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本編
8 *隣の芝生は青い?
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*少しRっぽい単語が出るので念の為*
学園生活が始まって2週間ほどした頃、学園内で噂話が流れた。
曰く、スメラギ・サクヤは誰彼構わず咥え込んでいる、と。
入試結果は嘘で教師達に取り入って成績を誤魔化している、と。
どうして僕の耳に入って来たのかというと、親切なクラスメイトが心配して教えてくれたから。
僕以外は皆、何かしらの噂を聞いているらしかった。
僕?
基本、興味ないことは右から左へスルー。
まあ、教えてくれるような親しい人がいないともいう。スオウは別だけど。
スオウは僕に聞かせたくないことは絶対に悟らせない。この2週間で嫌というほど分かった。
でもそれは僕の為だったし、僕も嫌じゃない。
強請れば教えてはくれるだろうけど僕もそこまでして知りたくないし。
だから、ちょうどスオウがいない時を見計らってクラスの子がコソッと教えてくれたんだ。
「学園中で噂になってるんです。もちろん私達は入学してからのスメラギ様の事をご存知ですので、疑いもしませんけど。そもそも、そんな事をしても、学力が足りずにすぐに勉強に着いていけなくなりますよね」
そう言って、知らないで耳に入ったらびっくりするんじゃないかって心配してくれた。
「ありがとうございます。知りませんでした。あの、所で『咥え込む』って、何を咥えるんです?」
「あっえっと、ええ?!」
クラスメイトが動揺してるけど、何?
分からないことはすぐに尋ねて解決しておかないと。
「何?」
「ナニ?!」
「・・・『ナニ』?」
・・・・・・って何だ?
言葉遊び?
教室の皆がザワついているが、気にしない。
もう一度。
「『ナニ』って何?」
「何言ってんだ!!! 馬鹿サクヤ!!」
え?
「あ、スオウ、お帰りなさい。用事は済んだの?」
いつの間にか戻ってきていたスオウに返事をする。
「何って、『ナニ』を咥え込むのって聞いて」
「もう黙れよお前! お前らも余計なこと言うんじゃねえ! 分かったな!」
クラス中、カクカク首振り人形になった。面白い。
下校時間になったので寮へ向かった。
さっきのが気になって途中で聞いた。
スオウが言うには、ここ数日の間に、僕が体を使って首席を取ったという様な噂が広まったんだという。
全く心当たりがない。
そもそも体を使うって何?
部屋に戻って鍵がかかれば防音魔法が発動するから、中で詳しく聞くことになった。
「それで?」
紅茶を入れてスオウにも渡す。
僕はずっと独りだったから自分の事はおろか、家事全般出来る。やるならとことんて感じで、たぶんプロ並みのはず。
ソファに座って促すと、渋々といった風に話し出した。
「ざっと説明した通り、お前が教師達を籠絡して成績を不正改ざんしたと噂になってるんだよ。もちろん学園長も理事長も、教師すらきっぱり否定しているから、そのうち噂は消えると思うけど」
「籠絡」
意味は分かるけど。
「ねえ、さっき言ってた咥え込むのってその籠絡に関係あるの?」
ブーーーっ!!!
うわ、汚い! じゃなくて。
「スオウ、大丈夫?!」
「げほっ、ごほっ・・・おま、何ちゅう事を・・・!」
背中を摩る。その間も???
意味が分からない。
落ち着いたスオウが、僕の両肩を掴んで真面目な顔で僕に聞いてきた。
「お前、閨教育は受けたか?」
「NO」
僕も思わず真顔で即答しちゃった。いやいつも真顔だった。
「の・・・?」
あ、やべ、こっちにはない言葉だった。
「いやその、ないです」
誤魔化されて。
「・・・・・・分かった」
・・・くれたかな?
「で、閨教育がどうしたの? してないと不味い? 僕にはそういうのはなかったけど。ああ、陽希にはあったかな。精通したらどうのって話してたのを聞いた気がする」
「精通・・・は分かるんだな?」
「うん。前に花江が教えてくれた。朝起きたら下着が汚れてた事があって、初めてだったからビックリして聞いたんだよ。お祝いだって言ってこっそりお赤飯炊いてくれたけど・・・。あれって夢精って言うんでしょ? 生理現象って聞いたけど・・・?」
スオウがちょっと固まってから、はあ、と溜息を着いた。
「うん、そこら辺は、ちょっとうちの家族に相談してみる。お前がどこまで把握してるのか確認しながらかな? もうすぐちょっとした連休があるだろ? 俺、帰省するからその時一緒に来いよ。母さんも会いたがってる」
「スオウの母君はうちの国の侯爵令嬢だったんだっけね。うん。僕も色々聞きたい。よろしくお願いします」
その後、スオウがコホンと場の空気を変えた。
「それで、ちょっと探ってたんだけど、出所は案の定というか、弟の取り巻き連中」
「・・・だと思った。何でいつもこうなんだろう。自分は何でも持ってるくせに、『隣の芝生は青い』ってヤツなんだろうか。あげるものなんか、次期当主くらいしかないのに。・・・え、まさか、スオウ?」
「へ?」
スオウがキョトンとした。
「・・・・・・いやだ。スオウだけはいや。スオウだけは奪わないで、スオウが居なかったら、ぼく・・・」
「サクヤ? おいサクヤ、しっかりしろ! ・・・過呼吸起こしてる!」
息が吸えない。苦しい。助けて、スオウ!
口が何かに塞がれた。苦しい。
スオウ、スオウ・・・僕だけの・・・大切なひと・・・・・・。
僕の・・・・・・。
学園生活が始まって2週間ほどした頃、学園内で噂話が流れた。
曰く、スメラギ・サクヤは誰彼構わず咥え込んでいる、と。
入試結果は嘘で教師達に取り入って成績を誤魔化している、と。
どうして僕の耳に入って来たのかというと、親切なクラスメイトが心配して教えてくれたから。
僕以外は皆、何かしらの噂を聞いているらしかった。
僕?
基本、興味ないことは右から左へスルー。
まあ、教えてくれるような親しい人がいないともいう。スオウは別だけど。
スオウは僕に聞かせたくないことは絶対に悟らせない。この2週間で嫌というほど分かった。
でもそれは僕の為だったし、僕も嫌じゃない。
強請れば教えてはくれるだろうけど僕もそこまでして知りたくないし。
だから、ちょうどスオウがいない時を見計らってクラスの子がコソッと教えてくれたんだ。
「学園中で噂になってるんです。もちろん私達は入学してからのスメラギ様の事をご存知ですので、疑いもしませんけど。そもそも、そんな事をしても、学力が足りずにすぐに勉強に着いていけなくなりますよね」
そう言って、知らないで耳に入ったらびっくりするんじゃないかって心配してくれた。
「ありがとうございます。知りませんでした。あの、所で『咥え込む』って、何を咥えるんです?」
「あっえっと、ええ?!」
クラスメイトが動揺してるけど、何?
分からないことはすぐに尋ねて解決しておかないと。
「何?」
「ナニ?!」
「・・・『ナニ』?」
・・・・・・って何だ?
言葉遊び?
教室の皆がザワついているが、気にしない。
もう一度。
「『ナニ』って何?」
「何言ってんだ!!! 馬鹿サクヤ!!」
え?
「あ、スオウ、お帰りなさい。用事は済んだの?」
いつの間にか戻ってきていたスオウに返事をする。
「何って、『ナニ』を咥え込むのって聞いて」
「もう黙れよお前! お前らも余計なこと言うんじゃねえ! 分かったな!」
クラス中、カクカク首振り人形になった。面白い。
下校時間になったので寮へ向かった。
さっきのが気になって途中で聞いた。
スオウが言うには、ここ数日の間に、僕が体を使って首席を取ったという様な噂が広まったんだという。
全く心当たりがない。
そもそも体を使うって何?
部屋に戻って鍵がかかれば防音魔法が発動するから、中で詳しく聞くことになった。
「それで?」
紅茶を入れてスオウにも渡す。
僕はずっと独りだったから自分の事はおろか、家事全般出来る。やるならとことんて感じで、たぶんプロ並みのはず。
ソファに座って促すと、渋々といった風に話し出した。
「ざっと説明した通り、お前が教師達を籠絡して成績を不正改ざんしたと噂になってるんだよ。もちろん学園長も理事長も、教師すらきっぱり否定しているから、そのうち噂は消えると思うけど」
「籠絡」
意味は分かるけど。
「ねえ、さっき言ってた咥え込むのってその籠絡に関係あるの?」
ブーーーっ!!!
うわ、汚い! じゃなくて。
「スオウ、大丈夫?!」
「げほっ、ごほっ・・・おま、何ちゅう事を・・・!」
背中を摩る。その間も???
意味が分からない。
落ち着いたスオウが、僕の両肩を掴んで真面目な顔で僕に聞いてきた。
「お前、閨教育は受けたか?」
「NO」
僕も思わず真顔で即答しちゃった。いやいつも真顔だった。
「の・・・?」
あ、やべ、こっちにはない言葉だった。
「いやその、ないです」
誤魔化されて。
「・・・・・・分かった」
・・・くれたかな?
「で、閨教育がどうしたの? してないと不味い? 僕にはそういうのはなかったけど。ああ、陽希にはあったかな。精通したらどうのって話してたのを聞いた気がする」
「精通・・・は分かるんだな?」
「うん。前に花江が教えてくれた。朝起きたら下着が汚れてた事があって、初めてだったからビックリして聞いたんだよ。お祝いだって言ってこっそりお赤飯炊いてくれたけど・・・。あれって夢精って言うんでしょ? 生理現象って聞いたけど・・・?」
スオウがちょっと固まってから、はあ、と溜息を着いた。
「うん、そこら辺は、ちょっとうちの家族に相談してみる。お前がどこまで把握してるのか確認しながらかな? もうすぐちょっとした連休があるだろ? 俺、帰省するからその時一緒に来いよ。母さんも会いたがってる」
「スオウの母君はうちの国の侯爵令嬢だったんだっけね。うん。僕も色々聞きたい。よろしくお願いします」
その後、スオウがコホンと場の空気を変えた。
「それで、ちょっと探ってたんだけど、出所は案の定というか、弟の取り巻き連中」
「・・・だと思った。何でいつもこうなんだろう。自分は何でも持ってるくせに、『隣の芝生は青い』ってヤツなんだろうか。あげるものなんか、次期当主くらいしかないのに。・・・え、まさか、スオウ?」
「へ?」
スオウがキョトンとした。
「・・・・・・いやだ。スオウだけはいや。スオウだけは奪わないで、スオウが居なかったら、ぼく・・・」
「サクヤ? おいサクヤ、しっかりしろ! ・・・過呼吸起こしてる!」
息が吸えない。苦しい。助けて、スオウ!
口が何かに塞がれた。苦しい。
スオウ、スオウ・・・僕だけの・・・大切なひと・・・・・・。
僕の・・・・・・。
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