンバー全員も自分のモノだとか理解が及ばん」
イルミナも溜息を吐いて言った。
「悪役令息に攻略対象・・・・・・」
「何か気になるか?」
「・・・えと、(前世の)物語でそういう単語が出るモノがあって、まあ、要するに主人公が悪役令息の邪魔を乗り越えて、攻略対象とされる恋愛対象の人と最終的に結ばれると言うので、場合によっては、その人達全員と結ばれる?ハーレム?という状況もあるらしいんですけど」
「・・・・・・じゃあ何か? 皇陽希はそういう物語の主人公で、サクヤが邪魔をするその悪役令息で俺達と陽希の仲を裂くって? そう思い込んでるって?」
スオウが背後に暗黒を背負ってる。
誰か止めて!
あ、僕ですか、そうですね。
「スオウ。例えばの話だから、ね」
「そもそも邪魔っていうが、虐められてるのはサクヤだっての。立場が逆だろう!」
「そうだよねえ。思い込みもいいところ。・・・あれ、じゃあもしかして、物語みたいに思い通りにいかないからサクヤを廃嫡して排除しようとしたのか?」
ガオウ兄様がはっとする。
それに皆も納得したように頷いた。
「とにかく、謹慎中も監視をします。何かされても困りますので」
「こちらも警戒しますが、よろしくお願いします」
ひとまず学園長室を後にした。
「このあと皆の予定は?」
「俺は風紀委員会室に戻る」
「私たちも生徒会室に。仕事があるので」
「じゃあ、僕達もその仕事の手伝いをしますよ。僕のせいで色々大変だったでしょう?」
「ホント! 助かる! ていうかサクヤが居るだけで頑張れそう!」
ガオウ兄様、大袈裟な。でもホントに手伝いますよ。
「よし、今日も一日頑張るぞー!」
「元気だね」
「それだけやる気があるならばあの書類の山もすぐに片付くな」
「うげっ」
今の無し! なんて言いながら生徒会室に向かう足取りは軽かった。
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