月の至高体験

エウラ

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本編

20 ナイショの皇家お宅訪問 その壱

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連休初日から色々あった。

すでに疲労困ぱいな気がするが、この連休は5日間あって、今日は2日目。

だがすでに昼過ぎという体たらく。
・・・いや、僕のせいでは無い、と思いたい。

ともかく、僕はスオウに提案をした。

夕御飯までの間、ジパング皇国の皇領に様子を見に行きたいと。

もうね、こっちに留学してから全然音沙汰ないから、心配なのよ。
いくら一通り済ませてきてもどうなってるのか。
もちろん侍従なんていないから、領内の代理人に任せたんだけど。

何かあったら邸に連絡を入れろと言ってはあるが、邸の連中がどう対応するか。
・・・・・・対応しないか。

有り得る。あのクズ共なら。
訴えても右から左に流すだろう。

というわけで、スオウ、他の皆にも相談しました。
さすがにこっそりとは出来なかったから。

「いいんじゃない? でもまあ、転移でしょ? バレないようにしないとね」

とリオネル父様から許可が下りたので、説明タイム!

「転移は僕は基本、まず人気のない場所を選んで跳ぶ。そこから目的地へ跳ぶんだけど、認識阻害とか隠蔽の魔法の類いで姿を消すから心配ないと思う」

インビジブルの魔法。
・・・アレってコッチじゃ無い魔法?

「それは、普通のとはどう違うんだい?」
「えーと、実際に見せた方が早いかな? 合図をしてから消えるけど、驚かないで?」
「・・・分かった」

皆が頷いたのを見て声をかける。

「じゃあ、3・・・2・・・1・・・0!」

インビジブル発動。
・・・・・・如何かな?
そっとうかがうと、皆、唖然としている。
影さん達も降りてきて探してるようだけど、分からないみたい。
そっとスオウの後ろに廻ってから解除する。

「ーーー?! サクヤ様?!」

あ、各務が一番に気付いた。凄い。

「え?! うわっ、え? いつの間に!」
「・・・これは・・・・・・」
「ヤバい案件」
「え? ヤバいの?」

めいめいに口を開いているが、不味いんだろうか?

「・・・・・・どこかいけないことが? 何時もこれでこっそり視察とかしてるんだけど」
「・・・それって、視察の時は解除してるんだよね?」

スオウに聞かれたけど。

「そのままだよ? じゃないと、抜き打ちにならないし、そもそも護衛はおろか侍従もいない。お披露目もしていない僕を次期当主と知ってる領民なんていないよ?」

だから姿を現すと余計に不審者扱いされちゃうと思う。

「・・・・・・は? お披露目してないのか?」

スオウが怪訝な顔で聞く。
ああ、言い方が悪かったな。

「正確には、5歳の誕生日に陽希は披露目の場を設けられたけど、僕は紹介すらさせて貰ってないって事。体調不良ってことにされて、部屋から一歩も出して貰えなかったからね」

前世の記憶があったから、別にどうでもよかったけど。

「皇弟である公爵はどうしたんだい? いくらなんでも、欠席はないだろうから、体調不良でいないことを不審に思わなかったのかい?」

リオネル父様が聞いてきたが。

「思わなかったんでしょ? 僕の部屋に様子を見に来るでもなく一日が終わったから。興味のない子供の心配なんてしないよ。後日改めて、なんてのもなかったからね。貴族も誰も僕の顔は知らないんじゃない?」

まあ、面倒くさいからって認識阻害の魔法で存在を誤魔化していたから余計にね。

「え、じゃあもちろん社交界にも・・・・・・?」

ガオウ兄様が戸惑っている。

「僕は当然一度も出たことはないよ。貴族や領民は生きてるのか分からない病弱な令息だと思ってるんじゃない?」

そもそも、領内と家の事で手一杯だからそんなことに時間を取られたくなかったからちょうどよかったけど。

「国、と言うか領から出たのはコレが初めてで、皇命だから許可が下りたんだろうね。まさか陽希まで来るとは思わなかったけど。元々は僕だけだから。母は猛反対していたけど」

だからおそらく、帝国も『皇朔夜』って誰?って感じだったんじゃないかな、と付け足す。

「・・・・・・確かに、入試で初めて、名前と顔を知ったな。それまでは全く知らなかった。逆に弟の陽希の方が噂が届いていたな」

ああ。可愛らしいとかそんなところかな?

「まあ、その辺は別にいいとして、とりあえず、インビジブルの魔法は大丈夫です?」
「あ、ああ。凄いのが良く分かった。アレなら大丈夫だろう。スオウも支度をして、一緒について行って。夕御飯までには戻るように、今日は様子見ですぐに帰っておいで」

リオネル父様に頷く。


お互い支度をして、皆が見送る中、皇国へ転移した。







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