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本編
12 初めてのお泊まり その参
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ひとまず部屋へ案内を、と各務が言ったのを合図にそれぞれ動き出す。
スオウは僕と一緒に、僕の部屋へと着いてきてくれた。
普通は客間なんだろうけど、何故かスオウの隣、続き部屋だった。しかも互いの部屋の真ん中の壁に扉が付いてて、自由に行き来出来るそう。
「え? いいの? 落ち着かなくない?」
「全然! むしろお前がいないと落ち着かない」
・・・そうだった。
過呼吸で倒れたあと、何故かスオウが僕の部屋でずっと寝てるんだ。
たぶん、また倒れないか心配なんだと思う。
僕も一緒に眠れて安心してるから、確かに一人はちょっと心配だった。
「じゃあ、お言葉に甘えて。よろしくね」
「おう」
荷物はほとんどなくて、こちらで用意してくれる物を使わせて貰う。
助かるな。
「とりあえず、楽な格好でサロンに一旦集まろう。衣装はそこな」
そう言って大きいクロゼットを指さす。
開いて見たら、洋服の他に着物もあった。
「こんなに・・・大変だったでしょう?」
「母さんが吟味して選んだ服だ。来てくれると喜ぶ」
「・・・・・・そうだね。ありがとう。早速着させて貰うね」
そう言って、蘇芳色の着物を取り出し、着付け出した。
「あ、じゃあ、俺も着替えるから、また後で!」
「うん。ありがとう、スオウ」
スオウがそそくさと自分の部屋に戻っていった。
各務も『何かあればお呼び下さい』とスオウに続いた。
まあ、自分で何でも出来るから一人で平気だし。パーソナルスペースに踏み込まれるのもいやだし。
スオウは別だけど。
さて、サクサク着替えて、髪はどうしようか。
何時も後ろを一つに縛ってるけど、纏めて簪で留めようかな。
さっき見たら、蘇芳の花の簪があったんだ。
綺麗だった。
アレをつけよう。
姿見でしっかり確認して、隣のスオウに声をかけた。
サロンの場所、知らないからね。
「スオウ、支度終わったよ?」
「ああ。今行く」
カチャっと扉が開いて、スオウが顔を出した。
目があった瞬間、お互い固まってしまった。
だって、スオウ、格好良すぎる。
寮でもラフな格好は見てるけど、家だからか、もっと砕けてる。
ワイルドってヤツ。
「・・・サクヤは、さすがに着物似合うな。でも窮屈じゃないの?」
「全然。むしろ着慣れてるから楽」
「そっか、ならいい。行くか?」
「うん。よろしくね」
そう言ってスオウが手を出す。
・・・エスコート?
「さすがに邸の中で迷子にはならないと思うけど?」
そう言ったら、頬を染めて、
「繋ぎたいんだよ」
と、ぽそっと言うスオウが可愛いから、思わず手を出していた。
やっぱり、指を絡めて握られた。
そのままサロンに着くと、皆は、もう席に着いていた。
「遅くなりました」
と、頭を下げる。
「いいんだよ。誰も気にしてないし、皆、気がはやって急いじゃっただけだから」
「・・・ありがとうございます。あの、着物とか色々、たくさん、すみません」
「いいのよ! 凄く似合ってるわ。スオウの色を纏ってくれたのね。嬉しいわ!」
言われてハッと気がつく。
無意識に選んでたけど、全身蘇芳色だった!
「ーーーっ」
たぶん僕は無表情で全身真っ赤になってると思う。
パニックになってチラッとスオウを見たら、にっこりしてた。
恥ずかしい・・・・・・。
「揶揄うのはその辺で。ほら、座ってお茶にしよう」
苦笑したリオネル様が場の空気を変えてくれたが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
お茶を2杯飲む頃、漸く顔の赤みが引いたと思う。
皆の笑顔がいたたまれなかった・・・・・・。
スオウは僕と一緒に、僕の部屋へと着いてきてくれた。
普通は客間なんだろうけど、何故かスオウの隣、続き部屋だった。しかも互いの部屋の真ん中の壁に扉が付いてて、自由に行き来出来るそう。
「え? いいの? 落ち着かなくない?」
「全然! むしろお前がいないと落ち着かない」
・・・そうだった。
過呼吸で倒れたあと、何故かスオウが僕の部屋でずっと寝てるんだ。
たぶん、また倒れないか心配なんだと思う。
僕も一緒に眠れて安心してるから、確かに一人はちょっと心配だった。
「じゃあ、お言葉に甘えて。よろしくね」
「おう」
荷物はほとんどなくて、こちらで用意してくれる物を使わせて貰う。
助かるな。
「とりあえず、楽な格好でサロンに一旦集まろう。衣装はそこな」
そう言って大きいクロゼットを指さす。
開いて見たら、洋服の他に着物もあった。
「こんなに・・・大変だったでしょう?」
「母さんが吟味して選んだ服だ。来てくれると喜ぶ」
「・・・・・・そうだね。ありがとう。早速着させて貰うね」
そう言って、蘇芳色の着物を取り出し、着付け出した。
「あ、じゃあ、俺も着替えるから、また後で!」
「うん。ありがとう、スオウ」
スオウがそそくさと自分の部屋に戻っていった。
各務も『何かあればお呼び下さい』とスオウに続いた。
まあ、自分で何でも出来るから一人で平気だし。パーソナルスペースに踏み込まれるのもいやだし。
スオウは別だけど。
さて、サクサク着替えて、髪はどうしようか。
何時も後ろを一つに縛ってるけど、纏めて簪で留めようかな。
さっき見たら、蘇芳の花の簪があったんだ。
綺麗だった。
アレをつけよう。
姿見でしっかり確認して、隣のスオウに声をかけた。
サロンの場所、知らないからね。
「スオウ、支度終わったよ?」
「ああ。今行く」
カチャっと扉が開いて、スオウが顔を出した。
目があった瞬間、お互い固まってしまった。
だって、スオウ、格好良すぎる。
寮でもラフな格好は見てるけど、家だからか、もっと砕けてる。
ワイルドってヤツ。
「・・・サクヤは、さすがに着物似合うな。でも窮屈じゃないの?」
「全然。むしろ着慣れてるから楽」
「そっか、ならいい。行くか?」
「うん。よろしくね」
そう言ってスオウが手を出す。
・・・エスコート?
「さすがに邸の中で迷子にはならないと思うけど?」
そう言ったら、頬を染めて、
「繋ぎたいんだよ」
と、ぽそっと言うスオウが可愛いから、思わず手を出していた。
やっぱり、指を絡めて握られた。
そのままサロンに着くと、皆は、もう席に着いていた。
「遅くなりました」
と、頭を下げる。
「いいんだよ。誰も気にしてないし、皆、気がはやって急いじゃっただけだから」
「・・・ありがとうございます。あの、着物とか色々、たくさん、すみません」
「いいのよ! 凄く似合ってるわ。スオウの色を纏ってくれたのね。嬉しいわ!」
言われてハッと気がつく。
無意識に選んでたけど、全身蘇芳色だった!
「ーーーっ」
たぶん僕は無表情で全身真っ赤になってると思う。
パニックになってチラッとスオウを見たら、にっこりしてた。
恥ずかしい・・・・・・。
「揶揄うのはその辺で。ほら、座ってお茶にしよう」
苦笑したリオネル様が場の空気を変えてくれたが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
お茶を2杯飲む頃、漸く顔の赤みが引いたと思う。
皆の笑顔がいたたまれなかった・・・・・・。
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